表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1534/1845

1506話 道場の惨状

「こ、これは一体……!?」


 道場の門が破られている。

 庭ではたくさんの見知らぬ男たちが倒れており、どれもピクリとも動かない。

 師範と桔梗は無事だろうか?

 俺は道場の中に入った。


「師範!」


「……おお。高志坊か……」


 道場の中央に、師範が立っている。

 その足元には、数人の男たちが倒れ伏していた。

 師範は無事だ。

 しかし、その表情に覇気はない。

 いや、覇気がないどころか、今にも倒れそうな顔色である。


「何があったんですか!?」


「……道場潰しじゃ。武装した集団に、襲撃されたのじゃ……」


「道場潰し……」


 俺は呟く。

 おそらく、ここにいる男たちも道場を襲撃に来たのだろう。

 だが、その大多数は『中の下』ぐらいの力量と見受けられる。

 師範の敵ではないはずだし、桔梗の技量をもってすればあしらえるレベルだろう。

 なのに、この惨状は……?

 俺は師範に尋ねようとするが、それを口にする直前に気づく。


「師範。その、お怪我は……」


「儂なら平気じゃ……」


「しかし……」


 師範の右腕が、変な方向に曲がっている。

 せっかく俺が治療したのに、また同じところの骨を折られるとは……。

 それに、額からは少なくない量の血が流れている。

 この怪我で立っているなんて、普通じゃない。

 それどころか、意識を保っていることさえ異常だ。


「儂の怪我など気にするな……。それよりも、桔梗を……」


 師範はかろうじて首を動かし、ある方角を見る。

 あっちの方向は……確か、他流派の道場がある方向だ。


「桔梗が、さらわれて……」


「分かりました。俺が行きます。ですが、その前に……」


 俺は師範に治療魔法をかけることにした。

 だが……さすがに怪我が大きすぎる。

 短時間で完治させるのは無理だ。

 それに、時間をかけて怪我を完治させたとしても、体調面で全快に至るわけではない。

 失われた血は戻らないし、戦闘による疲労も蓄積されているだろう。


「――【ヒール】」


 俺は治療魔法を何度かかけ、師範の顔色が少し良くなった。

 この分なら、少なくとも命に別状はないはずだ。

 まだまともには戦えないだろうが、圧倒的な格下ぐらいなら追い払えるだろう。


「礼を言う……。儂が……儂がもっと若ければ……。不甲斐ない……」


「いえ。とにかく、俺は桔梗を助けに行ってきます」


「……頼んだぞ。高志坊……、どうか桔梗を……」


 師範は気を失う。

 最後の気力を振り絞って直立を崩さなかった彼だが、俺が現れたことにより安心したのだろう。

 そんな師範の体を床に横たえ、俺は立ち上がった。


「桔梗……。無事でいてくれ……!」


 俺は道場を後にする。

 そして、桔梗がさらわれたという方向に向かって走り出したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ