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1490話 潜む者【忍者side】

 タカシが紅葉や流華に必殺技の解説をしている頃――


「ふむ……。『ふんどし仮面』とやらは、本当にこの宿に泊まっているらしいな」


「だから言っているだろう? 私の諜報能力を甘く見てもらっては困る」


 タカシが泊まっている宿の屋根に、何者かが2人佇んでいた。

 1人は痩せ型の男で、もう1人は妙齢の女性である。


「お前の能力は認める。だが、詰めが甘いところがあるからな……」


「なにぃ? 私の実力を疑うというのか?」


「疑うも何も、事実だろう? この前も、単独任務で失敗していたではないか」


「うぐ……。だ、だが! そっちだって、警戒任務中に居眠りした挙句、敵に逃げられたと聞いているぞ!」


「う……。そ、それは……」


 痩せ型の男は言葉に詰まる。

 2人とも、桜花藩に所属する忍びのようだ。

 その身のこなしや佇まいから考えると、それなりに優秀な忍者であることが分かる。

 だが、その精神性は別らしい。

 忍者としての総合的な力量としては、『中の下』くらいの立ち位置になるだろう。


「と、とにかく! 今は任務中だ!」


 痩せ型の男の言葉に、女は頷く。


「その通りだ。これまでの失態を挽回する、良い機会だな」


「ああ。このまま『ふんどし仮面』の潜伏場所の情報を持ち帰るだけでも、十分な成果になるだろう」


「うむ。だが、それだけではもったいない」


「つまり……『ふんどし仮面』を拘束し、そのまま拉致するのだな?」


「そうだ」


 痩せ型の男は頷く。

 女はニヤリと笑った。


「どうする? 『ふんどし仮面』は男で、しかも変態だと聞いている。同姓のお前よりは、私の方が油断を誘えるかもしれないぞ?」


「いや……。たとえ変態でも、桜花城に人知れず侵入し、そして無事に逃げおおせた実力の持ち主だ。実力行使はもちろん、安直な搦め手も通じんだろう」


「ふむ……? では、どうするのだ?」


「もう少し情報を集めよう。奴らの部屋はこの屋根の真下だ。屋根裏に侵入するのが最善だったが……ここからでも、何とか会話を拾うことはできるはずだ」


 痩せ型の男は屋根に伏せる。


「おい、私にも聞かせろ」


 女は文句を言いつつ、その隣に寝そべった。

 2人は聴覚に集中する。

 しばらくすると――


『クハハハ! 身の程知らずめ! この俺を倒そうなどと片腹痛いわ!!』


「「っ!?」」


 痩せ型の男と女の顔が驚愕に歪む。

 彼らの耳に飛び込んできたのは、男の高笑いだったからだ。

 間違いなく、『ふんどし仮面』のものだろう。


「ば、バカな……!? 俺たちの存在に気づいていたのか……!?」


「そ、そんなはずは……! それほどの索敵能力があるなど、聞いていない!」


「だ、だが……。現にこの声は……!」


 痩せ型の男と女は混乱する。

 そんな彼らに構わず、『ふんどし仮面』の高笑いは続いていった。


『クハハ! お前らの手は全てお見通しだ! この俺に逆らった時点で……お前らは地獄行きなんだよ!』


「「……」」


 2人は呆然とする。

 これで確定した。

 自分たちの潜伏など、容易に気付かれていたのだ……。

 さらに、『地獄行き』宣言までされてしまった。

 あまりに衝撃的な展開だ。


「ひ、ひいぃ……」


「た、退却だ! すぐに逃げなければ!」


 痩せ型の男と女は、慌てて屋根から降りようとする。

 城内警備の侍から逃げおおせた身のこなしに加え、今回見せた凄まじい危機察知能力。

 十中八九、戦闘能力も高いだろう。

 城内では、騒動を広げすぎないため逃亡を選択したに過ぎないのだと思われる。

 自分たちでどうにかできる相手ではない。

 2人は瞬時にそう判断した。

 だが――


『クハハ! だが……土下座して命乞いするなら、命だけは助けてやらんでもない!』


「「っ!?」」


 2人は動きを止めた。

 圧倒的強者からかけられた、慈悲の言葉……。

 一目散に逃げるか、土下座して命乞いするか。

 どちらが良いだろうか?

 2人は硬直したまま、その判断に迫られる。


『さぁ、俺の目の前で、今すぐにひざまずけ!!』


「は、ははぁーっ! ふんどし仮面様ぁ!!」


「今すぐにひざまずきます! だから、命だけはお助けを……!!」


 もう迷っている暇などない。

 2人は屋根から飛び降りた。

 そして、窓から部屋の中に入ろうとするが――


『くらえっ! 【ドスコイ・エボリューション】!!』


 2人を迎え撃つかのように、激しい衝撃波が放たれる。


「ぐわああぁーー!」


「ひぎゃああぁぁーー!! ど、どうしてえぇえええ!?」


 2人は勢いよく弾き飛ばされた。

 そして、そのまま夜の空へと飛んでいき……。


『あばよ! せいぜい、夜の空を楽しむんだな!!』


 2人の耳に、そんな声が届いたのだった。

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