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1477話 兄貴ぃ…

「さて、紅葉は無事に『エンプフィントリヒ・ユングフラウ』を発動できたな。制約条件をちゃんと満たしていたようで、効果もかなりのものだった」


 俺の問いに、紅葉は頷く。

 なぜか機嫌を損ねていた様子の彼女だったが、すぐに機嫌を直してくれた。

 やはり、『好き』な食べ物が夕食に出るというワクワク感は大きいのだろう。

 まだまだ子どもだな。

 彼女の無邪気な笑顔を、今後も守っていかねばなるまい。


「はい! ……ところで、その『制約』とは?」


「まぁ待ってくれ。言葉で説明する前に、流華にも実践してもらわないと」


「あ、はい。分かりました!」


 俺は紅葉に断りを入れると、流華に向き直った。

 まだ説明していないが、『エンプフィントリヒ・ユングフラウ』の制約は少しデリケートなものとなっている。

 少女にとっても重要な事柄だと思うが、どちらかと言えば少年にとっての方が重要な内容かもしれない。


「待たせたな、流華」


「大丈夫さ、兄貴。それで、さっそく発動させてもいいか?」


「もちろんだ。さぁ、やってみてくれ」


 流華が頷く。

 俺は紅葉と流華に対して、同時並行で技を伝授していた。

 実際に発動する順番が前後しただけで、知識や基礎部分は流華もばっちり把握している。


「いくぜ! 【エンプフィントリヒ・ユングフラウ】!」


 流華が高らかに技名を宣言する。

 すると、彼の身体が神々しく輝きだした。


「あ……っ、あっ……!」


 流華の身体が小刻みに痙攣する。

 そして、その輝きはどんどん強くなっていった。


「こ、これは……!!」


 俺は目を見張る。

 紅葉の輝きに勝るとも劣らない。

 いや、流華の方が大きいか?


「あ、兄貴ぃ……。オレ、なんか身体が熱いよぅ……」


「問題ないさ。技の副作用みたいなものだ。しばらく耐えれば、すぐに慣れるはずだ」


「そ、そうなのか? ……でも、なんだか頭がボーッとしてきた……」


 流華が熱っぽい声で呟く。

 どうやら、彼も制約条件を満たしていたらしいな。

 技の効果がちゃんと出ている。


 デメリットは、見ての通り防御力の低下だ。

 皮膚感覚が過剰に鋭敏になってしまう……と言い換えてもいい。

 一方で、メリットももちろんある。

 今の彼なら、他者の魔力や闘気の動きを素早く察知できるだろう。

 まぁ、察知したあとに適切な対応ができるかは別問題なので、そこは今後も鍛錬が必要だが……。


「流華、気分はどうだ?」


「……なんだか変な感じだけど……悪い感じはしないぜ」


「そうか。ならば大丈夫そうだな」


 俺は頷く。

 紅葉に続いて、実際に効果の程を確認していくことにしよう。

 背中に文字を書くのはもうやったので、次は……。 

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