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1470話 秘技・神風の術

「ふむ。なるほど……。確かに、君たちの言うことも分かる」


 俺はゆっくりとうなずく。

 強弁するだけでは、理解は得られない。

 歩み寄りも必要だ。


「え……? 分かってくれるの?」


「ああ。ふんどしは確かにただの下着だ。だがしかし! ふんどしは、その機能性の高さから様々な用途に使える! 例えば……。そうだな、君たちが着ているふんどしを貸してくれ」


 俺は少女たちに言う。

 だが、反応はあまり芳しくなかった。


「え? なんで?」


「嫌に決まってるでしょ。変態侍に貸すなんて……」


「そっか……。ならば、仕方ないな」


 俺は残念そうに肩をすくめる。

 彼女たちはふんどしを貸してくれそうにない。

 だが、ここで簡単に諦めるわけにはいかなかった。

 彼女たちの誤解を正して、ふんどし愛を広めなければ……!


「あんたさ……。今なら見なかったことにしてあげるから、さっさとここから出て――」


「【秘技・神風の術】!!」


 俺は少女たちの話を遮って叫ぶ。

 そして、素早く彼女たちのふんどしを剥ぎ取った。


「えっ……!?」


「ちょ、ちょっと!?」


 少女たちが驚きの声を上げる。

 だが、今さら返せと言われてももう遅い。

 俺は少女たちのふんどしを手に持ち、高々と掲げてみせた。


「これは素晴らしいふんどしだ! 君たちのふんどしは、実に素晴らしいぞぉ!!」


 俺は全力で褒め称える。

 ここで文句を言わせてはいけない。

 ふんどしへの愛で、少女たちを圧倒する。


「え……? あ、ありがとう……?」


「いや……。でも、変態侍に言われても……」


「このふんどしには、君たちの魅力がたっぷり詰まっているな! 素晴らしい!」


 俺は少女たちのふんどしを褒め続ける。

 そして、彼女たちに一歩近づいた。


「ひっ!?」


「な、なによ! もう十分でしょ!? さっさと出て行ってよ!」


 少女たちが後ずさりする。

 だが、俺はもう止まらない。


「どうだ? 君たちも、ふんどし仮面にならないか?」


「いやよ! 絶対に嫌!」


「私も! 変態になるつもりはないから!!」


 少女たちが全力で拒否する。

 やはり、そう簡単にはいかないようだ。

 悲しいことだな。

 だが、ここで諦める俺ではない。


「信じてくれ! 俺は君たちを辱めるつもりなんかない! この通り、武器も持っていない!」


 俺は少女たちを説得するために、無手であることを示すように両手を広げる。

 刀は、あらかじめアイテムボックスに入れておいた。


「そ、そんなこと言われても……」


「いや、ちょっと待って。確かに、武器は持ってないみたい」


「ええ。変態とはいえ侍なら腕力も強いだろうけど……。私たち全員をどうにかできるほどでもないかも?」


 少女たちが少しだけ警戒を緩める。

 人数は武器だ。

 よほどの実力差がない限り、多人数を相手にするのは困難である。

 まぁ俺の場合、武闘や魔法でどうにでもできるのだが……。

 そのあたりの事情をわざわざ明かす必要はないだろう。

 さて、このままなんとか穏便に……。

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