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1469話 ふんどし仮面

「「「いっせーのーでっ!!」」」


 少女たちが声を揃える。

 具体的に何をする気かは、分からない。

 だが、ピンチであることは確かだ。

 俺は闘気を身にまとって体を硬化し、何らかの攻撃に備える。

 これならば、仮に短剣でブスリとやられても致命傷にはならないだろう。

 俺はそう思ったのだが、彼女たちは予想外の行動に出る。


「おふっ!?」


 少女たちは俺のエクスカリバー……いや、妖刀村雨を掴んできたのだ。

 突然のことに、俺は思わず声を出してしまう。


「おっ? なんか今声が聞こえたような……」

「うん、私も聞こえた!」

「やっぱり、この侍装束は服だけじゃないんだ! よし、このまま引きずり出すよ!」

「うん! せーのっ!!」


 少女たちがふんどしの山から俺を引きずり出そうとする。

 だが、俺はそれを許さない。


(くっ……! ぐぬぬ……!!)


 俺はかごの底で踏ん張る。

 四隅に手足を突っ張り、体を引き上げられないよう抵抗した。


「あっ、こいつ……! ふんどしの中であがいてる!!」

「この中年侍め! 往生際が悪いよ!!」


 少女たちが俺を引き上げようとする。

 彼女たちの手は、俺の妖刀村雨をしっかりと掴んでいた。

 どうして、そんな敏感なものを掴むんだ!?


「うぅっ……。くっ、くそっ……!」


 俺は必死にふんどしの中で踏ん張る。

 だが、少女たちの手によって与えられる刺激が、俺をじわじわと追い詰める。

 このままでは……まずい!


(なんとかしないと……)


 俺は必死に考える。

 そして、一つの策を思いついた。


(一か八かだ……!)


 俺は『インビジブル・インスペクション』を解除する。

 素早く手を動かしてふんどしを頭部に被った。


「とうっ!!」


 俺は少女たちの手を振り払い、ふんどしの中から飛び出す。

 そのまま、バシッとポーズを決めてみせた。


「げっ!?」

「えっ!? ちょっと、あんた誰よ!」


 突然ポーズを決めた俺に驚く少女たち。

 まぁ、当然の反応だろう。


「拙者は『ふんどし仮面』! ふんどしを愛するものなり!!」


 俺は高らかに宣言する。

 そう、今の俺は『ふんどし仮面』だ。


「え? なにこいつ……。頭おかしいの?」

「正体は誰? 城に務めている中年侍の誰かでしょ?」

「いや、でも……。この侍装束には、桜花の家紋が入っていないよ?」

「じゃあ、侵入者……とか?」


 少女たちがひそひそと会話を始める。

 ふんどし仮面の登場に戸惑っているようだ。


「ふっ! 細かいことは気にするでない! さぁ、ふんどしを愛する者同士で語らおうではないか!!」


 俺は少女たちに語りかける。

 秘技『インビジブル・インスペクション』を解除した今、『気付かれないまま逃げる』という選択肢はなくなった。

 ならば、ここは堂々とふんどし愛を語って、うやむやにするしかない!


「いや……私たちは別に、ふんどしを愛しているわけじゃ……」

「え? そうなのか?」

「うん。だって、ふんどしなんてただの布でしょ? ただの下着として着ているだけで……」

「そうそう。そんなのを愛でるなんて、変態じゃん」


 少女たちが口々に言う。

 なるほど。

 少女たちのふんどしへの愛は、それほど深くないらしい。

 ここはしっかりとふんどしの素晴らしさを伝えたいところだが……。

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