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1461話 侍所

 俺は『侍所』に向かう。

 途中で何人かの警備兵とすれ違ったが、特に怪しまれた様子はない。

 俺はそのまま詰所の前まで進んでいく。


 ちなみに、桜花城周辺の位置関係はこんな感じだ。


道道道道道道道道道道道

道*********道

道*********道

道**HHHHH**道

道**H桜桜桜H**道

道**H桜桜桜H**道

道**H桜桜桜H**道

道**HH門HH**道

道****橋****道

道****橋****道

道****橋侍***道

道道道道道道道道道道道


桜……桜花城

H……塀

*……堀

侍……侍所(警備兵の詰所)

道……一般住民が通行可能な道


 桜花城はなかなかに大きく、遠目でも立派だと分かる。

 そして、それを囲むように高い塀があり、さらにその外には大きくて深い堀もある。

 侵入は困難を極めるだろう。


 可能性があるとすれば、重力魔法による空からの侵入か?

 しかし、桜花藩に来てからというもの、重力魔法が不調だ。

 自由落下をある程度制御するぐらいは可能だが、自由自在に飛ぶことは難しい。

 あの大きな堀と高い塀を超えられるほどの出力を維持しつつ、侍たちに気づかれないよう静かに移動することは厳しそうだ。


「ふぁああ……」


「おい、たるんどるぞ! しっかり見張ってろ」


 詰所の門の前には二人の侍が立っている。

 その若い方は、大きなあくびをしていた。

 もう一人の中年の方は、そんな彼を叱責する。

 俺はそのやり取りを『インビジブル・インスペクション』状態で観察していた。


「どうせ侵入者なんて来ないでしょ? もっと気を抜いても……」


「そうは言っても、万が一ってことがあるだろうが!」


「ありませんって! この桜花城に忍び込もうとする命知らずなんていません!」


「貴様、影春様の安全を軽視する気か!?」


「あ、いえ! そんなつもりは……」


 若い侍の言葉に、中年の侍が激昂する。

 安全度に対する意識、藩主である桜花景春に対する忠誠心。

 それらに差があるようだ。


「いいか? 影春様は偉大な血筋を持つ御方だ。彼でなければ、この桜花藩はまとまらん」


「そうですか? 時代は下剋上ですよ。『漢闘地方かんとうちほう』の『神無川藩かんながわはん』がいい例でしょう?」


「馬鹿者! そんな野蛮な地方と、この桜花藩を一緒にするな!!」


「はぁ……。そうっすか……」


 中年侍の剣幕に押されて、若い侍は軽く受け流す。

 なかなかに温度差のある二人だった。


「いいか、影春様には万が一もあってはならん! 我らがしっかりとお護りするのだ!!」


「は、はいぃ……」


 中年侍に叱られて、若い侍は首をすくめた。

 興味深い会話ではあったが、さほど機密性が高い情報ではなさそうだな。

 もっと内部事情に精通した人物と接触する必要がある。


(橋を通って桜花城の目の前まで行ってみるか? だが、さすがにこのままでは通れないな……)


 俺の『インビジブル・インスペクション』は、存在感を完璧に消せるわけではない。

 ボーッとしている人に見られたり、普通にしている人の視界にチラリと入るぐらいなら、まず問題ないだろう。

 しかし、城門の警備兵などの正面を歩くのはマズイ。

 特に中年侍の方は職務意識も強いようだし、呼び止められてしまうはずだ。

 単に呼び止められるだけならまだいいが、場合によっては不審者として顔を覚えられたり、その場で斬りかかられる可能性もある。


(よし、ここはいったん離れて……。ん?)


 俺はその場を離れようとした。

 だが、そこでふと気になるものを見かける。

 そして、俺はとある作戦を思いついたのだった。

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