表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1434/1844

1406話 タカシ=ハイブリッジ『◯◯◯◯・スタイル』

「ちぃっ! どこからこんな力が……!」


「確かに致命の一撃を叩き込んだはず……!」


「このままではマズイのでは……」


 幻影たちがうろたえている。

 俺の底力に驚きを隠せないようだ。

 だが、俺はそれどころではない。


『……レム…………』


 再び、厳かな声が響く。

 この声……。

 聞き覚えはない。

 だが、どことなく炎神プロドナスや海神ポセイドンに似た威厳を感じる。


『……ハ……ム……』


「ハム? あなたは……いったい何を……?」


 俺は思わず尋ねる。

 厳かな声は答えることはなかった。

 俺の体に迸る魔力や闘気は勢いを増していく。


「くっ……! 何なのだ!? この男は!?」


「我ら歴代の巫女が負けることなどあり得ん!」


「数十年の貯蔵妖力を使用し、対象者のあらゆる可能性を演算して再現する秘術だぞ!? この技は破れない!!」


 幻影たちが必死の形相で叫ぶ。

 やはりそうか……。

 龍神ベテルギウスと違い、彼らは異世界から召喚されたわけではない。

 あくまで、俺の存在そのものをスキャンして、その可能性を再現しているに過ぎない。


「俺は負けない! 俺の可能性は無限大だ!!」


『ハー……レム……』


 厳かな声の鮮明度が増した。

 ようやく、何を言っているか分かってきたぞ。

 そして、それと同時に俺の体にさらなる魔力と闘気が漲った。


「うおおおぉおっ! 幻影なんぞに負けてたまるか! 俺はこの世界で、愛する妻や仲間たちと生きていくんだっ!!」


『ハーレム……』


 俺が叫ぶと同時に、厳かな声が響く。

 そして、その瞬間――


「なんだ……!? この光は!?」


「バカな! そんなはずはない!!」


「覚醒しただと……!? そんなことが……!!」


「適応者など、この100年間皆無だったというのに……!!」


「陽炎め……! 迂闊にこの術を使うからこうなるのだ……!!」


「しかしそれにしても、まさか適応して覚醒するとは……!」


 幻影たちが慄いた。

 俺は自分の体に異変を感じる。

 いや、異変ではない。

 これは――覚醒だ!


「うおおぉおおおっ!! 俺は……俺はタカシ=ハイブリッジ『ハーレム・スタイル』だぁあ!!」


 俺は高らかに名乗りを上げる。

 そして、俺の体から眩い光が放たれた。


「う、うわああああぁっ!!」


「かつてない力がくる……!!」


「こ、こんな馬鹿なことがっ……!!」


 幻影たちが狼狽えている。

 所詮は幻。

 土壇場になると、その精神力は脆いな……。

 本来の人格であるイノリの個性が表れているのか、それとも歴代の巫女たちの経験によって形成されているのか。

 それは分からないが……。


「はあぁああっ!! 俺は、勝つ!!!」


 俺は全身に漲る凄まじい力を感じつつ、闘気と魔力を全力で練り上げる。

 そして、右手を天に掲げた。


「いっけええぇええっ! 【インペリアル・シャイニング・バスター】ああぁ!!!」


 俺が叫ぶと同時に、古代遺跡の天井から眩い光の柱が降り注ぐ。

 それは、幻影たちを一瞬で飲み込むと、そのまま大爆発を起こしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ