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1403話 タカシvs幻影たち

「くらえっ! 【バララーグ・サイガ】ぁ!!!」


 俺は幻影たちに魔法をぶっ放す。

 だが、その攻撃はあっさりと避けられた。


「確かに凄まじい魔力だが……。そんな大振りの攻撃など当たるか!」


「ピピピッ……! 【生命体焼却砲】!!」


 幻影の一人が、俺に向かって光線を放つ。

 これは……魔法じゃない!

 魔力を感じなかったので反応が遅れてしまった。


『マスター……。よろしかったのですか?』

『問題ないさ。機械の体で、共に歩もう……』


 俺の脳裏に、懐かしい記憶が甦る。

 懐かしい?

 いや、違う!


「な、なんだ今の記憶は……」


 俺は思わずつぶやく。

 そんな俺に対して、幻影たちが攻撃を繰り出してきた。


「グルオオオォッ! 【火竜之咆哮ボロブレス】!!」


「これも……魔法ではない!?」


 俺は慌てて距離を取る。

 だが、その熱量は凄まじかった。


『お義母さんのことは残念だった……。でもな、俺たちで力を合わせて、竜の血脈を絶やさないようにすることはできる』

『うんっ! 私、がんばるよ! ママの分まで!!』


 これは……俺の記憶じゃない。

 この記憶は……。


「お前が恨めしい……。【グレート・ゴースト・カミカゼ・アタック】だ……」


「な、舐めるなっ! 魔力で防御――できないだと!? ぐあああああぁっ!!」


 通常の攻撃魔法は、受け手側の魔力でレジストできる。

 しかし、魔法以外の攻撃に対しては防御効率が悪い。


『すまない、ファミィ……。俺は……俺は……』

『うお……つぎぃ……』


 違う。

 違うんだ。

 俺はそんなつもりじゃ……。

 そんな目で俺を見ないでくれ……。


「やめろ……」


 なんだこの記憶は?

 俺は頭を抱えてうずくまる。

 そんな俺に対して、幻影たちが容赦なく攻撃してきた。


「ピピピッ……! 古代技術で肉体改造した『ロボット・スタイル』の力を味わえ」


「グルルァアッ! 竜こそ至高の種族だ! 『ドラゴン・スタイル』の俺に死角はない!!」


「恨めしや……。『ネクロマンティック・スタイル』の怨念を思い知れ……」


 幻影たちの攻撃が緩む気配はない。

 いったい……全部で何人いるんだ?

 俺には分からない。

 だが、これだけは言える。

 この幻影たちは……俺の『あり得たかもしれない世界』の姿だ。


「死ね。【サザンクロス】!」


「こ、この技は――」


 俺は目を見開く。

 そして、為す術もなく光の奔流に飲み込まれた。


『我は……! 貴様となら、王国をより良く発展させられると……! 幸せな家庭を築けると……! そう思っていた!!』

『くだらん。お前の思い込みだ……』


 俺の脳裏に、存在しないはずの記憶が流れる。

 凛々しい王女が俺に斬りかかってくるが……俺は彼女を一刀両断にした。

 彼女は涙を流したまま、血飛沫をあげて事切れる。


「世界を救うためには犠牲も必要だ……。余は『ロイヤル・スタイル』……。世界を統べる王なり」


 幻影たちの猛攻は止まらない。

 俺だって、彼らが知らない武技をいくつか扱える。

 単純な戦闘能力だけなら、決して負けていないはずだ。

 しかし、いかんせん数が多すぎる。

 それに、次々に襲いかかってくる『存在しないはずの記憶』が、俺の精神を蝕んでいく……。


「ぐあっ……!」


 俺はまたも剣で貫かれる。

 もう何本の剣をその身に受けたか分からない。

 このままではマズイぞ……。

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