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1364話 タカシ=シルヴェスタ『セイント・スタイル』

「――ぐっ!? ま、またか……」


 俺は再び我に返る。

 ここは古代遺跡。

 俺は並行世界の幻影と戦っているところだ。


「どうだ? アイリスのみを真摯に愛せば……こんな未来もあり得たんだぞ!!」


「ぐぬっ……」


 俺は歯噛みする。

 アイリスとのラブラブ結婚生活。

 俺の脳内に、幸せな家庭が思い浮かぶ。


 幻影たちは、単純に戦闘能力が高い。

 その上、どういう仕組みか俺に並行世界の記憶まで見せてくる。

 肉体と精神のダメージにより、俺は追い詰められつつあった。


「ふっ……。そろそろ終わりにするか……」


 幻影が身構える。

 俺は、そんな幻影を睨みつけた。


「いや……終わらせない」


 俺は闘気と聖気を全身に漲らせる。

 そして、全力の拳撃を幻影に叩き込んだ。

 だが――


「その程度か?」


「何っ……!?」


 幻影は、俺の攻撃を受けてもビクともしていなかった。

 俺は思わず後ずさる。

 そんな俺に、幻影は告げた。


「この程度の実力でこの俺を倒せるとでも? 聖闘気の出力がまるで足りんな」


「バカな……! なんだその聖闘気の量は!?」


「俺は……タカシ=シルヴェスタ『セイント・スタイル』! 徒手空拳の近接戦闘において、俺の右に出る者はいない!!」


「ぬうっ!?」


「くらえっ! 【聖・砲撃連拳】ん!!」


 幻影の俺は拳の連撃を繰り出す。

 速い!

 凄まじい連撃だ。

 まるでガトリングガンのような拳が、俺を襲う。


「ぐあっ!!」


 俺は吹き飛ばされた。

 そして、壁に叩きつけられる。


「ぐっ……」


「どうだ? これほどの武闘……。お前には到達できない領域だろう」


 幻影の俺は、俺を見下ろしながら言い放つ。

 悔しいが、その通りだ。

 俺には武闘で彼以上の実力はない。

 ミリオンズ内でも、アイリスの方が強かったしな……。


「確かに、まともに武闘で戦っては勝ち目はない……。なら、距離を取るまでだ!」


 俺は即座に体勢を立て直す。

 いろんな女性を救い仲を深めるため、俺は様々なスキルを伸ばしてきた。

 悪く言えば、彼らの言う通り器用貧乏だ。


 鍛冶に特化した『スミス・スタイル』、聖闘気を活かした武闘に特化した『セイント・スタイル』……。

 2人の得意分野で戦ってしまえば、勝ち目はない。

 ならば、剣をしまい、武闘を封印すればいい。

 俺には他の戦闘手段もある。

 器用貧乏とは、言い換えれば多種多様な局面に対応可能ということだ。


「ははっ! 逃がすと思ったか?」


「なにっ!?」


 俺は背後に殺気を感じる。

 幻影の俺が、いつの間にか俺に肉薄していた。

 いくら何でも速すぎる……。

 移動速度だけなら、武闘特化の幻影よりも速いぞ!?


「【術式纏装・雷天霹靂】だ! そしてくらえっ!! 【ワン・オー・セブン・マシンガン】ん!!!」


 幻影のキックが俺に迫る。

 雷属性を帯びた強烈な連撃だ。


「ぐああああああっ!!」


 俺は絶叫する。

 そして、その場に崩れ落ちたのだった。

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