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1334話 自分との戦い【ミティたちside】

「ビッグ……」


 ミティが闘気を練り上げる。

 ハンマーを振り上げながら、自身の鏡像に突進していく。


「ボンバー!!」

『ボンバー!!』


 いつもなら、ミティの剛腕で生み出されたハンマーが相手を粉砕していただろう。

 だが、今日は違った。


「っ!?」


 ミティは目を見開く。

 相手が全く同じ動きを取ったからだ。

 その結果、2人のミティの間で鈍い音が響き渡る。


『この程度……タカシ様にいただいた力の前では、どうということはありません!』


「……くっ!」


 ミティは歯を食いしばる。

 なぜ相手が自分の動きをそのまま再現できるのか。

 そんな疑問が頭に浮かぶが、今は戦いに集中すべきだろう。

 それに、彼女は難敵に対する苛立ちとは別に、高揚感も感じていた。


「全力を出せるのは久しぶりです。今の私が、どれだけ強くなったのか……。試してみましょう!」


 ミティの闘気が膨れ上がる。

 彼女はタカシから与えられた加護により、超パワーを発揮できるようになった。

 しかし、その力の100パーセントをぶつけられる相手というのは少ない。

 相手が自分と同じくらいのパワーを出せるなら、テスト相手としてうってつけだ。

 ミティは楽しさを感じていた。

 そして彼女の他にも、高揚感を覚えている者たちがいた。


「いいね! その武闘の技術……。とってもいい!!」


『ボクも同じ気持ちさ。ゾクゾクする』


 まずはアイリスである。

 彼女は卓越した武闘家だ。

 かつてはメルビン道場でタカシと共に鍛錬し、ガルハード杯やメルビン杯に出場していた時期がある。

 そのときの彼女は敗北することも多く、悔しさで落ち込むこともあった。


 しかし、今はどうだろう?

 タカシの加護に加え、日頃の鍛錬もあって彼女は急成長した。

 もはや、身近な存在で彼女の武闘技術についていけるものはいない。

 タカシやモニカあたりでギリギリといったところであろうか。

 しかしそんなタカシたちにしても、闘気や魔力による身体強化が前提にある。

 純粋な武闘の技術において、アイリスが満足できる相手は身近にいない。


 そんな彼女の前に今、自身と対等の技量を持つ鏡像がいる。

 嬉しくないわけがなかった。


「ふふっ! ずいぶん速いね! 私の雷速に付いてこれるなんて……」


『これぐらいは朝飯前さ!』


 モニカの鏡像と戦うのは、もちろんモニカである。

 兎獣人である彼女は、生まれつきスピードや反射神経に優れていた。

 近接戦闘においても、そのスピードで技術を補ってアイリスやタカシと互角に戦えるほどである。


 だが、彼女の真価は雷魔法を使った纏装術にあった。

 雷の速度に付いてこれる者は、そうそういない。

 それが鏡像でもない限り……。

 モニカもまた、自身の能力を模したアバターに夢中となっていた。


「【ブリリアント・パンク】!!」

『【ブリリアント・パンク】!!』


「【マリア・フレイムバスター・キック】!!」

『【マリア・フレイムバスター・キック】!!』


 他の面々の戦いも熾烈を極めていた。

 ニムの偽物は、本物と同じく岩の鎧を纏ってタックルをしてくる。

 マリアの偽物は、本物と同じく炎を纏って飛び蹴りをしてくる。

 それぞれが一歩も引かない、壮絶な戦いとなっていた。

 果たして彼女たちは、自身の鏡像との戦いに打ち勝つことができるのだろうか――

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