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1327話 立ち位置

 俺は王城の客室で、メルティーネと二人きりになっている。

 人族内での俺の立ち位置について、少しばかりの誤解を訂正しなくてはならない。


「メルティーネ」


 俺は彼女の名前を呼ぶ。

 彼女はハッとしたように顔を上げ、俺を見た。


「自分で言うのも何だが、俺は人族の中でもかなり強い方だ。数千……いや、数万人規模の中でもトップクラスだろうな」


 俺よりも明確に格上の存在は、かなり限られる。

 かつて成長途中だった俺を打ち負かした相手は少なくないのだが、今の俺なら大抵は勝てそうだ。

 今の俺でも苦戦必須なのは……ネルエラ国王、聖女リッカ、龍神ベテルギウスぐらいだろうか。


 あとは、海神ポセイドンの本体だな。

 俺が撃破したのは、あくまで依代だった。

 ポセイドンと同格の存在として、火の上位精霊であるプロドナスなんてのもいたな。

 戦うことになったら、苦戦しそうだ。


 俺にミッションを与えてくる超常の存在――通称『権限者』も強かったりするかもしれない。

 ファイアードラゴンのドラちゃんの母親も強いはずだ。


 そして……聖ミリアリア教会の上層部や冒険者ギルドの上層部にも、それなりの強者はいるだろう。

 アイリスの元上司であるエドワード司祭が全力を出したら、かなり強そうだ。

 俺と同期に近い、『雷竜拳』マクセル、『ビーストマスター』アルカ、『支配者』ウィリアム、『白銀の剣士』ソフィアあたりも、成長速度次第では油断できない。

 地球からの転移者である『魅了』のフレンダも、何かしらの奥の手は持っていそうだ。


 ま、このあたりは推測も混じってくるので、俺よりも強いと断定はできないな。

 明言できるのは、ネルエラ国王、聖女リッカ、龍神ベテルギウスだけである。


「そうなのですか? しかしそれほどお強いのであれば、今の立場は不相応では……」


「今はまだ、功績を積み重ねていく最中なのさ。ヤマト連邦の件が片付けば、さらなる上の地位も狙える。そうなれば、人魚族と正式に交友関係を結んでいく際にも有利になるだろう」


 俺はそう説明する。

 メルティーネは納得したようだった。

 彼女はしばらく思考を整理する様子を見せたあと、口を開く。


「これまで、深くは聞いておりませんでしたが……。『ナイトメア』が家名ということでしょうか?」


「ああ、そのことだけどな……」


 俺の地上での名前は、人魚族の誰にも明かしていない。

 ネプトリウス陛下には偽名を勘付かれていたのだが、本名を告げるには至らなかった。

 しかし、メルティーネだけは特別だ。


「『ナイトメア・ナイト』は、俺のコードネームなんだよ」


 俺は言う。

 メルティーネは首をかしげた。


「つまり……偽名なのですか?」


「ああ。ヤマト連邦における秘密のシークレット任務が控えているからな。本名を隠させてもらっていた」


 俺は答える。

 メルティーネは、ますます分からないといった顔になった。

 彼女の疑問を、誠実に解消していくことにしよう。

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