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1266話 わ、私なんか食べても美味しくないですよ!?

 緊急事態のため、俺は右足の拘束を解除した。

 きっと、エリオット王子や元老院も後追いで了承してくれることだろう。

 それよりも、今は目の前のことを優先する。


「はああぁ……! リリアン、俺の力を見てくれ。こいつをどう思う?」


「ひっ!? ど、どうして拘束が解除されて……!?」


 リリアンは焦っている。

 やはり、勝手に解除したのは少しばかりマズかったようだ。


「細かいことは後で説明する。まずは俺の力を感じ取ってくれ」


 俺は魔力を高めながら、リリアンに近づく。

 そして、右手を軽く彼女の方に向けた。


「ひぃっ!? ま、待ってください! わ、私なんか食べても美味しくないですよ!?」


 リリアンは震えながら後ずさる。

 また何か誤解されている気がする。


「――【キュア】」


 俺は治療魔法を発動させた。

 手から優しい光が発せられたのを見て、リリアンは驚愕の表情を浮かべる。


「こ、これは……! 最初級の治療魔法? いえ、しかし……! 私の疲労が癒やされていきます。最初級で、どうしてこれほどの効果が……!?」


「俺の力を感じ取ってくれたようだな。両手に加えて右足の拘束をも解除した今の俺なら、最初級の『キュア』でさえこれだけの効果があるんだ」


 俺はそう説明する。

 普通の人の『キュア』は小さな擦り傷や切り傷を癒やす程度だが、今の俺が発動した『キュア』はもっと大きな効果がある。

 そこそこ大きな怪我でも治療できるし、副次的な効果として疲労などを取り除くこともできる。

 リリアンの表情からも、俺の治療魔法が彼女の想像を遥かに超えるレベルであることは分かっているだろう。


「は、はい……。それは理解できました……」


 リリアンはそうつぶやく。

 どうやら納得してくれたらしい。


「この力を活かして、この事態を乗り切るぞ」


「で、では……。最も重傷な者の治療を優先して――」


「いや、もっと適した方法がある」


「えっ?」


 俺の返答にリリアンは目を見開く。

 きっと『何を言ってるんだ、この男は?』とか思われているに違いない。

 確かに急にこんなことを言われても混乱するか。


 詳しく説明してもいいが、時間が惜しい。

 最低限の説明は果たしたし、そろそろ治療魔法の行使に移ろう。

 俺は魔力を高めながら、ある魔法の詠唱を始める。


「――慈悲深き治療の神よ。傷つきし者たちに救いの手を差し伸べ、その体を癒したまえ――」


「なっ……! 待ちなさい! それは『エリアヒール』でしょう!? 重傷者に対しては、『エリアヒール』の効果量では不十分です! それに、貴重なMPも大量に消費して……」


 俺が詠唱しているのを見て、リリアンが叫ぶ。

 彼女の言うことにも一理ある。

 中級魔法の『エリアヒール』だが、その効果量自体はさほど高くない。

 初級魔法の『ヒール』と同程度か、むしろ劣るぐらいだ。


 中級魔法『エリアヒール』の優位性は『同時に多人数を治療することができる』という点にある。

 この場には重傷者がたくさんいる。

 同時に治療できれば理想的だ。


 しかし、現実はそんなに甘くない。

 効果量の低い治療魔法をかけても焼け石に水。

 しかも、通常の『ヒール』よりも遥かに多いMPを消費してしまう。

 普通の使い手を前提に考えれば、ここは『ヒール』で一人ひとりの怪我をコツコツと治療していくべき場面だ。


 リリアンの忠告を受けて、俺は――

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