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1259話 恋人同士

 俺はエリオット王子に認められ、左手が解放された。

 これで両手が自由になったことになる。


「それで、ナイトメア・ナイト殿が『やってみたいこと』は何だ?」


「ああ、それなんだが……。ちょっと待っていてくれ」


 俺はそう言ってエリオットを止める。

 そして、少し離れたところで待機していたメルティーネを手招きする。


「もう俺の安全性は証明されただろう? メルティーネ、こっちに来てくれ」


「はい……。ナイ様、何を……?」


 俺が呼ぶと、メルティーネがトコトコとやってくる。

 彼女は不思議そうな表情で俺を見ている。

 そんな彼女を、俺はギュッと抱きしめた。


「ひゃっ!? ナイ様……?」


「メルティーネ……。お前は本当に可愛いな……」


 俺はそう言って、メルティーネの頭を優しく撫でる。

 そんな俺たちをエリオットが怪訝な表情で見ている。

 護衛兵たちも、キョトンとした表情だ。


「えっと……ナイトメア・ナイト殿? それはいったい、何のつもりだ……?」


 エリオットが質問する。


「ん? いや、メルティーネが可愛いと思って……」


 俺はそう答えながら、彼女を抱きしめ続ける。

 もちろん、これはただの愛情表現だ。

 彼女に触れていると癒やされるからな。

 メルティーネが可愛いというのは本心だ。


「あの、ナイ様……? その……エリオット兄様の前ですし……」


 一方、メルティーネは恥ずかしそうにしている。

 まぁ普通の反応かもしれない。

 だが、俺は止まれない。


「せっかく両手が解放されているんだ。今までまとも触れることができなかったメルティーネを、存分に愛でることにしようと思ってな」


 俺はそう言いながら、さらに強くメルティーネを抱きしめる。

 彼女の髪からはいい匂いがした。

 海水で濡れているはずなのだが、なぜかフローラルな香りも感じられる。

 メルティーネは人魚族だし、そういう生態なのかもしれないが……。

 とにかく癒やされるなぁ~。


「はわわ……。恥ずかしいですの……」


 メルティーネは頬を赤らめながら、俺の抱擁から逃れようともがいている。

 だが、本気で逃げるつもりはないようだ。

 恥ずかしがっているだけだろう。


「メルティーネ……。愛しているぞ……」


 ちゅっ。

 俺は思わず、メルティーネに口づけをした。


「はわわ……。ナイ様……」


 メルティーネがますます顔を赤くする。

 心なしか、彼女の体が熱くなっているように感じた。


「ちょっと待ってくれ! ナイトメア・ナイト殿、メルティーネとどういう関係なんだ!?」


 エリオットがそう叫ぶ。

 護衛兵たちも驚愕の表情を浮かべている。


「もちろん、恋人同士だが……?」


「な、何だと!?」


 エリオットは驚愕の表情のまま固まっている。

 まさか、ここまで驚かれるとは……。


「俺が水中でも呼吸ができるのは、メルティーネが初キッスで加護を与えてくれたからだ。その事実を知らなかったのか?」


「そ、それは知っているが……! ジャイアントクラーケン戦でのゴタゴタで、貴殿を救助するためにメルティーネが加護を与えたと聞いている。だが、まさか……恋人になっていたとは……!」


「ああ、いや……」


 俺は言い淀む。

 正確ではない情報が伝わっているようだ。


 メルティーネが俺に加護を与えてくれたのは、ジャイアントクラーケン戦よりもっと前のことである。

 龍神ベテルギウスと戦っているとき、たまたま出会って一目惚れされたのだ。

 そして、その場で初キッスをいただいてしまった。

 あの勢いは凄かったなぁ……。


「細かい事情はともかく、俺とメルティーネが相思相愛なのは事実だ。いずれは、種族の壁を超えて婚姻することもあるだろう」


「はわわ……」


 メルティーネが恥ずかしそうに、自分の頬に手を当てる。

 そんな仕草も可愛いなぁ……。

 俺のハーレムに、人魚族を追加する日も近いかもしれない。


「いや、待て! さすがにそれはおかしいだろう!? 人族と人魚族の夫婦なんて聞いたことがないぞ!!」


 エリオットが叫ぶ。

 彼は王族として、人族への偏見が控えめだったはずだが……。


「種族の違いなんて些細な問題だ。大切なのは、心だよ」


「いや、それはそうかもしれないが……!」


「俺とメルティーネを祝福してくれよ。義兄上」


「あ、義兄上……だと!? ふざけるな!!」


 エリオットが叫ぶ。

 ……少し時期尚早だったか?

 彼はシスコンなのかもしれない。

 ただでさえ王族の婚姻はデリケートな上に、相手が人族(俺)という事情もある。


(もっと慎重に行動した方が良かったかな……)


 俺は反省する。

 エリオットの感情を害しては、メルティーネも悲しむだろう。

 ここは慎むことにするか。

 しかしそんな俺の思いとは裏腹に、さらに場を混乱させる出来事が起きる。

 それは――

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