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1209話 ゆーちゃんへの加護(小)付与

「ふっ……。我が聖剣エクスカリバーに、斬れぬものはない……」


 俺は聖気をまとったエクスカリバーを鞘に収納しながら、そう口にした。

 実に爽やかな気分だ。

 ちなみに、今のゆーちゃんは布団にくるまって丸まっている。


「私は幽霊なのに、赤ちゃんができちゃうよぉ……」


「いや、赤ちゃんはさすがにできないだろ」


 俺はゆーちゃんの言葉を否定した。

 いくら聖剣エクスカリバーでも、幽霊との間に子をなせるとは思えない。

 まぁ、ゆーちゃんの実体化がさらに進めばワンチャンあるかもだが……。


 この点については、ティーナやドラちゃんと似たようなものか。

 古代アンドロイドのティーナは、古代遺跡や古代研究所を探し出してアップデートすれば、妊娠が可能となる。

 ファイアードラゴンのドラちゃんは、『変化術』のスキルレベルを上げてより人に近しい存在になれば、俺との間に子をなせる。

 そして幽霊のゆーちゃんは、もっと魔力を吸って実体化が進んでいけば、俺との行為によって子どもをなせるかもしれない。

 だが、今の段階でのそれは不可能だろう。


「ま、今はゆっくり焦らずだな」


 俺はそう口にする。

 未来は未定。

 俺たちにはまだまだ時間があるのだから……。


「うん……」


 布団にくるまったゆーちゃんが、顔だけをこちらに向けて頷いた。

 俺は布団ごとゆーちゃんを抱きしめて、つぶやく。


「愛しているよ、ゆーちゃん」


「私も愛してるよ。おにーさん……」


 ゆーちゃんの声は、どこか幸せそうだった。

 しばらくすると、ゆーちゃんは寝てしまったようだ。

 俺はステータス画面を開く。

 そこにはこう表示されていた。


『ユーファミアに加護(小)を付与しますか? はい/いいえ』


 ティーナやドラちゃんに続き、今日だけで3人目の付与だ。

 まさかこれほど順調に進むとは……。

 ゆーちゃんの本名はまだ知らなかったのだが、この『ユーファミア』というのが彼女の本名と考えていいだろう。

俺はもちろん、『はい』を選択した。

 だが――


『加護(小)付与の処理について、権限者が中止を要求しました。付与処理を中止します』


 俺の頭の中に、そんな言葉が響く。

 どうやら、すんなりと付与はできないようだ。


「まぁ、想定内だな」


 俺はそう口にした。

 なにせ、ゆーちゃんは幽霊だからな。

 古代アンドロイドのティーナやファイアードラゴンのドラちゃんと同様、『権限者』が難色を示すのも当然だろう。


 しかし、だからと言ってここで引き下がるわけにはいかない。

 ゆーちゃんが加護(小)を得れば、いろいろと便利になるだろう。

 実体化も進むかもしれない。

 俺とゆーちゃんの幸せな未来のために、加護(小)は絶対に欲しいところだ。


「さて、どうするべきか……」


 俺は考える。

 ステータス画面の表示によると、『権限者』が付与処理を要求してきたらしい。

 ティーナやドラちゃんのときには、俺が抗議したことによって付与処理が再開された。


(今回もそうするか? しかし……)


 さすがに3回目はどうなんだろう?

 そろそろ『権限者』がブチギレてもおかしくない気もする。

 俺が痛い思いをするぐらいなら、まだいい。

 困るのは、付与対象のゆーちゃんに危険が及ぶことだ。


 今さらだが、あまり『権限者』を怒らせない方が身のためだ。

 ここはじっくりと作戦を考えて――


『……加護(小)付与の処理を再開。付与完了しました』


「え?」


 ステータス画面に付与の完了が表示された。

 一瞬、何が起こったのか分からなかった。

 だが、すぐに理解する。


「ほう……。『権限者』も話が通じる者のようだな……」


 俺はニヤリと笑う。

 この反応は予想外だった。

 もしかしたら、『権限者』も俺の性格というものを理解し始めているのかもしれない。


 実際、あのままなら俺はまた抗議していたことだろう。

 沈黙していたのは、あくまで作戦を練っていただけのことだ。

 どうせ抗議されるなら、さっさと付与処理してしまおう。

 そんな考えなのだろうか?

 なら、最初から付与処理の中止など要求しなければよかったものを……。


(まぁ、そんなことはどうでもいいか)


 俺は考えるのをやめた。

 最終的に加護(小)を付与してくれたのなら、『権限者』に対して文句はない。

 今はゆーちゃんのことだ。

 彼女は布団にくるまってすやすやと眠っている。

 さっそくステータスを確認させてもらうことにしよう。

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