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XIRACO-シラコ  作者: 素巴(もとどもえ)キリマ
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第七話 声が聞こえる

 「・・・母さん・・・」

 「オレはオレはオレは・・・生きる!」

 「ケイコ・・・オレどうなっちゃうの?」

 「エイオ・・・ずっとずっと大好きだよ・・・ずっと。」

 あなたたちはこの世にいてはいけない存在だったんですよ・・・私だってこうしたかったわけじゃないんですよ・・・それでも私は正義のために・・・だっだからそれしか方法がなかったんですよ・・・こっ来ないですださい!祈り続けますから許してください・・・あなたたちのために・・・尊い命を守るために・・・

 ヴェエエエエエ・・・ガッアガッ!・・・助っ・・・ゴックン

 気がついたら私は授業中に居眠りをしたようであります。何といいましょうか。まことに気分が悪いものでありました。あれっ周りの人たちがみんな私に注目しています。

「一さん大丈夫ですか?ずいぶんとうなされていたようですけど。」

 「べっ別に何もありません。」

 「まあとりあえず汗でも拭いてきなさい。気持ち悪いだろう。大丈夫君が帰ってくるまでは脱線しとくから。」

 「ありがとうございます。」

 気がついたら私は六月の初めであるにもかかわらず汗まみれになっていました。私は一礼するとトイレに向かいました。汗と涙を拭く以外にXIRACO-シラコにクレームをつけるためであります。

 (シラコさんどうして起こしてくれなかったんですか?この前の戦闘の後「口も聞きたくない。」って言ったことは謝りますが。)

 『理由なんて決まってんだろ。ハジメ君は寝不足の上あの授業はハジメ君の力じゃ抜き打ちテストの一つや二つ楽勝と見たからな。なーにいざとなったらボクチャンがローニンセーとやらの知恵を貸してやるよ。』

 (そんなのだめですよ。それにしても口の中が苦いのですが。)

 『あーさっきボクチャンが朝食との再会を阻止してやったのさ。』

 (ってことはさっきのゴックンって・・・)

 『だからもったいないだろ?せっかく食ったものを吐いちゃうなんてね。』

 (う~)

 『まあそう落ち込むなって、最近元気ないぜハジメ君。』

 (嫌な夢見たんですよ。これまで倒してきた敵たちに迫られる夢をです。)

 『そいつは自分の中での妄想でしかないんだぜ。けどよーボクチャンは慰めのネタを用意してやんたんだぜ。』

 (慰めですか?)

 『なんと言おうか・・・給料だ。ボクチャンはハジメ君に給料を払うことを忘れていた。』

 (えっ正義の味方にも給料出るのでありますか?)

 『形のあるもんじゃないけど理想の体系なんていかが?今カミングアウトするとなボクチャンはここ最近のハジメ君の成長を止めていたんだ。理由は成長に使うエネルギーを戦いに使ったことのほかハジメ君の体系が変化するたびにOS(体の動きを制御するためのプログラムと思ってね)を書き換えるのがめんどくさかったことだ。けどよーいつまでもその格好でいると周りから怪しまれそうだしハジメ君の肉体にも限界がある。そこであと二週間ほどしたらボクチャンは別の誰かを戦士フーワカにする。』

 (あの~言っていることが良くわかりませんが。)

 『とにかくボクチャンはもう二週間ほどでハジメ君の元を去る。その時にハジメ君のパーツをいじって理想の体型に成長するようにセットする。ついでにローニンセーの記憶もおいて行ってやるぜ。そして、最後にハジメ君に決めてもらいたいことがある。』

 (といいますと?)

 『仕事の引継ぎさ。別の言葉を選べばボクチャンの新しい宿主探しさ。けどよーまあ焦るな気楽にゆっくり考えてくれ。できれば丈夫そうなのがいい。』

 私はいつもどうりに三個ぐらいの他人の頼みごとをかたず蹴るとまた放課後が来ました。今回は勉強や借り物の以来くらいで済んだのがありがたかったものであります。今日恋愛についての話をされたら精神がすり減りそうでしたので。私は教室にて自らの宿題をしていました。すると案の定客が二名ほど来ました。

 「よお、シンジ君参上なのだ。カズこいつ頼むよってお兄さんもですか?」

 「ええ、僕はカヲルといいます。ぼくもハジメちゃんのお世話になってますので。僕の分は長くなりそうなのでお先にどうぞ。」

 「ハジメ・・・ちゃん?え~と俺がここにいるのはヤボってやつかな。オレは明日でいいや二人でごゆっくり~」

 シンジ君は私たちのために気をきかせてくれたようでありました。私はちょっと気まずい雰囲気を感じたもののとりあえず宿題を教えました。

 「本当にありがとう。ハジメちゃんって頭いいね。僕尊敬しちゃうかも。」

 「そんなこ・・・っ・・・『誰かのためにって思うと自然に身につくんですよ。』」

 「・・・それってもしかしてぼくのためなの?ハジメちゃん。」

 『ここからの台詞は自分で決めな。まあボクチャンが言わせてやってもいいぜ。けどよー今言わないと後悔するぜ。』

 「その・・・その・・・好きな人のためっ・・・ためって思ったらですね・・・」

 『六十点!固有名詞を使え。カ・ヲ・ル君って。』

 「あれ?ハジメちゃんには彼氏いるって聞いてたけど。」

 「・・・当の昔に捨てられちゃったんです。でもっでもっカヲル君ならずっと大切にしてくれますよね。私のこと。」

 『合格点!もっと攻めな。』

 「大切にするよ。永遠に。そうだ、今度は僕がハジメちゃんの頼みごと聞く番かな。何でも言ってよ。」

 「それじゃあ・・・えーと・・・その・・・っ・・・『カヲル君に膝枕されたいです。』」

 「どうぞ好きなだけ。はじめちゃん。」

 私はこれまでにない幸せな時間を過ごしました。今わただ幸せなだけであります。でも、こんな幸せがずっと続くような気はしませんでした。それでもカヲル君の心臓の鼓動だけはずっと心の中にとどめておきたいと思いました。

 

 つづく 亡者の叫びを超えて走れハジメ!

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