第二話 ファーストコンタクト
「ハジメー昨日の宿題のここ教えて。」「いいですよ。」「ハジメさんこれ運ぶの手伝ってくれませんか?」「ちぃーすハジメッチ、この作文書いてほしいんだけど。」「大丈夫ですよ。」「ウフェフェ、ハジメちゃーん、おじさんにパンツ見せて。」「いいですよ・・・え?・・・ウワァァァ!!」
はっこれは夢でありましたか。まったく、私はたまに自分の性格に嫌気が差してしまいます。普段から人に頼まれたことを断ることができないのです。おっと忘れていました。私の名前はカズハジメ、漢字で書くと一一。おかげさまでどこかに名前を書くときにはありがたいのです。なんてこと言ってられません。時は朝六時場所は自宅のベッドの中であります。そうだ今日は朝から学校の下段に水をやって、アスカさんに数学の宿題を教え、さらには一時間目の授業の機材の運搬をやらなくてはいけません。私はベッドこら降りると急いで朝の支度を終え食卓に向かったのであります。
「お母さんおはよう。」
「ハジメちゃんおはよう。そこにおいてある塩を取ってほしいのん。ママは今日も朝から精のつくもの作るわよん。そうだハジメちゃんダーリン起こしてきて。」
私の母イチ。美人かつスタイル抜群。家族の前では色っぽい人妻だけど外では立派なパートなのであります。正直に言って半径1㎞以内で最も授業参観に来てほしくない人なのであります。私はとりあえず専業主婦波の家事能力のあるチビかつ気の弱い父ヒトを起こしに行ったのです。
とりあえず話を十五分後に進めます。私は食パンを口にくわえながら小走りでアニメの主人公気分に浸っていたのであります。本当はこんなことをする必要はなかったのですが二つの理由があってとっとと家を出たのです。一つは十分前行動をするためです。もうひとつはご両親の朝のキスを見たくない+聞きたくなかったからなのです。まったくお母さんはあの人のどこがよくて選んだのでしょうか?あのピーピー(伏字)と生々しい音を立てるキス、見ているだけで寿命が縮まってしまいます。
ベチャッ!
おや?何かにぶつかったような。気のせいですよね。なんてこと言って後でありえないのもに遭遇する遭遇するなんていうステレオタイプはお察しください。
とりあえず早めにカラミティー中学校につき頼まれていた三つの仕事を片っ端から片付けたのであります。普通の人は三つが終わったらもう安泰なのでしょうが私の場合はそうはいきません。宿題に事務に他人の恋愛相談。休み時間という休み時間をすべて他人のために使い今日も放課後が来ます。さあ次は何を頼まれるのでしょうか?あれっ次通覇的カヲル先輩がっこちを見ています。彼は元不登校でしたが今は解消したものの勉強についていけないと私に勉強を聞きに来るのです。彼はいつも勉強が終わると私の目を見て「本当にありがとう。」と言ってくれるのです。まあ、何よりも私は彼に恋心を抱いているのでありますがこううまく気持ちを伝えられずにいるのであります。
「一さん、今日も教えてほしいことがあるけどいいかな?」
「いぃ・・・っ!?・・・『その~今日は用事があって(えっ?)、また今度にしてくれませんか?(なぜですか?こんなこと言いたくないのに口が勝手に)ごめんなさい。』」
『あー悪いね。たまには自分で考えないとね。そーだオレもいつも一さんに勉強教えてもらってばかりだからたまには何か手伝おうか?」
「っ・・・『それならせっかくだからこれからは私のことハジメちゃんって呼んでくれないかであります。』(そっそれは)『ではさようなら~。』」
ちょっとこれはどうなっているでありますか?口だけじゃなくて体が勝手に動いてしまいます。私は自分の意思に反してバッグを持って教室を飛び出してしまいました。これから私はどうなるのでしょうか?ってよりもカヲル先輩に勉強を教えてあげたかった出あります。
『やあハジメ君、下駄箱はどこでありますか?教えて。』
「そこの階段を下りて左の角を曲がったところですってあなたは誰ですか?」
『ボクチャンXIRACO-シラコ。二人(?)っきりで話がしたかったんだけどね。けどよーハジメ君はすぐに他人の仕事を引き受けちゃってさー。あーよしよし運転返すね。家までまっすぐ帰ってね。』
あっ体が言うことを聞きます。一時はどうなるかと思いましたがまあ、たまには早めに家に帰るのも悪くはないと思いましたので言うことを聞くことにしました。
「あのーあなたはどこにいるんですか?」
『説明は後だ。話し難しいからな。けどよーしゃべらなくてもいいぜ、心の中でつぶやけばボクチャンには聞こえるからな。なんせボクチャンはハジメ君の脳に直接アクセスしてるからな。』
(ところで私の体の主導権をとる上に居場所は秘密ですか?あなたのこと信用できませんが。)
『ボクチャンはハジメ君の気持ちを考慮してやったつもりだぜ。カヲル先輩に名前で呼んでほしかったんだろ?行くとこまで行きたいんだろ?』
(余計なお世話であります!)
『おーおー威勢のいいこと。けどよー脳は喜んでるぜ。ドーパミン(ヒトが喜びを感じると出てくる神経物質)だっけ?すげー分泌してるぜ。』
(私をからかうために私の脳にアクセスしているんですか?)
『まあ落ち着けよ。よーし本題に入ろう・・・ボクチャンと契約して借金連帯保証人に(債務者と連帯して返済・支払いの義務を負う人、債務者に逃げられても法律上追いかけることは不可能、読者諸君はならないことをオススメする)なってよ!!』
(はいっ・・・えー!?侍ってくださいじゃなくて待ってください私はまだお小遣いが月千円で・・・)
『案ずるな冗談だ。』
(いい加減にしてくださいよ。)
『正義の見方・戦士になってくれないか?』
(正義の味方ですか?私はひ弱なほうですが。)
『ハジメ君の体にはとてつもなく強い生命力が宿っているんだよ。』
(それで何と戦えばいいのですか?)
『キウズア・・・化け物さ。この世界には人間がまだ把握していない位相空間が存在する。(メンドクサイ人は飛ばしてください)更にそこにはウケリーって生物が存在している。けどよーそいつらはなってボクチャンもだけど位相空間内じゃ食事ができない。そこでこっちの空間のヒト(生物学的にホモ・サピエンスを呼ぶときはカタカナ表記で)って生き物にアクセスして生命力をいただいているってわけだ。ウケリーはヒトの生命力を吸い続けるためにアクセスしたヒトを守ろうとする。その手段の一つが肉体改造だ。ヒトの体をキウズアに変化させる。』
(それを何でやっつけないといけないのですか?)
『ハジメ君はヴァカか?けどよー親切なボクチャンが教えてやるぜ。生命力を吸われたヒトは死ぬんだぞ。取り付いていたヒトが死んだら次のヒトが取り付かれてまたその人が死ぬってわけよ。』
(ちょっと待ってくださいよ。あなたもウケリーって言うなら私の生命力も吸われてるってことですか?)
『大丈夫だ。ボクチャンはヒトからは吸えないのさ。けどよー何も食わないと死んじまう。そこでボクチャンはキウズアを撃破してそいつらの栄養を頂戴するってわけだ。要するにハジメ君は愛と正義のために闘いボクチャンはその手伝いをして飯にありつく。WINWINだろ?』
(ええ。)
『そこで頼むよハジメ君、正義の味方・戦士になってくれないか。』
(わっ私・・・やります。)
ああ、なんということでしょうか。私は正義の味方になってしまったのであります。これからどうなるのか。生きて帰れるかどうかわからない修羅の道に入ってしまったのであります。
二日後私は放課後にシラコに言われるがまま町中を歩いていました。約二十分くらい歩いた頃でしょうか。シラコは一人の中年サラリーマンを付け回すようにいってきました。本当に彼は怪物なのでしょうか?そんな不安を胸に彼を十分ほど付け回した末に河原に来ていました。
(これからどうするのですか?)
『堂々としていてくれ。時が来たら変身だぜ変身。』
(私はどんな姿に変身するのでしょうか?)
『自分の思い描いた姿にだぜ。よーし向こうも逃げるのをあきらめたことだし早速やるか。準備はいいか?』
(そのためのフーワカですから。)
つづく試練はこれから、話は再び三日後へ