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XIRACO-シラコ  作者: 素巴(もとどもえ)キリマ
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第一話 転がる初戦

 徒主句宇県皆頃市のとある空地にて。夕日をバックに赤毛で小柄な中学生一ハジメと中年会社員が対峙していた。この二人に面識はなかったもののお互いにやるべきことを把握していた。男は呼吸を整える。すると体がグチャグチャという音を立てながら何かに変化していく。(不自然なCGで再現)約十秒後に男は二足歩行のトカゲに変身していた。そう男はキウズア・ワターナッヴェに変身したのである。

 一方ハジメは男の変化に驚いたらしく一歩引くもののすぐに決心を固め仁王立ちをする。右手の手の甲を左鎖骨の前に持ってきた後バッと上に手を伸ばし全身が赤い光に包まれる。ここて変身シーン。普通の魔法少女物のように派手に行きたいところであるがシンプルに。黒い背景の中変身済みの彼女がゆっくりと宙返り。次に背景を元に戻し彼女はゆっくりと着地。着地するときチンマリと土煙が立つ。(着地の二秒後に一mほどで)変身を終えたハジメは驚いたような顔をしながら自分の手や体を見まわす。

 「すごいです。本当に変身できました。」

 といったところで彼女は我に返る。仮にも今は戦闘中。彼女は身構える。だが、その構えは実にぎこちない。猫背でプロレス選手の様な手つきをしながらペンギンのようにヨチヨチと前に進む。これだとなんだか中年体型のトカゲの方がカッコよく見える。もちろんハジメはこのことを十秒後に気づく。

「いつまでたっても間合いに入れないであります。ここは変に慎重になるよりは先手必勝ですよね。ウオォォォ!エアァァァァ!!」

 ドッ

 ハジメは敵に向かってダッシュする。そして走る自分の姿に感動を覚えた。それから敵にパンチ。

 「こっこんあ力強い走りは初めてであります。さすがですシラッ・・・ンヴァー!」

 だが、ハジメの腕は短かった。ワターナッヴェの痛々しい腹パンがハジメの腹に入る。途端に彼女は地面にうずくまりながらせき込みだす。彼女の体には腹筋という名の装甲がなかったのだ。

 ゲホッゲホッ

 (内なる声)『痛いのは分かる。けどよー立ち上がってくれ。』

 「はっはい・・・うっうう・・・ガッ!」

 バシッ!バタッ・・・ウオォォォン・・・バシッ!!ドゴッ!!

 ワターナッヴェは立ち上がろうとするハジメを雄たけびを上げながら蹴飛ばしたのである。もちろんハジメはふっ飛ばされてからゴロゴロと転がっていく。ワターナッヴェはハジメが立ち上がろうとするたびに彼女の体を蹴飛ばす。なんてことだハジメは敵に一矢報いるどころか三十秒に室伏広治三人分の力のこもったキックを六発も受けることになったのだ。

転がっていたら勝算がないと考えたハジメは今度は地面に張り付く。ところがこれは間違いであった。ワターナッヴェはハジメの左腕をつかむと地面から簡単に彼女を引きはがす。それから勢いをつけて強力なドロップキックを撃つ。ハジメは蹴られた部分から火花を出してから7m吹き飛ばされてから(いかにもピアノ線でつるしたような不自然な動きで)地面に叩き付けられる。(ハジメが落下した地面にドライアイスのスモークを流す)

 「あ・・・あが・・・うっ・・・かっ母さん・・・」

 仰向けのハジメにはもう寝がえりを討つための力すら残っていなかった。これを見たワターナッヴェはとどめを刺そうと助走をつけてから雄たけびをあげながら突進する。読書諸君ハジメちゃんにお別れを・・・

 ウォォォォン!ガッドガッ!!(後ろの音は時系列的には一行先)

 と見せかけてハジメは攻撃を受ける直前に足を斜め四十五度上げてとどめを阻止したのだ。(この動きはピアノ線でつるしたような不自然なうごきで)さらに動きの止まったワターナッヴェに寝っ転がったままキックを叩き込む。ワターナッヴェは先ほどのハジメ同様に7m飛ばされて地面に激突する。(この時土煙を立てる)ハジメはその間に寝がえりをうつ。体中が痛くて辛かったものの何故か力がわいてくる。(このカラクリは後日明かします)

 『ハジメ君もうひと頑張り頼むぜ。今から痛点を切ってやる。けどよー五分間だけだぜ。』(人間が生きていくうえで痛みは大切である、何しろこれは危険を知らせるための信号であるからだ、内なる声の主はハジメが「痛みのない快感」の中毒に陥らせないためにわざと制限をかけた)

 「やります。お願いします。」

 途端に初めの体からは痛みが消える。彼女は右腕の拳を空に向けながらよろよろと立ち上がるとワターナッヴェに向かって走る。ワターナッヴェは尻尾を振り回すがハジメはこれを宙返りで避けると足首の力を最大限に生かした回し蹴りを腹にお見舞いする。(ここでカメラは足首アップ、軽くドライアイスのスモークを流す)ワターナッヴェの腹から火花が散ってよろける。(この時ワターナッヴェの腹に火薬のカスが残っているとカッコよく見える)ハジメは今がチャンスとばかりに躍起になってワターナッヴェを何度も蹴る。

 シュッビシ!シュッバシ!シュッゴキ!!

 「エア!エア!エアァァァァ!!」

 十二発のキックを受けたワターナッヴェは反撃に出ようと拳を前に出す。するとハジメは自らその場に尻餅をついてからひっくり返り馬蹴りで敵の太もものの感覚を奪う。移動能力を失ったワターナッヴェに対してハジメは体勢を立て直してから彼の正面に立ちバク天をしながら喉と顔面につま先をめり込ませて(ハムスターキック)からグロッキーを起こして倒れるワターナッヴェに足を引っかけてから巴投げの要領で後ろに投げ飛ばす。(レッグホイップ)

 『ここでたたんでくれ。』

 「分かりました。」

 するとハジメは全身の生命力のほとんどを右腕に集めてタイラー光線(振付他は登場人物紹介で確認してね)をはなつ。赤い光線がよろよろと立ち上がるワターナッヴェの腹に照射される。照射が終わるとワターナッヴェは最後の一言を残した。

 「かっ母さん・・・」

 パンッドガガガガガ!!

 ワターナッヴェは体の内部から爆発を起こして粉々になる。敵のご臨終を確認したハジメはその場で崩れ落ちる等に立てひざになると同時に変身が解ける。(薄い残像を出していかにも脱力したこのように)痛点が元に戻って苦しいのだ。

 『よくやったぜハジメ君、けどよー頼む、爆心地まで行ってくれ。』

 「はっはい。」

 ハジメは力のない動きで爆心地に行ってからその場で四つん這いになる。

 『よーし飯だ飯だ。』

 「消えました。消えました。」

 『何がだよ?』

 「命の命の灯が・・・あの人さっき『母さん』って・・・あの人には私と同じような母さんがいて・・・」

 『心配するなって確かにあいつは人間だったぜ。けどよーウケリーに取りつかれてキウズアになったんだぜ。あいつを倒していなかったらボクチャンを含む多くの命が失われたんだぜ。』

 「・・・そうですね・・・そうですね・・・っ・・・うっ・・・ウォゲー」

 いくら正義のためといえども他人の命を奪うこの仕事。十四歳の少女にはきつすぎた。こうしてハジメは昼食と再会した。


 つづく・・・物語は三日前にさかのぼる

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