EP17 夜襲
午後十一時十五分対馬井家のトワコの部屋の机にて
オマエノカレシハアズカッタ カエシテホシクバツギノ0ジニミナゴロコウエンノイリグチマデコイ
脅迫状か?確かにこれは自分で書いた覚えがない。脅迫状だ。オレの部屋の机の上においてあったのだ。
(シラコ、こいつはテメーのいたずらか?)
『正直な話ボクチャンは何も知らない。きどよー確かにこれはジュウペイ君の地で書かれている。。これだから恋愛はやめとけっていったんだよ。』
(オレは別にジュウペイちゃんのことなんかなー)
『二日前に粘液接触しておきながら?』
(あっあれはなっなーってよりせめてキスっていえよ!?な!?)
『とにかく好きであることには変わりはない。けどよーこの脅迫状は罠だな。無視しよう。』
(オレは認めねえ。オレたち正義の味方だろ?)
『トワコ君好きな気持ちはわかる。けどよーボクチャンにはこの脅迫状を送った誰かを倒す理由はない。』
(ふざけるな!オレは意地でも正義を貫く!)
『トワコ君落ち着きなさい。ボクチャンは正義のために動いているわけではない。ボクチャンとトワコ君の利害が合うからこそ戦いができた。けどよー今のボクチャンは戦いたくない。』
(チクショー!だったらだったら・・・こんなのはどうだ?シラコ・・・さん。)
オレは人生は初の土下座をした。
『必死だな。それにトワコ君には似合わないな。これもトワコ君の一面か。けどよーその作戦とやらには興味を持った。作戦の指揮権を全てボクチャンにくれるならジュンペイ君救出作戦に手を貸してやってもいいぜ。』
十一時半
オレはジュンペイちゃん救出作戦を開始した。オレは一人で歩く通行人の脳をハッキング(原理はEP14で)する。今回は念のため視覚以外は間隔を共有しないでおいた。(よって通行人が殴られたところでトワコは痛い思いはしない)オレはこいつを50m後ろから遠隔操作する。こいつを敵の前に差出敵の混乱を誘うか偵察させるかすれば少しは戦いを有利に進めることが可能だろう。
バタッ
おっと男を転ばせてしまった。まだそこまでうまくは操れないようだな。オレは男を再起させると再び歩かせる。
(シラコ、おとりはテメーが動かしたほうがいいんじゃねーか?オレが動かすとぎこちなくなる。)
『だめだ、こうしないとおとりはおとりにならない。敵はおそらくトワコ君の出す波の周期を把握している可能性が高い。』
(心臓の音でも聞かれてるのか?)
『わかりにくいかもしれない。けどよーボクチャンがいる異相空間とトワコ君のいる空間(要は我々のいる世界)は何らかの影響を与え合っていると考えられる。どうやらヒトは何もしていなくても生きているだけで異相空間に波(?)を生み出すらしい。ボクチャンはそれを頼りにハジメ君やトワコ君を見つけてアクセスすることができた。』
(・・・シラコ、忘れてないか?オレがヴァカなこと。)
『知ってるさ。けどよー自分から言うことはないだろ?』
(ハイハイ、とりあえずオレの体ちゃんと監視してくれよ。)
『あいよ。』
オレは約束の時間におとりの男を敵の前に差し出した。さあ敵はどう反応する?敵はどんなんだ?オレはおとりの目を通して敵を確認する。目の前には男2名とそのうちの一人に羽交い締めにされているジュンペイちゃんの姿があった。敵は二人か?ずっと一人だと思っていたオレはヴァカだった。だが、ここで空気を乱せば人一人救出できるはずだ!オレはおとりに指示を出す。
「人殺し―!!」
おとりは回れ右をすると叫びながら走り出す。こいつは素晴らしい作戦だぜ。ウクリーは自分が起こした争いが世間にバレることを恐れている。今敵に残された手は二つ。ジュンペイちゃんを解放してから逃げるか担いで逃げるかだ。そしたらオレは先回りをしてからヤローどもをコロガスだけだ。
だが、敵は動じなかった。なぜだ?
「殺人鬼トワコ。猿芝居はよせ。残念なことに声は周辺住民には届いていない。天は俺たちに味方したようだ。では要求を出す。俺が話を終えるまでに姿を出せ。さもなければ人質の命はない。トワコ・・・あなたはこれまで罪もなき人々を・・・」
『トワコ君両手を地面につけろ。早く。』
(わっ分かった。)
オレが地面に両手をつくとシラコは手のひらに穴を開けて地面に軽くオレの血液をしみこませた。すると地面から形も色もそっくりなオレの手のオブジェが現れる。オレはこれを上着の袖の中に突っ込んで降参のポーズ(要はバンザイ)を偽装して敵の前に姿を出す。
「オレはここにいる。頼む人質を解放してくれ。」
「トワコ。気味は自分が他人に頼みごとをできるだけの徳を積んだ人間だと思えるか?」
「そんなの関係ねえ。無関係な民間人を放すんだ。ジュンペイちゃんオレが来たからにはもう大丈夫だ。」
「トワコちゃんボクのことはいいから逃げて~」
「ハイハイラブコメはそこまで、さあトワコ、これまで何人の同士を殺してきた?」
「ざっと四人ほどだ。(巻き添えを除いて)でもテメーらだっていくつもの生命を吸ってきたじゃねーか。」
「トワコ俺たち・・・いやっ俺に取り付くウクリーたちは確かに人々の生命力を吸ってきた。だが殺しはしなかった。なぜなら宿主の命が危なくなったら宿主を変えなきゃいけないからだ。それに比べてお前たちはいったい何人の罪もなき人々を殺してきた?おまえのウクリーはいったいなんと言ってお前のことをたぶらかしてきた?」
「そもそもあったこともない人に暴力とかふるって自分は悲しくなかったの?」
(シラコ・・・どういうことだ?)
『気になるだろ・・・けどよー・・・ぜっ全部・・・ウソさ。たぶらかされる前に戦うぞ。』
(待てジュンペイちゃんが・・・)
ポロッジャリッ
しまった!偽装腕を地面に落としてしまった。地面に落ちた偽装腕はコントロールを失い湿った砂の山に変化する。まずい!なんていいわけをすればいいんだ?案の定敵たちはキレる。
「この卑怯者が!」
「だったらこうだ!」
ジュンペイちゃんをはがいじめにしていた敵は両腕に力を入れる。するとジュンペイちゃんの顔から生気が抜けていく。
「・・・とっ・・・いやっ・・・ミキすまなかっ・・・さよ・・・な・・・」
ジュンペイちゃんは絶命した。本当は泣くか怒るかしたかったがオレは冷静になれた。ジュンペイちゃんは最後にオレの名を呼ばなかった。それが良かった。
「何ッ!?恋人が死んだのに眉一つ動かさない打と!?」
「テメーら!恥ずかしくないのか?」
「お前に言われたくないさ。俺も俺のウクリーも人を殺したのは今回が初めてだ。」
「そうかもな。オレは見て見ぬふりをしていたのかもな。埃のように軽い命を吹き飛ばしてきたからな。次が自分だと思うと手の振るえが止まらないぜ。だが・・・オレは正義だ!死を見ることも作ることも怖くなんかないぜっ!!」(ウソだ、自分の親にビンタ一発うてないのに。)
オレは右の手の甲を左鎖骨の前におくと右手を夜空に向ける。緑色に光って戦闘モードに変身したオレは5mほど飛び上がると土煙を立てながら着地する。(夜暗い中土煙を立ててもイマイチわかりにくいからトワコを後ろからライトで照らしてね)すると敵二人もグチャグチャと音を立てながらキウズアに変身する。片方はムチを持つ二足歩行の赤いナメクジのような姿をしたシミズー、もう片方はカマを持つゴキブリのような姿をしたフジヲッカであった。
オレは身構える。さすがに2対1は初めてだからな・・・油断ならねえ。敵は軽く駆けると五mほど距離をとってシミズー、オレ、フジヲッカの順に並んだ。オレは前にいるシミズーをにらみつつ後ろにいるフジヲッカに気を配った。
つづく 恐ろしい軟体動物と節足動物の猛攻が始まる




