EP16 牙と拳
オレの名は対馬井トワコ。パーソナルカラーはたぶん緑だぜ。そして正義の味方でもある。ある日XIRACO-(シラコ)と名乗るなぞの異次元に住む寄生虫(?)に脳にアクセスされたのだ。オレは両親を撲殺するための力をもらう代わりにキウズアと呼ばれるなぞの怪物と戦うことになったわけだ。
待てよ、なんだかんだその両親をブッコロガスための力を得たはずなのに使ってねえな。なんか毎日毎日心の準備が整わねえし。昨日に至っては妻のいるじいさんのナンパ受けちゃったしな・・・ダメだ!浮気など世の中にあってはならない。
だが今日オレはシラコに頼まれてキウズア退治に向かうといっても一見オレは人の多い町を歩いているだけのように見える。シラコいわくウクリー(異次元に住む生物(?))にとりつかれた人間はとりつかれたことに気づくことはないらしい。(XIRACO-シラコは例外的に意図的に取り付くヒトに正体を明かす)ところが特殊な攻撃性フェロモンに反応すると取り付いた人間をキウズアという化け物に変身させる。そしたら人気のないところでそいつをブッコロガス。以上だ・・・
(おいシラコ、本当にこれで見つかるのか?)
『ボクチャンに聞くな。狩や釣りは長期決戦なんだよ。フツーは。けどよーそういうのと比べたらボクチャンたちの戦いなんて楽なもんだぜ。(思想誘導だな、これ)トワコ君はフェロモンを撒き散らしながら人口密集地を歩き回っていればいい。』
(昨日はあれだけ大人のナンパに乗るなといってたくせにか?)
『敵は大人の男とは限らないさ。コンニャク何とかだっけ?』
(老若男女だと思うぜ、それ)
約十五分後シラコはターゲットを発見する。身長は高いが優しい顔をした男であった。オレはそいつを速足で追い回す。男は迷惑そうな顔をする。だが三分ほど後ろをつけていくと男は汗をかき顔にも恐怖がにじみ出てくる。そして、男はついに人の少ない住宅地に走り出したのだ。
(おい、シラコ。ハジメちゃんっていつもこうやってキウズア狩ってたのか?)
『まあそんなカンジだな。けどよーこんなに必死に逃げ回ったって前例はないな。』
約二十分後ターゲットは人のいない民家に逃げ込む。ここで戦ってくださいか。オレはその場で変身(原理はいつか説明)をして土煙を立てる。オレは家に侵入しようと軽く駆ける。だがシラコはいきなりオレの体の運転を奪うとひざをたたんで転ばす。
(シラコ!!何っい!!)シュッ!!
オレが地面に背中をつけると小便臭い包丁が転ぶ前のオレのしゃれこうべが一秒前にあった位置を通過するのであった。
(何だこれ?)
『汗か小便(成分はかなり酷似している)を刃に塗りつけた包丁だ。敵が民家の中から投げつけたやつだ。トワコ君にはわからなかったと思う。けどよースゲー勢いで振動してたぜ。(シラコを含むウクリーはアクセスした人間の肉体を構成する物質を好きなようにコントロールする力がある、しかし、肉体の外に存在する物質をコントロールするには血液等の体液を染み込ませる必要がある、投げられた包丁が振動していたのは切れ味をあげるため)』
(それ何の意味があるんだ?)(トワコは前文の括弧内の説明を聞かされていない)
『気になるのはわかる。けどよー今は戦うことだけに集中しな。』
オレは横に転がって次に投げつけられたまな板をよけるとそのへんに落ちていた石を民家の敵が近くにいないだろう窓に投げつける。ヤローが驚いている(あくまでもトワコの妄想)うちにオレは破れた窓から民家に飛び込む。(軽くいっちゃうけど割りと危険な行為)おっと危うくガラスを踏むとこだったぜ。
(シラコヤローはどこだ?)
『十時の方向だ。けどよー探すな止まれ。向こうから来るから。』
ガチャッ
ヤローはドアを開けてオレと鉢合わせになる。だが、ヤローは床に地らからばったガラス破片を見たとたんにドアを閉めなおす。カワイイヤツだな。今回の敵は紫色のトラのような足とワニのような肌をした人の胴体を持つキウズア・オーニーシーである。ん?なんか焦げ臭い。
『トワコ君、敵が外から火を放った。けどよーしゃがまずに(常識のある人なら火事が発生したら有毒ガスを吸わないためにしゃがむはず)右にある柔らかそうな壁をブチ破って脱出だ。』
(ラジャー)
オレは柔らかそうな壁に思いっきり体当たりをして壁をブチ破る。だが、これは間違いであった。オーニーシは待ち伏せをして壁から出てきたオレに飛び掛ってきたのだ。オレとヤローはそのまま転がっていく。
(シラコテメー)
『すまないっおいトワコ君歯をくいしばれっ!舌かむぞっ!』
オレとオーニーシはもみ合いをしながら階段を転がっていく。(前も行ったけどマネするなよ読者諸君)なんてこった・・・気持ちワリーぜ。しかもヤロー地下一階に着いたときにドサクサにまぎれて巴投げしてきやがった。無論ヤローはオレより先に立ち上がりオレに飛び掛ってくる。オレはすばやくそれに反応するとヤローの足をつかんでから思いっきりひっくり返す。(スカートめくり)
ドリャアアァァァ!!バシッ!バキッ!
オレとオーニーシは互いに体勢を立て直すと殴り合いを開始する。どうやらリーチとこれまでの経験のおかげで戦闘を有利に進めていくことができたぜ。オレは顔面パンチでヤローを吹っ飛ばすとさらに敵に飛び掛る。
するとヤローはオレを合気道のような投げで地下室の壁にたたきつける。やったな!!オレはヤローに背負い投げや巴投げで地面にたたきつける。(土煙を立ててね)ヤローも負けじとオレを投げ飛ばす。この投げあいに関してもオレのほうが有利であった。四回投げられ五回投げるとヤローは先ほどの階段で一階に駆け上がる。もちろんオレはそれを追う。
『トワコ君下がれっ!』
ドン!
地上一階に着く直前オーニーシはオレを突き飛ばしたのだ。うおおおお!冗談じゃねえ!オレはゴロゴロと階段を転げ落ちる。三角器がいかれそうだ。だが、いざ地上一階に着いてみると思ったより体は痛まなかった。
『ボクチャンは以前ハジメ君を階段落ちから救ったことがあるんだぜ。けどよー他社と組み合いながら階段落ちをする主人は助けたかとがない。』
(あー感謝するぜ。)
『もう一度階段を上るんだ。手裏剣で敵をけん制しつつな。』
オレは再び階段を駆け上がるとシラコに言われたとおりにレトートをオーニーシに向けて撃って牽制する。一階まで登り切ったオレは勢いでヤローを投げ飛ばす。オレはタイラー光線を撃つために構える。このビームってやつは当たりさえすれば一撃必殺なんだけど出るまで時間がなあ。
バシッ!
オーニーシは近くに落ちていたやかんを投げつけてきたのだ。ビームは中断されオレの体力だけが無駄になったのだ。オレは一瞬めまいに襲われ動きを止めてしまう。ヤローはチャンスとばかりにオレを壁にたたきつけると首を絞めてきたのだ。いっ息がっ!やばい本当に死ぬな!ヤローはどんどん手にかける力を強めてくる。
『トワコ君反撃は三秒後だ!!』
シラコ・・・こんな・・・時に・・・どんな・・・方法・・・ん?オーニーシはなぜかオレの首から手を離すと自らの首に手を当てる。
(何が起こってんだ?シラコ。)
『前回使ったハッキングだぜ。けどよー正しくは感覚共有か?とりあえず戦え。』
オレはとりあえずラリアットでオーニーシをノックアウトさせるとタイラー光線を撃つ。
「この世界は美しい春は桜の花が散り夏にはヒマワリが・・・」
チュドーン!!ブチィ!!
『耳!!』
オーニーシが爆発したときオレの耳に激痛が走る。何だこれ!?
『こんな狭い空間で爆破したからだ。けどよー大丈夫。鼓膜はボクチャンが修理しといてやる。一時間もすれば直る。』
(破けたのか。)
『今回は仕方ないぜ。けどよー今回は後処理がメンドクサイから急いでくれ。』
シラコの食事とやらが済むとオレは民家に残っている指紋等自らがここにいた証拠を消して家に火をつけてからその場を去る。
つづく・・・トワコの戦いは続く