EP13 緑色のストーカー
朝・・・上半身がギシギシする。だが、朝の筋トレをやらないわけにはいかない。これはオレの強さの秘訣なんだぜ。今日もバタフライマシン(胸筋を鍛えるための器具)に座り込む。さて・・・っておい体が動かねえ。シラコの仕業か?
『日課であることはよくわかる。けどよー今日はやめとけ。なんせ今日の上半身のフレームはガタガタだからな。』
(大丈夫だ、オレは強いから。)
『大丈夫じゃないから注意してんだろトワコ君。けどよー無理やりやろうとしたらボクチャンが無理やり体の運転を奪うぜ。』
(だったら上半身の修理急げよ。オレ待ってらんねーぜ。)
『そうあせるなって合理的かつ効率的な速度で直してやってんだぜ。今日の昼ごろまでには大好きな筋トレができるようになるぜ。ついでに肉体とOSも回収してやるぜ。』
(どういうふうにだ?)
『前回の戦いでわかったことがある。ズバリトワコ君はパンチが下手であると。原因はトワコ君はパンチを打つと拳を目標にさらに押し込もうとする。するとパンチによって発生した衝撃はそのままトワコ君自身の体に伝わってしまう。もし前回の戦いでもう六発打っていたら脱臼していたぜ。けどよーそこでボクチャンはトワコ君を改造したわけだ。まずはパンチをるると無意識のうちに腕を引っ込めるようにOSをいじったぜ。これで自らおこした衝撃によるダメージを減らしてさらには敵に対するダメージも大きくなる。(その点ハジメは理想的な動きをしていた、自分の出力の低さを把握していた彼女は戦闘中に敵に打撃を加えると敵に捕まらないように即座に一歩下がっていたからだ)次にパンチ後に関節が外れて衝撃が上半身の筋肉に吸収されるようにしてやったってわけさ。』
(なんだかよくわからなかったぜ、歴史の教科書見たらわかるか?)
『せめて生物か物理と言え!この脳筋ホルスタイン!』
朝筋トレをしなかったおかげで朝、家をいつもより早くで倒れは余裕を持って学校に着いたぜ。オレは自分の席に腰を下ろしてから引き出しに手を突っ込む。プリントはなし・・・昨日は特に宿題は出なかったか。まあいいや。その場で顔を上げるとそこには紫色の目と髪を持つ(本当は髪の色紫なら目は赤にしたい、ところが諸事情あってこうなった、作者はこの色の組み合わせの女キャラが好きである)オレの幼馴染刷井蜜弧だ。
「トワちゃん貴兄はまた学校をサボったな。」
「ルッセーな調子悪かったんだよアッ?オレは朝から機嫌ワリーんだよ。」
「貴兄我輩の話し聞けい!」
「アッ!?また豚足が何やら間やらって話か?そんなの聞き飽きたブッコロス。」
「豚足じゃなくて規則なの!それに人様に向かって「殺す」ですと?それは本当に必要な人がどうしようもないときに使うものなの。今日はそこだけでも徹底的に覚えてもらうよ。トワちゃん。」
「ってって・・・テメーはオレのお袋にでもなったつもりか?」
「そーなの。人は誰しもなることができるの。心の母か父なら。」
「気持ち悪いぜ。テメーの娘になるのは御免被りたいぜ。」
「ものは考えよう次第なの。我輩には我輩の正義が・・・」
キーンコーンカーンコーン
チャイムだ。お説教はこれでおしまいか。ミツコは悔しそうな顔をしながら自分の席に去っていった。授業か・・・空気イス!!ってまた体が動かねえ。シラコか。
『トワコ君今日は空気イスも禁止だぜ。』
(じゃあ座ったままどこ鍛えればいいんだ?オレは24時間中10時間は体鍛えてねえと気がすまないんだ。)
『昼まではどこも鍛えなくていい。けどよーたまには授業聴くことをオススメする。頼むから目立つことはしないでくれ。ボクチャンたちの戦いが世間にバレて一番困るのはトワコ君だからな。』
(なんだかんだ困るのはテメーのほうだろ?オレカンケーネーし。)
『たしかにボクチャンは困るけどよーボクチャンはトワコ君を分解して他人に乗り移って逃げることが可能だ。』
(ハイハイわかったから黙っててくれ。オレは不良だから寝るぜ。)
『エセDQNが・・・けどよートワコ君が勉強をしないのは初歩がダメなせいでとかの連中についていけないのが怖いだけだろ?』
(それがどうした、オレを軽蔑するつもりか?マシュマロ野郎)
『ボクチャンはXIRACO-シラコ!ちょっと待て今インストール中だ・・・よしっ黒板を見てみな。』
(・・・微分二回・・・何やってるか・・・分かる?)
こいつは驚いたぜ。オレは高1の最初らへんで荒れてからろくに勉強についていけなくなったが今は分かる。今やってんのは「数Ⅱ」か。(そこからかよ。)だがなぜ?
『以前取り付いていたヒトたちの記憶だ。ハジメ君の分もな。』
(人様の記憶ね・・・少々気味悪いが授業で言ってることが分かるって楽しいもんだな。それにしても人様の記憶か。)
『おっとインストールしてやったのはベンキョーについての記号だけだ。他のやばいもんは覗かせないぞ。』
(チッ・・・バレたか。)
『トワコ君の人格に変化をもたらすようなもんはインストールしないぞ。それともうひ一つ。』
(あ?)
『今トワコ君はベンキョーができる状態だ。けどよー使わないと自分の身にはつかないぜ。それと古典と漢文だけは自分でベンキョーしてくれ。』
上半身の修理と学校の授業の終わったオレは行きつけのジムに向かう。それにしても朝起きてから一度も筋トレができなかったせいかやけにイライラする。そういえばオレから筋トレ取ったら何が残るんだ?クソオヤジとクソババアに対する復讐か?
『で、その復習が終わったら何が残るんだ?けどよー早くやらねえと少年院にはいけないぜ。』
(テメーは黙ってろ。ってより勝手にオレの脳覗いてんじゃねえ。)
『やれやれ、トワコ君は気を張りすぎなんだ。体に悪いぜ。特に消化器官にっておい後ろから何か来る。』
オレは後ろを振り向く。近づいてくるのは一人乗りの自転車に二人乗りをするカップルとそれを追いかけつつ注意をするミツコの姿であった。あいつはいつもそうだ。やけに正義感が強くて落ち着きがないもっと・・・やめとこ。
『なートワコ君そろそろ不良と復讐やめてみるってのはどうだ?そりゃフツーに戻るってのはメンドーかもしれない。けどよー不良と復讐やめたらもう気を張る必要はないんだぜ。勉強の知識は十分あるしいつでも脱DQNできるぞ。』
(ルッセーオレにはやるべきことがあるんだよ。)
『まあまあそんなこといわずにもっと丸くイコーよ恥ずかしいのは分かるぜ。けどよーやるべきことってさー両親撲殺した後に何が残るんだよそれに不良やめれば親友の悩みの種も一つ減るんだぜ。』
(いらねーよそんな忠告。オレそもそもヤツはただの幼馴染であって親友じゃねえ。オレは別に両親もミツコもぜんぜん気になってないぜ。)
『やっぱりウザいな。リアルツンデレは・・・』
(なんだテメー!ブッコロガス!このマシュマロ野郎!)
バシッ!
するとオレの右手の拳を握りしめてから自らの顔面にパンチをはなった?オレは豆鉄砲を食らった鳩の如くボーゼンとなる。ほおが痛え。おのれシラコ俺の運転奪ったなんてことしてくれやがる。
『思い知ったかトワコ君、ボクチャンは優しいぜ。けどよー仏じゃないんだ。次ボクチャンに逆らったら露出狂にするぞ。』
(テッテメー!この・・・)
「ひいっ!」
何だ?見知らぬ男がオレの顔を見た途端に回れ右をしてから逃げていきやがった。こいつはウクリーに取りつかれてんのか?
『その通りだ追うぞ!走れ!』
シラコのヤローまたオレの脳覗いていやがったか。オレは仕方なく男の後を追う。だが男の足は速かった。
『・・・あのなトワコ君の足が遅いだけだ。けどよーOSいじってやる。』
その三秒後にオレの走行速度は男を上回った。(トワコの走行フォームはかなり汚く速度が出ない。そこでXIRACO-シラコはきれいなハジメの走行フォームをインストールしたのだ、ついでにトワコは巨乳だけど雰囲気の都合上あまり揺らさないでね)オレと男の距離は少しずつ狭くなっていく。もう少しで・・・といったところで男はいきなりカーブをして駐車場に侵入した。もちろんオレも少し遅れてカーブして駐車場に侵入する。どこだ?ん?男はドアの開いた車の前で持ち主と思われるじいさんを怒鳴りつけていた。車で逃げる気か?
「もう逃がさないぜ!」
あわてた男は例のじいさんを突き飛ばしてから車に乗り込む。オレは気づいたら突き飛ばされたじいさんをスライディングで受け止めていた。しまった!逃してしまう!しかし・・・
「何だこの車!?動かないだとっ!?」
運がよかったぜ。この車はマニュアル(オートマチック車と違いクラッチをうまく使いこなさなしと使い物にならない)か。オレは地面に倒れたじいさんの隣に荷物を置くと車のドアを開いた。
つづく トワコの拳はどこに向かう?