第十話 赤い・・・
私一ハジメは戦士であります。愛と正義と自己満足のために他人の命を奪う化け物キウズア四人と民間人を一人葬りました。私は正しいことをしていたはずであります。しかし、気づいた心がボロボロになっていました。どうやらPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患ってしまったようであります。そんな中彼氏・カヲル君は私にとっての安らぎの依代になっていました。ところがカヲル君はキウズア・サイットとなり私に襲いかかってきたのであります。サイットことカヲル君の猛攻を受けるなか私は正気を失いかけましたが何とかなすべきことを見出して反撃を開始するために変身をしたのであります。
先ほどまでの行動と外見よりサイットは近接戦闘が得意なタイプであると考えられます。一方体重のない私は勢いをつけた攻撃を中心とした戦法を使いますので今いる狭い教室では不利になってしまいます。そこで私は教室から出てもう少し広いところに戦場を移すために教室を出ることにしました。現在サイットは地面に手をつけていますので(詳しい経緯は前話で)すぐに教室の扉まで走っていきました。ところが・・・
「ハジメちゃんってカワイー」
「・・・本当ですか?」
『うれしいのはわかる。けどよー今のカヲル君は敵なの。』
私はうっかりサイットの言葉に耳を貸して動きを止めてしました。その隙にサイットは私の背後に迫ってきます。それでも私は教室から出ようと体を動かしたもののポニーテールの先端をつかまれて地面に転がされてしまいました。やはり一ヶ月に一度は床屋に行くべきでした。敵はさらに私を踏みつけようとしたもののカポエラーキックで敵を跳ね飛ばして阻止しました。
『よしっハジメ君教室を出たら追いつかれるほどの速度で階段に向かって走れ。』
(了解であります。)
私は教室を出て階段に向かって走っていきました。サイットは五秒ほどで私の背後につきましたがこれは私の罠であります。私は敵の真上にジャンプすると両足でサイットの首をつかんでから腰をひねって横スピンをかけてサイットのバランスを崩しました。(アリジゴクインターセプト)慣性の法則(要は動いている物体は動き続けて止まっている物体は止まり続けるということ、ただし周りから力がかからないときに限定される)の影響を受けたサイットは階段から転がり落ちました。無論私も階段から転がり落ちることになりましたが受身をとったおかげでほぼ無傷で済みました。(よいこの読者諸君は真似しないでね、プロのスタントマンだって腕の骨折ることあるので)
私は立ち上がるとすぐに鼻血を床に塗りつけて横線を書くと一歩下がりました。敵も一歩引くと内側の両腕を(サイットの体の構造は前話か登場人物紹介で確認してね)クロスさせてからビームを撃ってきました。すると血を塗ったところを基点に床の一部がめくれて立ち上がったのであります。(畳返しのようなイメージで、軽く埃を散らして雰囲気を出そう)このトリックは前回(第八話)のスーヅッキの使っていた錬金術(適切な言葉が浮かばなかったのでこれで)の応用なのであります。(詳しく説明するとXIRACO-シラコにはハジメのように頭にアクセスをした人間の神経やタンパク質等を自らの制御下におけるのだ、ハジメが床に自らの血を塗りつけたのは床の一部をXIRACO-シラコの制御下に置くため、ついでにこの技の制御下に置かれた物体は結合力が低下したり分子構造が不安定になっていたりするため某錬金術漫画のように槍等の物体を生成できても武器としては役に立たないのだ)ビームは盛り上がった床に命中して火花を出してから消えました。(前回のカッコ内で説明したように畳返しをした床の構造はヒジョーにもろい、よってこのことからサイットの撃ったビームにはほぼ物理的な作用がないことがわかる、ついでに床が爆発しなかったところからタイラー光線のような物体の分子同士の結合力を弱めるタイプではなくレトートのような神経を刺激するビームであることがわかる)
今度は私がレトートを撃って敵の動きを止めます。さらにサイットの外側の腕をつかむと連続で六発のキックを当てました。(バルカンキック)さよならカヲル君・・・まだあなたとの思い出がそんなに多くなくてよかったであります。
「ハジメちゃんってカワイー・・・やめてよ!痛いよハジメちゃん!」
「・・・でもごめんなさいっ!」
私は心を鬼にしてサイットの胴体に足を引っ掛けると巴投げの要領で投げ飛ばしました。(レッグホイップ)サイットは近くにあった窓を破って学校の外に放り出されました。これはよほど痛かったらしく敵は私に懇願をしてきました。
「助けてよハジメちゃん・・・僕は・・・ハジメちゃんの彼氏だよ。」
私はサイットと同じ窓から外に飛び降りてからタイラー光線の構えをしました。
「やめてよ!」
『耳を貸すな撃てっ!!』
「僕は僕は僕は・・・」
『その調子だ、発射!!』
「ハジメちゃんのことが大好きだ。」
サイットは最後の力を振り絞って私に向かって突進してきました。私は冷酷な心のない人形なのでしょうか?タイラー光線を撃ってしまいました。
チュドーン!!
『ハジメ君離れろ!』
ドガガガガ!
サイットの体が爆発した途端に私の目の前は真っ黒になりました。爆発する敵ともっと距離をとっておくべきでした。
おやっ?私は爆風に巻き込まれたでありますか?気がついたら私は地面に仰向けで倒れていました。なぜでしょうか?体がやけに軽くて痛みというものがまったくありませんでした。それどころかやけに体が軽くて気分がいいものでした。でも、起き上がることができませんでした。
(シラコさん、今私はどういう状況にありますか?)
『何を見ても驚くなよ。とりあえず首を起こせ。』
(えっ?これは・・・)
首を上げるとそこに見えたものは赤黒い液体を流す私の胴体でありました。私は背中に寒気が走りました。要するに体が軽くなっていたのは体が回復したからではなく寿命が後わずかになり神経が狂ったからであります。(ハジメの流したちが赤黒いのは肝臓が破けたからだと考えられる)
「シラコさん止めてください!』
『直してやりたい。けどよーもう手遅れだ。遺言はあるか?』
「止めてください・・・」
『だからもう遅いんだ。本当にすまなかった。ハジメ君。』
「私は死にますか?わかっていても怖いんです。」
『無理もねえ。けどよーボクチャンもそのときが来たら怖くなる。だからあえて怖くはないとはいえない。だから今は自分の死について以外に集中していてくれ。』
「それなら・・・それなら・・・カヲル君・・・は?」
『カヲル君は木っ端微塵さ。』
「だったら母さん・・・あと・・・父・・・さんに・・・ありが・・・と・・・う・・・って・・・(ご臨終)」
『すまない。本当にすまないハジメ君、今聞こえていないとわかっていても言いたくなる。ボクチャンはこれから食事をした後ハジメ君の体を分解して新しい宿主の頭にアクセスする。ハジメ君のことは後々の戦士に英雄だったと伝えておいてやる。・・・おっと感慨に浸っている場合じゃない。食事だ食事・・・待ってろよ。対馬井永遠子君。』
つづく こうして初代フーワカは消えたのである。XIRACO-シラコは新たなるフーワカを探すのだ。果たして対馬井トワコはどのような人間であるのか・・・
一ハジメ編終了




