千年死期 ①
雲が少なく、よく晴れた青空の日。濃紫髪の青年はゴロツキ集団に追われ走っていた。
「はあ……しつこいな……」
「まてやこら!!」
■
「皇帝陛下が崩御なされた!?」
「ああ、お前が遠征から帰還する数分前に持病が悪化なされてな」
「……なんということだ」
「陛下には世継ぎ(セジャ)がおらん」
「では国はどうなる?」
「陛下には行方しれずの弟がおってな、人と龍の混血児がおるはずじゃ」
「私が探して来よう」
■
「ここどこだろ……」
肌の面積が多い衣服の薄紫髪の少女は見知らぬ街を歩く。
彼女はゴロツキを避けながら隠れて道を進む青年を見つける。
彼はひっそりとした路地で鼻に違和感を覚えた。
「……!」
調節すれば小さく、聞こえないくしゃみにできるだろうと押さえようと耐える。
「あ……やべ……へくし!」
「見つけたぞ!!」
ゴロツキは直ぐに青年を見つける。
「く……誰か……」
助けを求めようとした青年は気がつくと身体が浮いていた。
「飛ぶとは卑怯な!!」
「えっ?」
翼の生えた少女が青年を抱えているのである。
「オニーサン悪い人達に追われてるみたいだから助けたよ!」
「ありがとう、見知らぬ龍神のお嬢さん」
チャイカでは龍と人間のハーフは崇拝されるもの。
「私はドラゴンだけど、神様なんかじゃないよ……」
「?」
「なんでもないよ!アナタどこいきたいの?」
「わからない。悪人に狙われてるから逃げてたんだ」