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異常者デガダンス 一話


「薄っぺらい人生だ」


これから死ぬ奴の経歴が記された紙をめくる。

うんざりするほど膨大なページ。字数は人によって異なるが、大した功績も悪名もなく一ページで事足りる。


「この程度ならジャポナスの大統領をぶっ殺したほうがまだいい」


我々局員はジャポナスの大統領に裏で雇われている。

異常者という名のただ大統領が気に入らない社会不適合者を片っ端から消すだけの作業。


「その異常者を消してるのも、また異常者なんだが……」


ガムや煙草の吸い殻が捨てられている。

どうでもいいしともかく踏まなくてよかったと小さな関心を持つ。


キャバクラやホスト、酒や賭博などの俗物は排除。


「刺激も娯楽もないクソみたいな社会になったもんだぜ」


大半の人間は機械から生まれ、まるでロボットと変わらねえ。

ああ、なんで俺は人間から生まれたんだ。

淘汰されるべき自分の意思なんてものを持ってきた。


「おい、そこのお兄ちゃん」

「あ?」



まるで世紀末のような髪型の男、露出の高い下品な女。

ここは廃ビル、反乱分子とやらに捕まってしまったらしい。

俺は裏で異常者を排除する局員だが、戦闘タイプではない。

いわゆる管理職という立場なのだ。


「ねえ、アタシ達これから殺し合いするんだけど」

「アンタも参加していかね?」


「はあ?」


こいつら馬鹿なのか、今時そんな殺し合いゲームなんて流行らないろ。

いや、こんな鶏みてえな頭してる時点で馬鹿以外の何者でもない奴だ。


「なんて冗談だよ純粋培養の局員さんには刺激が強かったか」

「まああたしらだけでやるから、アンタはそこで縛られてな」


「待てよ」

「?」


「なぜここに連れてこられたか、なんてどうでもいいが縄を解け」

「やだよ、解いたら密告されっし」


恐らくやつらは俺が目的ではなく、局員がいたので廃ビルを見つけられる前に捕えたのだろう。

コソコソされるより、目の前につれてきたほうがてっとり早いからな。


「その殺し合いとやらに、参加するって言ってるんだよ」

「つってもアンタ局員だし、俺らみたいな異能の力はねーだろ?」


そう、異常者と呼ばれるものは漫画によくある魔法のような力を使う奴等。

他の宇宙からきた人間からもたらされた機械から人間が生まれるようになり、この地球は異星人の混血だらけになった。


だから力を使う奴は消される。力を使えない奴は害がないから消されない。

ただたんにそれだけなのだ。


「問題はねえよ。戦おうぜ」


――体を縛るロープは勝手にほどけた。

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