討伐確定の魔王、現代逃亡中 1魔王は人間界で何を果たすか?
魔王の子として魔法界に生を受けたレオニズは魔王の座を受け継ぐ。
人間の国を攻めることが約束された役割りである。だが、魔王は勇者に倒される運命にあるのが世の常というものだった。
大人の事情で善と悪が存在し、勇者と魔王の戦で経済効果を起こし協力国の政敵となる権力者の排除もあった。
「余は飾りの魔王などごめんだ!」
そう思いたって、この状況を打開する方法を考える。昔読んだ書物に書いてあったのは魔法のない世界。
その世界はこちらと似ていて、科学という技術がある。その世界には美味い料理、こちらにも存在するテレビより薄い最新型があるというのだ。
「ヴラウン管はもう嫌だ」
レオニズはそちらへ行くことにした。
「到着だ。魔王は隠居してそれなりに幸せに暮らしましたとさ」
そこらの人間から穏便に家を奪い取り、マイホームを手に入れた。
こちらの世界については父王が勇者に討伐されたフリをして隠居する際に幼き息子へ遺した書物で学んだ。
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人間界は基本的に安全であると書物には記されていて、安全ならばいいかとまったり過ごす。
睡眠は不要なため眠ることはないが、一応ベッドの上でゴロゴロしてみる。
「うおおおおおお!」
何やら人間の小僧が騒いでいる声が聞こえてくるではないか。
「追い詰めたぞ! 覚悟しろ魔王!」
カーテンの隙間から外を覗き見ると仲間を引き連れた少年勇者が家の前を通っていく。
「嘘だろ……なんで……」
魔法界から出たら治外法権ではないのか? 自分を追いかけここまでたどり着いたというのか、ダラダラと汗が止まらない。
「たろー勇者役かわれよ」
「次ぼく!」
「えー」
「タロがマオウな」
「ぜってえやだ!」
そんなに嫌がらなくても……ぴえん……。
ずっと窓硝子ごしに、やりとりを観察している間に突然視界が黒くなる。
完全な黒ではない、何かが動く、これはなんだ……至近距離に眼球がある!
「うわあああああああああああ!」
後ずさりして今のはなんだろうかと視点を隙間へやると女がこちらをニチャリと見ていた。
人間界でムヤミに魔法を使ってはいけないと聞くが、今のは命の危険を感じた。
「あれはゴーストだな」
魔王たるもの、幽霊を怖がってはいかん。
「お隣さんへのご挨拶は……ソバかうどんか」
外はあの幽霊女がうろついていて、出られそうにない。仕方がないので分身に挨拶させよう。
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「お隣に誰か引っ越してきたみたいね」
「




