ゲームのポイント振りって時間をすごいかかるよね。
異世界の設定、主にスキルについてのお話。後書きに要約があります。
最小技能取得単位、
長いので俺は勝手にGPとよんでいるが、古白がいうには俺の持っている53461ポイントというのは結構な量らしい。ここにあと半日以上いると、このポイントがどんどん減っていくらしいので、色んな事をどんどん聞いてさっさとスキルやアイテムをゲットしてしまう事にする。取り敢えず紙に書いて整理したいので、書くものと紙を頼んだ。
まずさっき言われた異世界言語Lv1(10000p)と異世界入門セット(30p)を書き出す。これで残りは43431ポイントである。しかしそもそもどんなアイテムやスキルが存在しているのかわからない。ここは素直に古白に聞いておこう。
「なんか他にお勧めの道具とか、とっといた方が良い技能ってありますかね。」
「そうですね、肉体強化とか魔力操作とかは基本ですかね。身体は資本ですし、基礎力上昇系は単純なだけに強力ですね。ちなみどちらもLv1なら10Pで取得できますよ。」
まて、魔力操作だと!まさか……。
「ひょっとして魔法が存在する世界なんですか?」
期待を込めて聞いてみる。
「ええ、魔術というものがかなり一般的に広まってますね。元素魔術、精霊魔術、召喚魔術などといった様な技能項目が、かなり多岐に渡って存在しますよ。そう言えば、君の以前の世界ではそう言った技能は存在しないんでしたっけ?だとしたらここで技能を発現させておいた方がいいでしょう。魂にその使用記憶がかけらも存在していない技能が自然に発現する事はかなり稀ですから。どんな魔法が使ってみたいですか?」
それはもちろん、
「全部です。」
「え、全部ですか?元素魔術全属性開放の技能は……10000GPですね。これは精霊魔術や召喚魔術なんかは含んでいませんが、取得しますか?」
「とりあえず保留で。」
すぐにそう返すと、古白に苦笑される。
くそ、流石に全属性はポイントが高いな。しかし異世界言語取らなくてもいい方法は何かないのか?こいつがかなりのポイントを食ってる。効果と比べて割に合わない気もするぞ。英語を新しく覚えるのとはなんか違う感じなのか?
「異世界言語を何か代用できるスキルとかって存在しないんですか?」
「そうですね、技能の中だとより低いポイント数では、心を他の生物に伝える『交心』なんかは8000程で取得できますね。ただこちらは情報を伝える精度が言語より低く、しかも感情そのものをダイレクトに伝える感じになりますのでコミュニケーションの手段としてはあまりお勧めはできませんね。
そもそも君の場合は魂の成熟度の関係もあって18歳ぐらいの肉体で世界に放り出されるわけですから、その年で言語の一つも習得せずに人族が放浪なんかしていたら不完全な魂を持つ人に化けた魔物かなにかと勘違いされて最悪、有無を言わさないまま戦闘になって殺されますね。」
相変わらず異世界こわっ。というか何となく予想してたがやっぱりコミュニケーションは大切か。そうか、そういう意味でも異世界言語は外せないのね。しかしそもそもGPってどうやって増やすんだ?教えて!古白さん!
「位階が上がる際に幾らか加算されますね。加算されないこともありますが。あとは本当に特殊な状況下で手に入ることもあるそうですよ。」
じゃあその時に得たGPはどうやって使用するんだ?そのままほっといても新たな技能や道具は取得出来ないよね?ポイント溜まっても使えないと意味なくないか?俺の前世で持っていたヨドバシ○メラのポイントカードを思い出すな。ここにいつでもこられるわけではないだろうし。これについても聞いてみる。
「修練の祠、いわゆるダンジョンと呼ばれている場所の最下層や地脈の噴出領域内にごく稀に出現する祭壇で使えますね。そこで儀式を行うと意識と魂の一部を、今いるこの場所につなげてポイントを使用する事ができます。儀式の際には道具や素材も同時に生贄として捧げることでより多くのポイントを手にすることもできますよ。ちなみに祭壇は一度使うとしばらくの間使えなくなったり、その場からなくなったりするので儀式を行うならその辺りも注意しておいてください。」
うーむ、聞いてる感じだと結構めんどくさい手順を踏まないとGPは使用できないっぽいな。よし、可能な限り今あるGPを使い切る方向でいこう。待てよ、技能はGPでしか入手出来ないのか?別の取得方があるなら、そっちでとった方が良くないか?よし、困ったら直ぐに聞こう。聞くだけならタダだしな。
「技能のGP以外での入手方法ですか?十分な訓練を重ねた後、魂の位階が上がった瞬間に入手できる事たまにあるみたいですね。特に剣術、槍術、格闘術、盾術など一定の技術水準に到達する為の訓練過程がある程度はっきりしている技能は後天的に発現しやすいと言われていますね。逆に魔眼や聖骨、魔爪と言ったような身体的特殊性が強い技能は種族にもよりますが位階が上がる事で発現する可能性はまずないですね。後は世界を放浪している上位存在とか精霊に祝福を受けるとかですね。特殊な道具なんかを所持した場合に一時的に得る事が可能だったりもしますよ。」
んん?なんかややこしいな、筋トレしてLvあげたら肉体強化とかのスキルが入手できるって感じなのか?取り敢えず魔眼という響きにはものすごく惹かれるな。しかし結局技能っていうのは根本的には一体どんなものなんだ?これもさっさと聞いてしまうか。
「技能がどういったものかいまいち分かり辛い……ですか?そうですね、技能とはこの世界全体の記憶の中から概算されたその個人の持つ能力をある程度比較可能にする相対的評価の尺度、と言った感じですかね。」
よけいわかんなくなった気がする。
「すいません、ややこし言い方でしたね。そうですね……、例えば初心者セットの中に鑑定石板という道具があります。これは手に触れているものの詳細な情報を写し出す道具ですがこの石板がなんの情報を読み取っているかというと、実は対象の魂の記憶を読み取っているのです。そしてあらゆる魂は他のあらゆる魂と互いに影響しあっているものであり、目に見えない形でつながりあっています。まあ正確には世界全体がつながっているというよりは魂同士がつながる事によって世界が形作られている、と言った方がより正確な表現になるんですけどね……。
話は戻りますが、技能というのはこの性質を利用してその魂がどの様な性質を持っているか分かりやすい様にタグ付したものなのです。つまり本来の技能とはその魂がすでに持っている使用可能な技術の階級を表したものなのです。そしてその階級は今までの世界の記憶と照らし合わせて設定されているのです。
もうお気づきかと思われますが、これから君の生きていく世界は、以前あなたが生き抜いた世界とは異なり多くの上位存在たちによって介入または管理されている世界です。そもそもこの世界の成り立ち自体が他の輪廻の輪から逸脱したものたちを集めて正常化させようとする事を目的とした世界ですからね。」
なんかそこだけ聞くとゴミ箱みたいなもの世界に聞こえるな、一部は可能ならリサイクルしましょうとも聞こえるし。まあ実際俺みたいな魂を放置してたらその魂のいた世界ごと崩壊して「そして誰もいなくなった……。」みたいな事が起こるのを防いでいるだけじゃなく、他の場所で生きていける様に取り計らってくれていると考えればずいぶんと良心的な対応のような気もする。
「しかしタグ付けですか、そういう情報は誰でも閲覧できるんですか?」
「ええ、元々は上位存在達が各個体の魂の情報を閲覧する為に作ったものですが。このシステムはこの世界の中の肉体に付随する性質として含まれているものです。その為、自分の魂の情報なんかは『言霊』を用いればいつでも簡単に参照できますよ。また他人のものであっても相手の同意があれば簡単に閲覧できますし、自分のものを他人に見せる時は、一部制限をかけたりもできます。特殊な事例としては、対応する技能を用いる事で盗み見たり、隠蔽したり、改竄して誤情報をあたえる事も可能です。」
「なるほど、なんとなくは理解できました。けど『言霊』っていうのはなんですか?」
「ああ、それは無属性魔術の一部に属するものの内、特に世界の法則そのものを利用することで魔力を用いる事なく言葉のみで現象を引き起こす術式の総称です。要は魔術の様に特定の呪文を唱えることで特定の効果を引き起こすものの一種だと思ってください。
ちなみに魂の情報をみる場合だと『情報開示』という言葉がそれに当たりますね。言霊についてはシステムワードなどと呼ぶ人もいるみたいですが……。
ちなみに君の場合は今はまだ肉体を創りあげている途中なので魂の情報を閲覧する事はできませんよ。」
ふーむ、なるほど。しかし剣術とか槍術とか戦闘推奨の世界っぽいし、自身の魂の情報、つまりゲームでいうステータス情報ってかなり重要じゃないのか?できれば隠蔽したいな、そして盗み見たい。ステータス情報が分かれば戦える相手とそうでない相手の判断がより的確に素早くできそうだし……。どんな技能が対応しているんだろう?
「情報関連の技能ですか?そうですね、『神眼』や『鑑定眼』といった種類の魔眼なんかは有名どころですね。でもこの技能を取得するには100000P以上かかるので現時点では入手不可能ですね。
相手の同意を必要としないで情報を得られるものでは『鑑定』系の技能なんかは有名どころですね。ただこっちは見るだけでなく触るとか他の条件を満たしていないと情報を入手できないですよ。情報量によって、下級鑑定、中級鑑定、上級鑑定と別れますが。これらは技能のレベルにもよりますが、今の君でも取れないことはないですね。後は情報の一部が覗けるものに、特殊鑑定や心眼なんかがありますね。
一方で情報を隠すものには、隠蔽、情報改竄なんかがそれに当たりますね。こちらにも等級があって、対応した等級と同じレベルの鑑定以上の情報を遮断したり改竄したりできますね。こちらは世界の情報を読み取るものではなく、自身の情報にだけ作用しているせいか鑑定系ほど必要とするポイントは高く無いですね。どうします、取得しますか?」
うーむ、鑑定スキルって小説とかでチート扱いされてるから欲しいんだが、今の状態じゃGPとの兼ね合いもあって無理か。待てよ、アイテムで代用できるんじゃ無いか?鑑定石とかあるみたいだし。
「そっちも保留で、アイテムで代用とかは無理なんですか?」
「道具で代用ですか?もちろん可能ですが……。貴方だけが使える能力を得るためのポイントの総量よりも、その道具さえあれば誰でも使えるようになる、そんな道具を生成するためのポイントの総量の方が当然多くなるのでポイントの節約にはなりませんよ。まあ制約をつけたらものによっては低くなったりもしますが、使い捨て系の道具なんかはその傾向が強いですね。」
ですよねー。そんなに甘く無いか。しかしアイテムはどんなものが生成できるんだろ。やっぱり聖剣とか存在するのかな?
「そうですね、聖剣と名のつく魔導具もいくつか存在していますよ。ちなみに今まで生成されたもののうち最大のポイントを用いたものは、神剣ディスグレイアですね。約3000000P用いられました。とある試練の迷宮最下層の祭壇で他の道具や迷宮主の魔石と素材を生贄に捧げて変換された魔術剣ですが、強力すぎて使えなかったみたいですね。剣自体の能力の強大さ故に、能力発動に必要な余剰魂魄量も天井知らずになっていたみたいです。ただの丈夫で鋭い剣としてしか使用不可能な魔導具であったため、その後時代に、別の祭壇でポイントに変換され、また別のいくつかの魔導具と技能になったみたいですが……。
まあこの話からわかる様に強力な能力を持っていても使いこなせないと意味がないのです。技能を所持し、すごい魔術の打ち方を知っていても、魔力操作の等級や魔術総量が不足していたらその魔術は使用できません。技能を所持していないのと同じです。」
むむっ、これは肝に命じておかないといけない助言だな。要するになんらかの魔術技能を取得しようと思ったら、それを使用するために必要な技能をいくつかとっておく必要があるって事か。そう言う意味だったら先ほどの全属性開放の技能は死にスキルの可能性もあるのか……。うーむ少し情報を整理してみよう。
戦闘系技能、肉体強化の方法は必須。
隠蔽や鑑定の能力ができれば欲しい。
魔術系技能はGP取得で発現させないと習得するのはキツイ。
当然魔眼なんかもGP取得じゃ無いとまず無理。
道具を生成する場合のGPは基本割高になる。
ただし、誰でも使う事ができるというメリットもある。……か、
ん、誰でも?って事は当たり前だけどこの世界には様々な他人がいて社会を形成してると考えた方が良いのか。まあ魔術どうこう言ってたわけだから、この世界に存在数人間が俺一人だけって事はまずあり得ないよな。その中で生きていくのに一生一人って言うのも不可能な話だろう。そうか、別に何もかも一人でやろうと考える必要はないのか。他者と協力する技能や全員で共有できる魔導具なんかもアリなのか。それこそ結婚して子供ができれば、個人で完結してしまうスキルより家族間で共有できる魔導具の方が圧倒的に有用だろうし。うーむ、魔道具や技能の一覧表みたいなものはないのか?
「一覧表ですか?ないですね。というか作る意味が無いんですよ。魂の記憶と言うだけあってどちらも無数に存在していますし。新しい技能が認知されたり、新しい道具が開発されたりして今後も増えて行くのは確実です。さらにポイントさえつぎ込んでしまえば、この世界における魔術やなんらかの技術で再現可能なものならこの場で技能や道具として創りあげてしまう事もできますからね。いっそのことできればこんな能力はないですかと直接聞いていただけると助かります。それを入手可能なポイントの算出自体は一瞬でできますから。」
なるほどね。ならばチート系能力を持てるかどうかどんどん聞いてみようじゃないか!
ちなみにチート能力で有名な、無制限の能力コピーや能力奪取は存在するけど神眼以上のGPが必要だった。限定的なものでもその必要ポイントの高さは天井知らずであり習得不可能であった。後は生命吸収や魔力吸収、魂魄吸収、物理無効や魔術無効なども存在するが右に同じらしい。物理無効が魔術無効より膨大なGPを求めているのにもびっくりしたが、聞いて見るとどうも種族特性が関わっているらしい。
また、どのチート能力もこっちのイメージしている言葉のままの効果を発揮するわけではなく何らかの制約が課される事が多いようである。習得できても神剣とおなじ使用不可能というオチが待ってそうなので、こういった能力は現時点では無視する事にした。
とりあえずビビリなので不安要素から消して行くことにする。隠蔽スキルのポイントを聞こう。
ちなみに古白に聞いた所、隠蔽の技能は三段階×十段階の計30段階で
下級隠蔽(Lv1~Lv10:合計550GP)、装飾や衣服にに付与で約1000GP前後
中級隠蔽(Lv1~Lv10:合計1100GP)、付与は2000GP前後。
上級隠蔽(Lv1~Lv10:合計1650GP)、付与は3000GP前後。
であった。付与は素材と付与するLvにもよるが大体倍のようだ。ちなみに改竄の技能に対応するポイントが隠蔽の2倍だった。これらの効果の程はというと、上級隠蔽をMAXまで取れば神眼クラスの鑑定以外は全て弾き飛ばしてくれるらしい。
「言い忘れていて申し訳ないですが、いくつかの技能を高レベル習得している場合は類似技能の習得に必要なGPの値が減りますね。もし上級隠蔽Lv10まで習得しているのでしたら、
忍び足(50GP→20GP)、
無音移動(100GP→40GP)
擬態(100GP→40GP)
気配遮断(Lv1~Lv10:合計550→220GP)
なんかの必要GP量は節約できますよ。魔力遮断も必要GPが下がりますがこちらは魔力操作や魔力精密操作を習得しておくと更に下げれますね。」
ここで新情報かよ、忍者や暗殺者目指すわけではないが、危険が迫ったら三十六計逃げるにしかずである。類似スキルはぜひ取得しておきたい。
ちなみに
魔力操作(Lv1~Lv10:合計550GP)
魔力精密操作(Lv1~Lv10:合計1100GP)
上記すべてを取ると
魔力遮断(Lv1~Lv10:合計550GP→110GP)
となるらしい。
あと擬態スキルに関しては『擬態のローブ』と言う有名なアイテムがあり、これは周囲の魔力を半日ほどチャージすることで周囲の景色に溶け込む有名な魔導具があるらしい。こちらは制約のおかげもあり150GPでゲットできるらしい。世界に一度物質として存在したアイテムはものによっては低ポイントで再現出来るそうだ。そのせいで一概に技能だけを取るのもどうかと考えるが、まだ紙に書き出している段階なのでこの辺も今は保留である。
ちなみに基礎値強化系技能は
生命強化(Lv1~Lv10:合計550GP)
肉体強化(Lv1~Lv10:合計1100GP)
体力強化(Lv1~Lv10:合計550GP)
魔力強化(Lv1~Lv10:合計1100GP)
敏捷強化(Lv1~Lv10:合計1100GP)
といったかんじで、更に状態異常耐性強化の種類は多岐に渡り、
毒耐性(Lv1~Lv10:合計1650GP)
麻痺耐性(Lv1~Lv10:合計1650GP)
混乱耐性(Lv1~Lv10:合計1650GP)
恐怖耐性(Lv1~Lv10:合計1650GP)
石化耐性(Lv1~Lv10:合計1650GP)
盲目耐性(Lv1~Lv10:合計1650GP)
呪詛耐性(Lv1~Lv10:合計1650GP)
……
と挙げていくとキリが無い。魔術に関してはもっと複雑で、属性毎に段階が多くGP量も天井知らずで、とりあえず聞いてみた火魔術だけでも
火属性開放(1000GP)
下級火魔術(Lv1~Lv30:合計4650GP)
中級火魔術(Lv1~Lv50)
上級火魔術(Lv1~Lv100)
超級火魔術(Lv1~Lv20)
神級火魔術(Lv1~Lv10)
とこれだけある。
ちなみに注意事項として属性開放に必要なGP値は個人や種族でかなり上下する上に
更に中級以上の使用条件には他のいくつかの技能を特定Lv以上習得が関わっているらしく技能を習得していても実際には使用不可能という事もあるらしい。その他、火に近いものを操る魔術関連の技能としては、熱魔術、火精霊魔術など他系統に分類されているもや、火精霊の祝福、火炎悪魔の呪詛、など様々なものがあり個人が全部を網羅する事は不可能のようだ。
魔術の耐性に関しては、対応する属性の段階毎に項目があり
下級火魔術耐性
中級火魔術耐性
上級火魔術耐性
……
とキリが無い。
もっとひどいのが武術全般で剣術だけでも、下級・中級・上級といった段階だけでなく流派毎に別れてポイントが必要であり、当然こちらも全ての網羅は不可能そうである。
そんな感じなので、
「というか魔術だけでも全て極めた人物とか居るのか?」
と、つい聞いてしまった。
「そんな人物は居ませんね。
技能というのはこの世界の記憶そのものです。基本的に技能項目にはこの世界で使われた事のある魔術が全てタグ付されて居ます。つまり全てのタグが有効化されてる存在なんてものはある意味で世界そのものという事になってしまいますからね。と言うより、輪廻の輪を含めた世界全体のポイントの総量よりも、あらゆる種類のポイントの総和の方が圧倒的に数値として大きいですから理論上不可能ですね。
また、神級領域の魔術なんかは世界創造時に、神と呼ばれるような上位存在が用いたものが世界の記憶として記録されているものですから、本当の意味で「この世界で使いこなした個体はいるのか。」と聞かれると、「いない。」としか言えませんね。そもそもこちらも習得しても発動に必要な魂魄量を確保できないと思いますよ。
同じような理由で不滅や不老不死などの技能を知的生命体の魂に付加するには膨大な魂魄を必要とします。逆に少しの魂魄から精製可能な道具なんかに不滅を付与するのは割と楽ですね、再精製の起動術式を盛り込むだけに近いですし、限定条件を付与したりするとより必要な魂魄量は減らせますね。先ほど会話に出た不滅の作業ナイフなんかが良い例です。」
「あれ、その言い方だとこの世界では、あらゆる物質は魂魄からできて居るんですか?」
「そうですよ、先ほども言った様にあらゆる存在に魂は宿っていますから。無機物も当然です。肉体は物質からできています。そして肉体と魂は密接に関わっています。そう言われると非生命体にも当然魂魄は関わっていることがわかりやすいでしょう?命は宿っていなくとも物質には違いありませんから……。
そもそもそうで無いと魂魄から道具なんて作り出せないですし。道具なんて物質の組み合わせですし。ちなみに物質の中の魂達の大きな流れの例としては、先ほどちらっと言った地面を循環する魂魄の流れである『地脈』というものがありますね。」
「つまりあらゆるものに魂が宿ると。」
「そうですね。その認識でまちがっていないとおもいます。更に魂について言っておくとするならば、何かに影響を与えていない魂というものは存在しません。
あらゆる魂はその大小に差があったしても常に余剰魂魄を求め、自らの魂の位階を上げ、より高次元の安定な存在になろうとする性質があります。
魔法金属が地脈付近で見られる事が多い理由もここにあるのです。より魂魄を得やすい場に存在しているわけですから。」
ふーむ魔法金属とはワクワクする響きだな。しかし段々異世界の形が見えてきた気がする。とにかく技能については使いこなしたりいろんな状況に対処する為のバランスが重要って事が決定だな。
その後俺は魔術の技能を獲得した場合どうすれば魔術が使えるかや、膨大に存在するこの世界のスキルについて時間の許す限り古白に質問を続けた。
ざっくりと要約すると、あんまり酷いスキルはそう簡単に取れないよと釘を刺されたお話。