異世界設定はややこしい
自分で言うのもなんですが最初はかなりゆっくりな展開です。さっさと異世界転移後の展開が読みたい方は後書きの要約を読んで次の話へと進んでもらっても大丈夫なようにしてます。
突然、違和感を覚えて目を開けた。
目の前にひろがる緑一色の草原。
ようすけは普段着のTシャツとジーンズ姿でポツンと佇んでいた。寝ていたわけないと思うのだが何か変な夢をみていた気がする。
そう、白い夢だ。何だか記憶がぼんやりとしている。やけに白っぽい場所でやけに白っぽい誰かにやたらと偉そうな態度でなんやかんや言われる夢だ。いったい何だったのかあれは。
「つーか、ここどこよ。」
つい独り言を言ってしまう。今まで見たことも無いほど広い草原。いや、昔ネットの見た北海道の景色がこんな広さだった気がする。でもよく言われる様に写真で見るのと直接目で見るのはやっぱり違う。心なしか吸い込む空気もとても澄んでいる気がする。せっかくなので大きく息を吸い込んでみようとすると、
「ここにおられましたか。」
急に背後から声をかけられた。
振りむくと、そこには40代前後の落ち着いた雰囲気を持つ男が居た。着物の様な、そうでない様な少し変わった服を着ている。彼の向こう側には小さな庵がポツンと佇んでいるのが見えた。この広大な草原の中にたった一つだけである。あれ電気とか水道とかどうなってんの?不自然過ぎる。
「えーと……。」
誰?と顔に出ていたのだろう。彼は苦笑しながら、
「これは失礼。突然後ろから声をおかけしたせいで、ずいぶんと驚かせてしまったようですね。ここは……そうですね、あなた方の言葉を用いると『仙人界』と言った所でしょうか……。私の名は古白。ここの管理人の様なものをしております。」
仙人界?ってつまりこの人は仙人みたいなものってこと?確かになんか超然とした雰囲気がありそうな人だけど……。
こちらが状況をよく理解できず呆然としていると、
「あまり時間がないので手短に済ませましょう。あなたはおそらくここに体感時間で半日程しか滞在出来ないでしょうし。いろいろと決めてもらわないといけない事もありますので。ひとまずは、どうぞこちらへ。」
と、彼は庵の方へ歩き出す。
ついて来いという事だろう。相手の言っている事はぶっ飛んでる感じだが騙している様にも狂っている様にも見えない。現状を正しく理解するためにも取り敢えずついて行く事にする。
「先ほども言った様にあまり時間が残されておりません。取り敢えず聞きたい事があったらあとでまとめて聞きますのでまずはこちらの話をしっかりと最後まで聞いてください。」
と、歩きながら彼がしゃべり始めた。
彼曰くー、
俺は地球という場所で一生を無事に終えた1人の人間だったらしい。そこで無事?、生まれ、生きて、死んだ。
普通は一生を終えた魂というものは輪廻転生の輪の中へと還り、霧散し、無数の魂の欠片へとわかれ再び様々な魂の材料となるそうだ。そしてそれは多数の魂の欠片と溶けあって再び様々な新しい魂の形を作り上げ、その後でまた現世へと還元される。
しかしどんな神のいたずらなのか、ここであり得ない事が起こった。
以前、ある人間の魂を構成していた欠片達が一度は粉々に分散し、数多の魂と溶け合ったにもかかわらず、輪廻の輪の中をくぐりながらもなぜか再び集結し、さらにそのほとんどの部分が以前存在した魂と同一の人間として生まれる魂を作り上げてしまった。
もちろん全てが元のままというわけでは無いが、その魂を構成する9割ぐらいは元の人間の魂由来のものらしい。そして新たに生まれようとしているその魂がまさに今のここにいる俺のことだと言う。
本来、一度輪廻の輪の中へと還り霧散した魂というものはミジンコからクジラに至るまで、ありとあらゆる生物や物質に新たに宿る魂の材料として数えきれない生物へと分配されてしまうものである。その為、俺のようなケースは本当にあり得ない事らしい。
しかもさらなる問題があった。今の俺を構成している魂の残り1割の部分である。その部分が本来その魂では持ち得ないはずの妙な力を発揮したのだ。
輪廻の輪を管理する者(彼はこちらの認識だと神様みたいなものと言っていた)と完全なものではないが意思疎通ができる能力を持った状態だったらしい。
本来の正常な魂であれば輪廻の輪の外側に存在する者を認識する事は不可能である。もしそんな事のできる魂をそのまま地上世界へ解き放ってしまうと世界の外側にある力がその魂を通じてその世界の様々な所に影響を与え、最悪の場合はその世界に取り返しのつかない影響が出る可能性もあるそうだ。最悪世界がぶっ壊れるらしい。俺は正にそんなヤバイ魂らしい。
そこで、管理者は俺という魂を一時的に隔離し別の肉体を与え、魂そのものを鍛え変質させる事のできる世界へと解き放ち、その魂の今後を見極め、可能ならばいつか再び輪廻の輪の中へと還元させようと決めたそうだ。
またそうする理由が他にもあると言う。俺が部分的なものだが、前世の記憶のようなものを持ち、更には、ある程度成長した精神体としての自己を持ってしまっていることである。
本来、輪廻の輪を巡り世界へと生まれ出る魂は幼若であり、精神体として未熟な部分を持つ為、逆にこれから成熟していくような未熟な肉体へと定着し、魂と肉体が互いに共に程よいバランスを保ちながら影響を与えあって成長して行く。
今の俺の様にかなりはっきりと知識や記憶を持っている魂を赤子の様な幼い身体に放り込むと、正直これまた世界に対して良くない影響を与えることが多いらしい。
つまり、魂が認識する年齢と実際の肉体の年齢のバランスと言うのは
正常な世界と魂の活動に必要不可欠な要素なのだそうだ。
その為、異世界に俺という魂を放り出すに当たって、今、俺という魂が認識している自己の年齢にふさわしい肉体を与える事はとても重要なことなんだそうだ。
そして今、俺たちのいるここは、俺がその異世界で生きていける様にする為の魂を調整し肉体を与える為の場所らしい。また今後魂を鍛えやすくする為の手助けもここでしてくれるそうだ。
そんな内容の事を長々と話し合っている間にようすけは庵の中へと入り、何かお茶の様な物を勧められるままに飲んで一息ついた。
はっきり言ってチンプンカンプンである。
「まだ、信じられないかね?」
彼がしっかりとこちらを気遣ってくれているのは何となく感じる。しかし一方で『輪廻』なんて言葉はそれこそ漫画の中でしか聞いた事がない。はっきり言って、今の俺の感情だけで判断すると彼の話は余りにも非現実的である。しかし、もし彼が狂っているとしたら、じゃあここはどこなんだ?という事になる。俺の知っている日本のどこかという感じもしない。夢の中にしてはリアル過ぎるし、もちろんだけれど、どれだけ意識してみたとしても一向に目が覚めるてくれる気配もない。正直すごく混乱している。
「では、そうだね君の名前は?」
突然彼が尋ねてきた。反射的に答えようとしてはたと気付く。
「俺はようすけ。そんな……バカな、苗字が思い出せない。いや、それだけじゃなく家族や友人の名前や顔も一切浮かんでこない。なのに妙な知識や記憶が山ほどある。俺は日本に住んでいる。18歳の高校生のは……ず。」
と、そこで認識する。
何だこれは、大学生っぽい記憶が……ある。高校レベルの授業なんかでは絶対に習ってない知識もある。こっちは社会人の記憶か……。少し薄いような気もするが……。…...やばい、これ恐ろしく気持ち悪いぞ。
「ふむ、今更言っても意味のない事実ですが、君は以前の世界で68歳まで生きていたそうですよ。その様子だと今の君という魂はだいたい20代前後までの記憶を受け継いでいるみたいですね。与える肉体は自己認識していた18歳の人間のもので良いでしょう。おそらくその頃の記憶に大きな影響を持つ魂のかけらが、今の君の魂を構成する主成分という事なのでしょうから。勿論、抜け落ちてる記憶を保管するように他のなんらかの魂の成分がその欠落部位を補完しているはずですがね。欠落している記憶は気持ち悪くかんじるかもしれないですが、身体的に問題はないはずですよ。今のところは……ですが。」
怖い事言わないでくれよ。記憶がバラバラなのも怖いが、なにより欠落してる部分の魂がゴキブリとかハエトリグサとかで補完されてたら何か微妙である。今の俺だと光合成とかする植物の気持ちが理解できたりするのだろうか……。ううっ……、本当に大丈夫か俺?
「そんな心配そうな顔をしないでください。確かに精神と肉体は合わさって一つの物ですから互いに影響を与える事は避けられない事なのです。しかしだからこそ今君が感じている気持ち悪さをそのまま無理に認識し続ける事は当然身体にとって良くないです。さきほどの言葉は、このままの状態でいるのであれば魂の状態が健全であると言い切れない、というそれだけの意味であってちゃんとありのままに今の状態を受け入れることができれば何の問題もなくすごせるはずです。自分を強く持ってください。まあそれが難しいのでしょうけど……。まあきっと時間が経てばそのうち今の状態にも慣れてゆくでしょう。」
とこちらの様子を見兼ねたのかフォローの様な事を言ってくれた。どうも、記憶の欠落だけを怖がっていると勘違いした様だ。その辺を説明するのもバカっぽいだけなので黙っておこう。しかし、68歳で死んだのか、日本人的にはあんま長生きしてねーな。ってかまてよ、重要な事を聞いてない。
「嫁か、彼女は……いたのでしょうか。」
恐る恐る聞いてみる。彼は一瞬ポカンとした顔をすると、
「はっはっは、面白い事を聞いてきますね。しかし申し訳ないですが実は君の前世については余り知らないんですよ。輪廻の管理者には君の名前と68歳まで生きたとしか聞いてないですし。いたかもしれないし、いなかったかもしれませんね。」
と、めっちゃ笑われた。
いやそんなさらっと流されても……。俺にとってそこは結構重要なんですよ!しかし名前を聞いていてくてたのか。この際苗字も確認しといた方が良いのかな?
そんな事を思っていると、
「ちなみに覚えていないのなら名前は聞かない方がいいと思いますよ。あなたの魂の殆どの部分が元々はとある1人の人間由来のものであったとしても、既に輪廻の輪をくぐり再構成されたあなたの魂はまったく別の新しい個です。本質的には以前の何某ようすけなる人物とは多少の縁があるだけであって、自身で認識できていない部分を無理に認識する必要はないですし、別れた魂の部分と変なつながりが再構築でもされてしまったら目も当てられません。今後別の世界でまったく新しい生活をする事を思えば、新たな別の個人として生きていく方が心の整理もつけやすいと思いますよ。まあ、これはこれから異世界へ向かう君への、私からの助言として受け取っておいてほしいですね。」
聞く前に釘を刺されてしまった。
しかしそうか……、そんなもんか。
「わかりました、では今日から只のヨースケと名乗ることにします。」
そう言葉にしてみると何かスッキリした。気のせいでは無く何か自分の存在が少し明確になった気がする。
「いい傾向ですねヨースケ。君が自身をそうやって認識することで、その魂や肉体の形がはっきりしてきた様ですよ。これならすぐに次の段階へ行けます。」
どうも先ほどまでのカウンセリングの様なものにはちゃんと意味があったらしい。しかし次の段階か、結構めんどくさそうだな。
「さて、次の段階ですが、君の魂魄の一部をー別のものに変換しましょう。つまり、輪廻の外側と交信可能にしている魂の部分を別の物に作り変えて魂の形を整え、世界の外側と無意味に繋がるのを防ぐようにします。そうですね……、どうせなら折角ですから、これから君が生きて行く世界で役立つ物に作り変えるのがいいでしょう。いわゆる、道具や技能と言ったものに変えてしまいましょう。しかも専用装備にできますよ。」
何かゲームみたいなことを言い出した。
魂の一部をいわゆるゲームでいうところの道具や技能に変えるって認識で良いのかな?それより聞き慣れない言葉があったぞ。
「あの、魂魄ってなんですか。」
「そうですね、魂魄という言葉は魂そのものを指すことも多いです。が、先ほど使われた意味としては厳密には少し違いますね。その辺を詳しく説明するには少し補足説明する必要があります。」
そう言って彼は見た事のない大陸の描かれた地図をテーブルに拡げた。ぱっと見大きな大陸が4っつあり、その周辺には無数の島が描かれている。これはメルカトル図法に近い技法で書かれていそうだ。だとすると地図の右上の方にある大陸は実際には、この見た目程大きくないのかもしれない。
「これはこれから君の向かう世界の地図です。そしてこの世界は意図的に魂を鍛え、変質させることにが可能な場所です。特に君の魂に関しては積極的に成長、あるいは変質させて欲しいとの要望が管理者の方からでています。そこでどうやって魂を成長させるかという事を理解する前に、魂というものをどの様に認識しておけばよいかという事を話しましょう。」
古白はこちらの理解度を確かめつつ語りはじめた。
「一般的に魂という物は
絶対魂魄、
待機魂魄、
余剰魂魄、
の主に三つの成分からから構成されていると考えてください。」
そう言って指を三本立てて説明する。
「絶対魂魄、これは魂の軸の様なものです。魂の本体そのものと言う認識が本質に近いですね。これが無ければ魂として存在できない、魂にとって非常に重要な部分です。これが破壊されるともうどうしようも無い場合が殆ど、と言った感じです。」
そう言って立てて居た指の一つを折る。
「一方で待機魂魄と余剰魂魄は肉体で言う、脂肪や血液の様なものです。勿論、厳密には違いますが、そんな感じのものだと認識してください。こちらは絶対魂魄と違って、それ自体がある程度失われる事があっても特に魂そのものが壊れたりはしないですね。またこれらは意図的に取り込んで増やす事も可能です。
そして待機魂魄ですが、これは魂の位階を上げる為にだんだんと溜まっていくもので、外部から取り込まれた魂の欠片の事です。次なる位階の魂を構成する材料にあたります。勿論この材料には絶対魂魄も含まれていますが……。待機魂魄が一定量たまると、絶対魂魄と混ざり合い、新たなより高次元の位階の魂へと変質します。」
そう言って再び指を一本折り曲げた。
「最後に余剰魂魄です。これも無意識のうちに外部から取り込んでいる魂の部品ですね。わずかずつですが食事や呼吸などでも取り込まれています。なので失われてもゆっくり休憩すればある程度の値までは自然に回復します。この余剰魂魄はさらに細かく、生命総量、体力総量、魔力総量などに分類されたりします。」
うーんさらにゲームっぽい説明をされたな。こいつらは時間経過で回復・成長していくわけか……。というかゲーム的思考で考えたら……、
魂の位階⇒レベル
待機魂魄⇒経験値
余剰魂魄⇒HPやMPやSP
って認識で良いのかな?
「まあ便宜上、理解しやすくするために、魂の構成要素は三つに分類されていますが実際それらの境界ははっきりしておらずもっと曖昧なものです。あと注意が必要な事としては、余剰魂魄で分類されている物のうちどれか一つでも枯渇してしまうと生命活動に不備をきたす状態になるの事を覚えておいてください。特に生命総量が0になれば肉体的には死を意味する状態に陥ります。ですので、こちらについては特に気をつけていてください。」
しかし説明がやたらと長い説明である。
取り敢えず自分なりに今の話を全部のまとめて見ると、このままその世界とやらに行くと何が起こるかわからないから魂の一部を別のもに作り変えて世界や自分にとって都合の悪い影響をなくす
って認識でいいのかな?
「ちなみに今の君の使用可能魂魄量は最小技能取得単位を1とするとだいたい50000ちょっとあるようですね。さすが外界の神と交信可能な魂ですね。これは人族が個人で持つには相当な量ですよ。」
ますますをもってゲームっぽいな。もうその辺に突っ込み続けるのもいいか。最小技能取得単位も言いづらいし俺の頭の中ではGPとでも呼んどくか。スキルやアイテムに変換する為のポイントらしいし。
「さて、ここで技能を取得したり道具を作成するに当たっていくつかアドバイスしておきましょう。取り敢えず基本技能として
異世界言語Lv1(GP:10000)
異世界入門セット(GP:30)
(2セット分の服と下着、革製のブーツ、飲料水入りの水筒、三日分の食料、リュックサック、テント、寝袋、金貨3枚、銀貨5枚、銅貨10枚、鑑定石板、不滅の作業ナイフ)
の二つはとっておかないとかなり苦労すると思いますよ。あ、ただ入門セットなだけあって鑑定石板は10日間しか使えないですしナイフは作業専用で戦闘などに用いたらすぐ壊れますが……。」
おい、なんか急に胡散臭くなってきたぞ。ていうか、その言い方だと戦闘しないとダメみたいに聞こえるんだが大丈夫か?
「あの、戦わなきゃダメみたいに聞こえるんですが……。」
恐る恐る聞いてみる。
「そうですね、魂を鍛える最も簡単な方法は互いに競い合って相手に打ち勝つ事ですからね。
生存競争、即ち闘いにおいて相手の器を破壊し、そこから世界へと拡散する魂魄の中から自身が次の位階へ進む為に必要なかけらを補充し、それらが一定量待機魂魄として蓄積する事によって魂の位階をあげていくのが最も手っ取り早い手段なのです。普通に生活しているだけで魂が成長する事なんてほとんどありませんしね。
君は位階を上げる事によって魂や精神、そして肉体をより強いものへと作り変える事ができるでしょう。そうすれば今の魂が抱えている問題の解決にきっと役立ちます。ただ位階というものは高くなれば高くなるほど次の位階へと昇華する為に必要な魂魄の量は増えて行きます。より高位の存在へと至るのは中々大変だと思いますよ。ぜひ頑張ってください。」
正にRPGみたいなシステムである。完全に経験値じゃねーか。しかし器を破壊って……。完全に弱肉強食な世界に放り込まれるって事?なんかすごい脳筋な世界の予感がする。
「え、生物を殺しまくれって事ですか?それはちょっと……。」
「あー、なるほど、前世の倫理観ではかなり忌避的な事ですか……?でもおそらく今君が心配している様な意味での殺戮を行う必要はないでしょう。この世界には不完全な魂を持つ魔物達が跋扈しています。彼らは他の魂を無差別に襲いますからねえ。
この世界はあなたのもといた世界とは大きく違います。そもそもこの世界の由来は
他の世界で不完全だったり問題のある魂を輪廻転生の輪から切り出し、この世界で生きてもらって魂を鍛え問題のない形に変質させるか、あるいは死によって再び世界に拡散させ新たな輪廻転生の輪を形作る為の材料とする事ですからねえ。
この世界が生み出されてから、数多くの問題ある魂達がこの世界へと放逐されています。そしてこの世界の中で死して霧散した魂たちは新たな輪廻転生の輪を形作り始めていますが元々の材料に不完全な魂が多い事もあり、結局、自己が曖昧で欠損部を埋めようと他者を無差別に襲う魔物として再び生を受けてしまう魂達が多くいます。もはや君の世界でいう所の駆除対象の害獣みたいなもの扱いされてます。そういったものたちは世界の為、自分の為、生きていく為にもじゃんじゃん狩っていって下さい。そんなわけでこの世界に生きる知的生命達の間にある共通認識としてはこの世界をより正常な形へと推移させるためにもさっさと殺して霧散させてしまったほうがいいと言うものです。もちろん自己防衛のためにも戦う必要はありますが。
あと、先ほどの質問の回答とは少しずれると思いますが、魂が宿るのは別に生物限定ではないですよ。不安定な魂魄はさっさと破壊、これが基本です。」
彼の説明はいちいち長々としているが、出来るだけ正確な情報を与えようとしてくれている風に感じるのでその好意に応えられるようこれらの事しっかり記憶しておこうと思う。まあ結局さっき話した感じだと魔物との殺し合いは避けられないみたいだな。しかしさっきみたいな言われ方をすると、生物を殺すといっても狩猟や採集みたいなものという認識一番近いのか。
それによく考えてみれば日本でも肉体を維持するために食糧として多くの命を摂取していたはずだしな。肉、魚、野菜。皆命である。そういう意味では虐殺なんていう認識は今更か。確かにそういう風に考えたしまえばあんまり忌避感を感じないな。あれ、そういえば……、
「そう言えば、さっきこの場所には半日ぐらいしか居られないって言ってましたけど……。」
「ああ、この世界で長期間存在するのに結構な余剰魂魄が必要ですから、
だいたい半日以上いると魂がどんどん削れていくんですよ。」
と、なんでもない事のように言ってきた。
いや、それ一番先に言えよ。
~要約~
主人公はなんやかんやでゲームみたいな世界で生きていく事になった。そこで生きていく為のスキルを決めないといけないらしい。
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