銀河大図書館
「銀河大図書館」
それはそう呼ばれている。
天の川銀河オリオン腕におけるハビタブル・ゾーンにはそういう光子が飛びかっている。いや、光子だけでなく重力波でも、素粒子でも。
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「ぴ、ぴ、ピー、ピー。 ぴ、ぴ、ピー、ピー、ピー。 ぴ、ぴ、ピー、ピー、ピー、ピー、ピー……」
地球人が最初に受信した光子には、素数列の後にいくつもの数がならんでいた。それに従い、いくつもの周波数を同時に受信しはじめた。
「ピー、ガー、ザー」
それは昔のモデムを使った信号に似ていた。信号の存在を示す最初の「ピー」。使う幾つもの周波数に信号が存在することを同時に、あるいは順次に示す「ガー」。そしてそれらの周波数に乗った信号である「ザー」。音で表現しようと試すなら、そう言えるだろう。
「ザー」には、誤り訂正が含まれた膨大な信号が含まれていた。だが、そのほぼ全ては、ただ次の一文の解読を可能とするためのものだった。
「私たちは銀河大図書館の継承者を求めている」
ただ、そのメッセージがあった。座標も時間も、手掛りになりそうな情報はなかった。
他の周波数帯にも同様の信号が存在した。だが、内容は同じだった。
手掛りになりそうなのは、その発信源だった。だが、それはあらゆる方向から送られていた。
「銀河大図書館」
それは魅力的な言葉だった。
おそらく、知識が詰まっている。翻訳できるかどうかもわからないが。ともかく知識が詰まっている。それだけで充分だった。
なぜ銀河大図書館の内容、あるいは目録だけでも送られていないのか。わからなかった。
ある人は言った。
「送るのも現実的ではないほどの量があるのではないか」
それも考えられない話ではない。
なぜ場所の情報がないのか。それもわからなかった。
ある人は言った。
「存在しないのではないか」
それも考えられない話ではない。
だが、最後の疑問が残った。なぜあらゆる方向から送られているのか。
ある人は言った。
「現在の司書はFTLの技術を持っており、それを使ってあちこちに移動して送信しているのではないか」
だが、これは別の疑問を呼び起こす。
「FTLの技術があるなら、広大な文明圏を持っているはずだ」
ならば、なぜこんな信号を送るのか。文明圏の中で、継承者がみつかってもおかしくないはずだ。
なぜ必要な情報がないのか。そして、それにもかかわらずその信号が飛びかっているのか。
それに対する仮説が噂された。
「天の川銀河オリオン腕におけるハビタブル・ゾーンでは、まだ誰もそれをみつけていない」
そしてもう一つ。
「探せるほどの技術を持っている種族は、まだいない」
その結論の一つ。
「情報を途切れさせてはいけない」
ただ、それだけのために、あらゆる文明圏が信号を送り続けている。
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「銀河大図書館」
それはないのかもしれない。
ただ、いくつもの文明圏の存在を知らせるためだけに、そしてそのために信号を送り続けるように仕向けるためだけに始められたのかもしれない。
悪い冗談かもしれない。それを始めた種族が何を考えていたのかはわからない。
だが、あらゆる方向から送られているなら、あらゆる方向に文明圏があるのかもしれない。それは人々を興奮させた。いつか継承者が現われるかもしれない。銀河大図書館は存在しなくとも、FTLを実現させる文明圏があるかもしれない。あるいは、世代船で乗り出す物好きな種族もいるかもしれない。
文明に溢れている。
その可能性だけで、人々が希望を抱くのには充分だった。
岡崎二郎の「宇宙家族ノベヤマ」では、「宇宙はDNAに満ちている」(だったかな?)という信号が出てきてます。
思い出したので。
う~ん、着想で影響を受けたのかもしれません。




