ばらえてぃ?
第1話
僕の名前は麻奈佳黎泉。読めない奴の為に読み方を載せてやる。ありがたく思え。
「まなか れいせん」だ。
僕はとんだ気まぐれで、この街の観光をすることにした。予定時刻や観光の費用。僕のたてたスケジュールにミスはなかった。
...............この女さえ現れなければ。
あや「へくちっ!......うぅ....くしゃみが....」
黎泉「.....................。」
この女は霧波あや。見た目は少女だが霧を操る能力を持っている。侮れん相手だ。
何故一緒にいるのかって?それは今にも死にそうな感じで倒れてたコイツを僕が助けたら懐かれてしまって.......全く、二人分の観光費用は用意してないんだぞ。
あや「あ、あの........」
黎泉「何だ、言いたいことがあるならはっきり言ったらどうなんだ。」
あや「背が高くて、口が悪い男の人と仲良くなる為にはどうすれば良いんですか?」
黎泉「遠回しに言うのはやめろ!」
あや「あぅ.......」
人当たりの悪さでは他の追随を許さない男とコミュ障の少女。会話が長続きする筈がなかった。しかし、ある男の登場がこの暗雲立ち込める状況に光をさす事となる。
黎泉「.................誰かいるな。」
二人が歩くその先に、一人の男が手を振りこちらを見ていた。手には台本のようなものを持っている。
黎泉「................誰だ。」
龍座「お前誰だと聞かれたら、名乗ることこそ世の定め。教えてやろう!俺は泣く子も黙る暗殺者、諸星龍座だ!」
しっかりキメポーズも忘れない。
龍座 (決まったぜ.......)
あや「目的地は何処なんですか?」
黎泉「お前に言う義理は無い。」
龍座を完全無視し、二人は先に進んでいた。黎泉としては、龍座を構う程の心の余裕はなかったのだ。
龍座「ちょいちょい!待ちなさいよ!」
黎泉「..............寄るなハエ野郎。」
龍座「ひどっ!せっかく俺が面白い企画用意したのにぃ!」
あや「...............面白い企画?」
すると龍座は、二人に台本のようなものを渡す。あやは受け取ったが、黎泉は受け取る気すら起こらなかった。自分のプランを滅茶苦茶にされ、黎泉の理性は崩壊寸前だった。
あや「............黎泉とあやのドキドキ珍道中?」
龍座「その通り!あんたら二人がこのネオトピアの名所を巡るっていうバラエティ企画!」
あや「.............ばらえてぃ?」
黎泉「主に芸能人が出演し、体を張ったパフォーマンス等で視聴率を稼ぐテレビ番組の事だ。」
あや「分かったような.......分からないような.....」
黎泉「簡単に言えば、面白いテレビの事だ。」
龍座「お二人にはこれから、それをやって貰います。」
龍座の発言に、黎泉は凍った。こんなこと、何でエリートの僕がやらなくちゃいけないんだ!と心の中で思いながらも、黎泉は口には出さなかった。いや、出す気力が無かったと言うのが正しい。
黎泉「..............僕は断r」
あや「面白そうです、やりたいです♪」
あやの言葉に遮られ、黎泉はやむなくこの企画に参加することになったのだ.......