ある日、自室が森になりました
ある日のことである。
自室の扉を開けたら、森だった。
本来あるべき見慣れた部屋はそこにはなく、変わりに雄大な大自然が広がっていた。
「......」
無言で扉を閉める。
「俺、疲れてんのかな」
眉間を指で押さえながら呟く。
最近睡眠が不足気味だったから、俺の脳が休息を求めて幻覚を見せたのだ。
うん、そうに違いない。
意を決してもう一度、扉を開ける。
しかし、どこをどう見ても森だった。
生い茂る木々、重なった葉々の隙間から射す木漏れ日。
爽快な自然の匂い、木擦れの乾いた音、頬を撫でる薫風、小鳥のさえずりに混じって聞こえる小川のせせらぎ。
頬をつねる。
当然、痛みがあった。
信じがたいことにこれは夢ではないらしい。
試しに一歩を踏み出す。
裸足の足裏に、冷たい感触が伝わる。
どうやら本物の土のようだ。草木の生い茂る豊かな大地が確かにそこに実在していた。
「俺の部屋どこいったんだよ......」
そんな呟きは、大自然の前に虚しく消えた。
気がついたら書いていました。
オチもなければ山場もない、面白味のまったくない物が出来上がりましたね。
評価、感想があればよろしくお願いします。