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第九話 理由(2)

吹き抜けの天井から温かい日が差し込む。

俺はヒコの家の居間にいた。

奥のキッチンからは料理をしている音が聞こえてくる。

「ヒコの家に来るのって何年振りだろぉ」

と空中に浮いている幽霊のカナが言った。

さすがにもう信じているが、傍から考えたらありえないんだろうと思う。

簡単に言えばカナ……そう!この幽霊は俺に憑いている。

「シュウ?何難しい顔してんの?大丈夫だょ〜すぐにヒコ帰ってくるから!」

とりあえず返事をして俺はヒコの帰りを待った。

それから二時間。

ガチャッ

「ただいま〜」

とヒコが帰ってきた。

ヒコ〜と言いながら近寄るカナ。

当然見えないヒコはそのままカナの体を素通りしてこっちに向かって来た。

カナはエッチ!とか言いながらブツブツ言っていたので放っておくことにした。

ヒコが居間に着き俺に気が付いた。

凄く驚いていたがそこにヒコのお母さんが登場した。

「お帰り。秋平くん来てるわよ。」

戸惑っているヒコを目の前に何も言ってないよ、と一度頷いた。

ヒコは部屋で話すと言って俺を連れていった。

何年振りかに入るヒコの部屋。

壁にはサッカー選手のポスター。

机にはバスケの選手のフィギア。

本棚にはスケート入門の本。

一人用のベット、中央には卓袱台ちゃぶだいに似た机。

勉強してそうもない勉強机。そこに立っている写真立て。

そこに写っているいつもの四人。中学の卒業式が終わって卒業証書を持っている写真だ。

「どうしたんだよ急に!びっくりするじゃねーか」

ヒコはベットの上に座り服を着替え始めた。

俺は勉強机の椅子に座った。

いざってなると何を聞いていいのかわからなかった。

無言のまま数秒が続く。

そのとき、ドアを通り抜けてカナが入ってきた。

驚いた俺はその場で急に立ち上がってしまった。

さすが幽霊。驚いた。と関心してしまった。

「も〜置いてかないでよぉ〜。」

そう言いながら俺の方に飛んできた。

カナを目で追う。

「シュウ……どうした?」

ヒコは心配そうに俺を見ていた。

「大丈夫。ちょっとね。」と俺は苦笑いを浮かべてまた椅子に座った。

また無言のまま時間が過ぎる。

俺の頭の中にリホの言葉が甦る。

「なぁ。」「シュウ。」

喋りだしたのは同時だった。俺は「何?」とヒコに先を譲る。

「覚えてるか?中学の一年の時に行った社会見学。」

「なぁそれよりがっこ…」

「覚えてるか?」

ヒコの口調が変わった。

俺は懐かしい思い出を記憶の奥から引っ張り出した。


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