第七話 学校(3)
「あのときの葛城さんはまるで天使!笑顔や一つ一つの動作が僕の心を癒してくれたんだぁ〜」
と両手を広げてまるで羽ばたくかのごとく天を仰いでいた。
「うん。わかった。返しとくよ。」
と軽く受け流した。
「じゃぁよろしく頼むよ!ちゃんと葛城さんのところに届けてくれよ〜。」
と言う声に全く反応せずに教室に向かった。
教室
「ねーシュウ?シューちゃん!ウォッホン!そこの秋平くん!えくすきゅーずみぃ?もーなんで無視するのよーーー」
俺はカナを無視していた。あたりまえだ。
ここは教室で現在授業の真っ最中、俺以外にカナの声は聞こえない。
俺が反応すれば確実に不審がられる。
しかしそれに気付いていないのか、カナは話しかけるのをやめようとしない。
「あっペンギンマンだよ!・・・もー反応してよーー。」
だから喋れるわけないだろうがと思った。そう、喋らなければいいんだ。
俺はノートの端に喋れない変わりに書いて伝えることにした。
早速喋れないことを説明し、用件を聞いた。
理由はヒコのことで、何故居ないのかを聞きたかったらしい。
俺も知らないが、家では学校行ってることになってると伝えた。
するとカナは今日会いに行こうと言い出した。
授業が終わると、俺はりホの机に向かった。
「なぁ今日ヒコん家行かないか?」
本を読む手を休めてこっちを見る。
「だからこの間言ったでしょ?きっとヒコにはヒコなりの考えがあるんだって。」
落ち着いたままそう答えた。
「ならその考えを聞きに行くくらい大丈夫だろ?」
「ヒコはおばさんにも言ってないのよ?」
「だから余計に心配してんだよ・・・なぁ?」
と右上に浮いているカナに同意を求める。
「ん?誰かいるの?」とリホが俺の後ろを確認するように覗くが誰も居ない。
明らかに失敗したという顔をしている俺をリホは追求の目で見てくる。
「いいっいやあっその・・・うん。誰か居る気配がして。」
焦るな俺。落ち着け。落ち着け。
「で?ソコに誰かいたの?」
カナが浮いているところを指さしているが偶然だろう。
「エッッ!あたし?リホちゃん見える〜??」
のんきに手を振っているカナを横目に気のせいだったと半ば無理やり誤魔化した。