第三話 気絶
その帰り道、無言のまま二人で歩いていた。沈黙に耐えられず俺は口を開いた。
「なぁ…なんでヒコが学校に来てなかったことおばさんに言わなかったんだ?」
「きっと…ヒコにも何か考えがあるんでしょ。私達にすら隠してたんだから。」
「そっか…」
再び無言で歩く二人。すぐに十字路に着いた。リホとはココから道が違う。
「じゃぁまたね」
そう言ってリホが帰っていった。
俺が振り向き自分の帰り道をみると、制服を着た女の子が奥の曲がり角を曲がっていった。
「…カナ?まさかな……」
まさかカナが居るはずはない。そんなことはわかっていた。けれど体は動き、走り出していた。
「ありえない。カナは死んだ…。死んだんだ!」と心に言い聞かせる。
曲がり角に着き道を見るが誰もいない。
「そ、そうだよな。居るはず…ないもんな。」
家に着き「ただいま」と階段を上がり自分の部屋に入った。
ベットにすわり、ゆっくりと荷物を降ろす。
「カナ……」
俺の目に涙が込み上げてきた。
「ん?呼んだ?」
聞いたことのある声が後ろから聞こえた。振り返った俺は…
「ン〜ン!!!!!!!!!!」
自分で自分の口を抑えて、叫んだ。
何が起こったのか理解できなかった。
とっさに元にもどる。
「シュウ?」
心の中で俺は思った。夢だ。これは夢なんだと。
そして頬をつねる。痛い。しかしまだ信じられない俺は、反対の頬を殴る。
「ねーシュウ!」
痛い。痛い。・・・ん?コレは幻だ。振り返る俺。
「もー話聞いてよ〜!」
そこにはカナがいた。私服姿で、ベットに座っている。俺の知っているカナがそこにはいた。
「カナ…なのか?」
「うん」
「カナなんだな?」
「うん」
「お前死んだんじゃ……」
「うん」
「だよな・・・っえ?」
数秒間の沈黙の後。
「なんか私、幽霊になったみたい。」
それを聞いたシュウは取りあえず…気を失った。