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魔王討伐の後始末 次の魔王は誰?  作者: らのあお
ユーロ=ルーシー内戦
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チュロス軍団

 チュロス軍団


 狼のような黒髪と狼の耳、そして厳つい狼の眼、チュロス軍団の女軍団長マルタ・クラウンは7500の兵士を連れて白軍の長ニコラスの居るチェルーシクスカヤに到着した。


 「で、ニコラスとかいう奴は信頼に足るんですかね?」


 垢抜けない野郎軍人が彼女に話しかけた。


 「知らん。だが気に食わない奴だという事はわかっている」


 マルタは一度ニコラスの顔を見ている。見た目も生まれも恵まれたムカつくくらいボンボンな奴の顔を昔に見ていた。


 「だが仮にも一国の王たらんとするものだからな、感情抜きにした損得勘定くらいは出来るだろ」


 信頼のおける数人の部下を連れてチェルーシクスカヤ政府庁舎に向かった。


 「ご案内致します」


 受付に案内されて彼女らは貴賓室に向かった。赤と金、伝統的な作りの貴賓室である。その豪勢さの中、一際輝くのは他でもない第二王子ニコラスであった。

 彼女は思った。ムカつくくらい美しい人間だ。だからこそ信用ならない。何故なら往々にしてこういうタイプは幼い頃から悪意にされされるから悪辣さを知っている。


 「どうぞお座りください、勇猛なるマルタ・クラウン軍団長」


 彼女らとその部下は三人は一度礼をしてから座った。そして彼女は座った矢先、一度ニコラスを睨んでから足を組んだ。


 「すまないな第二王子ニコラス。私はゲリラ屋で出世したからあまり礼儀は知らん」


 チュロス軍団は先のカノンノフの西方進出の際、分厚い前線を突破してそのままカノンノフグラードにまで迫った無敵の軍団である。


 「知っております。貴軍はチュロス降伏から10年、降伏勧告を受け入れずヅィベリエンでゲリラをしていましたからね」


 ニコラスは彼女の挑発を受け流してそう言った。彼女は少しの苛立ちを覚えたが、前評判の気に食わない奴を取り消した。何故ならこういう血の気あるタイプは彼女の好みだったからだ。


 「しかし7500ですか、よく過酷なヅィベリエンのゲリラ活動でこれ程の数を維持できましたね。貴方が如何に有能な指揮官なのか感じれます」


 「何を言っている。ヅィベリエンでのゲリラが出来ていたのは貴国が黙認していたからだろう?」


 彼女は正しい。実際ユーロ=ルーシー軍はチュロス軍団に武力行使をチラつかせてはいたが終ぞ行動に起こす事はなかった。


 「ですが我が国が貴方を黙認したのも貴方の手腕によるものです」


 ニコラスも正しい。ユーロ=ルーシー軍はチュロス軍団を攻撃しなかった理由は彼女が居たからである。何故なら彼女は軍事行動と言いつつ支配した村に労働力を提供しつつ民家の建設や開墾などを行っていたからである。こうする事によって彼女は自分達を滅ぼすメリットよりもデメリット方がギリギリ大きいという状況を作った。


 「わかってはいるみたいだな、ならばニコラス王子、いや魔王ニコラス、本題に入ろう」


 一度互いに茶を飲む。


 「私はチュロス共和国を魔王として認めます」


 空気が変わり、マルタとニコラスの瞳が鋭くなる。


 「ほほぅ、それで私らは何をすればいい?」


 「我が軍の麾下に入っていいただたい」


 マルタの目的はチュロス軍団をチュロス共和国に帰す事である。故にチュロス共和国が復興したとしてもチュロス軍団が全滅してしまったら意味がない。だからここで下手に指揮権を渡して何度も激戦区に送られて全滅では話にならないのだ。


 「断る、と言ったら?」


 「チュロス共和国は独立したとしても滅ぼす。あんたら再びヅィベリエンで我が国の手伝いをしたときてもあんたらも滅ぼす」


 「そうか、なら私らが納得できる折衷のラインについて話そう。それを知るためには貴方のが私の目的を知っておく必要がある」


 「私も同意見です」


 彼女は一度茶菓子を食ってから自分の最終目的を彼に語った。


 「なるほど。チュロス軍団を祖国に帰したいですか…では争点は祖国に辿り着いた際のチュロス軍団の消耗率になりますね」


 嫌な男だ、少女のような見た目をして古狸のような悪辣さを持っている、マルタはそう思った。感情抜きの損得勘定くらいしてくれなければ困ると言ってきたのに、感情抜きの損得勘定を強いられる立場にされてしまったのだからそう思うのも無理ない。


 「…嫌な話方をするな。損耗率か、7500のうち、1割。これが限界だ」


 「それでは麗しのチュロスを徹底的に蹂躙しなくてはいけなくなる。こちらも補充用の兵の捻出は惜しまぬつもりであるから、現実的な数字として提示してください」


 彼女の隣の男が立ち上がった。


 「言わせておけばお前、一割だぞ、一割が死ぬんだぞ。人ごとだと思ってんのか!?」


 「落ち着け!」


 彼女は部下を一喝してから顎に手を当てて考える。一緒に酒を飲んだあいつ、一緒に家を建てたあいつの顔を思い浮かべながらあいつを数字として計算をする。そして二分間の暗算の後に解を導いた。


 「7500のうち三割だ。それ以下を求めるのであればこちらとしても容赦しない」


 ニコラスは立ち上がり、彼女に握手を求めた。


 「有意義な取引でした、マルタ・クラウン」


 「貴公は悪魔だ、ニコラス・ロマリク」


 青軍の一角、チュロス軍団との交渉が終わった。

 この後、アレクサンドルのラソレイユ=キャビズム芸術協会との交渉とロコソフスキー総主教による新生修道騎士団との交渉が行われ、無事に交渉は成立する。

元ネタはチェコスロバキア軍団ですね。

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