85 「迷宮の咆哮:始まりの戦火」
暗闇の中、足音だけが湿った石の回廊に響き渡る。
ナギは体をこわばらせ、前を向こうと必死だ。掌に汗がにじむけど、平静を装う。
ミズキは杖を握りしめ、手に小さな火球を灯す。弱い光が周りを照らす。
「……気をつけて」 彼女の声は静かだが、秘めた力がこもっている。
ラグノルドはゆっくりと前進する。
「一階層は、古き者たちの迷宮だ。油断するなよ」
やがて、湿った空気に奇妙な音が混じる。
軽い「ガサ……」が闇から聞こえてくる。
振り返ると、隅に小さな影がちらつく。
「モンスター……」 リョウタが震える声でつぶやく。
その瞬間、数匹の小さなゴブリンみたいな奴らが影から飛び出してきた。
ナギは一瞬で剣を抜く。
ミズキは火球を放ち、最初のモンスターを焼き尽くす。
「ハハ、ようやく戦闘だ!」 レタが笑いながら短剣を手にし、横から素早く斬りかかる。
ゴブリンは小さいが、群れで襲ってくる。
一匹がナギに飛びかかるが、剣で弾き返す。
ラグノルドは冷静沈着だ。
「集中しろ。数じゃない、位置と連携が大事だ」
彼の指示で、召喚された仲間たちは一糸乱れず動き出す。
ミズキは魔法で道を照らす。
リョウタは敵の注意を引きつける。
ナギは突っ込み、弱点を的確に突く。
戦いは短く、だが激しかった。
ゴブリンは全滅し、床には血の跡と小さな鎧の欠片だけが残る。
ナギは深く息を吐く。
「……もっと強いのが来るぞ」
ミズキがそっと彼の手を握る。
「心配しないで。私たち一緒よ」
ラグノルドは松明を掲げる。
「よし、次はあの回廊だ。気を抜くな」
闇の奥から、かすかな光と不気味な気配がゆっくり近づいてくる。
皆さん、この物語を気に入っていただけましたか?
ブックマークに追加して、続きを見逃さないでくださいね!
コメントで感想や応援メッセージをいただけると、めっちゃ励みになります!
さらに、評価をポチッとしていただければ、作者のやる気が爆上がりです!
一緒にこの冒険を盛り上げましょう!




