表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/122

8 「哲学は、お前の心を暴くためにある」

最後まで読んでくれて、ありがとう!


感想、評価、ブクマ――

どれか一つでももらえると、

作者はめちゃくちゃ喜びます!


今後の展開にも気合が入るので、

ぜひ応援お願いします!

バン!


教室のドアが勢いよく開いた。

まるで嵐が突っ込んできたみたいだ。


「よおし、みんな! 準備はいいか!?」


ハヤカワ教授が教室に飛び込んできた。

まるで熱血アニメのぶっ飛んだ教師そのもの。

真っ赤なベストが非常信号みたいにギラギラしてる。


脇にはボロボロのブリーフケース。

ポケットからは赤いハンカチが生意気そうに飛び出してる。

白い髪はピシッと整ってる。

目にはバチバチと火花が散ってる。


「哲学ってのはな、科学でも宗教でもねえ!」


ドン!


ブリーフケースが机に叩きつけられた。

みんながビクッと飛び上がった。


「冒険だ! 朝、なんで目を開けたのか、考える旅だ!」


教室がシーンと静まり返った。

さっきまでガヤガヤ喋ってた連中も、ピタッと固まった。


まるで魔法が教室を包んだみたい。

一人、また一人、学生たちがノートを開き始めた。


でも、ただ一人、動かない奴がいた。

ナギだ。


窓の外をぼーっと見てた。

教授の熱血パフォーマンスなんて、まるで眼中になかった。


だが、突然…


教授がガッとナギの方に振り向いた。


「おい、ナギ! だったら教えてくれよ… 今日、なんでお前は目を開けたんだ?」


ナギは答えなかった。


教授はニヤリと笑った。

そのままクラスに話し続けた。


「プラトン? ハッ! あのおじいちゃん、時代遅れもいいとこだ!」


ハヤカワ教授がニヤッと笑う。

「今日の主役は、ほかでもない、お前ら自身だ!」


ナギの眉がピクッと動いた。


(また始まった… いつものサーカスだな…)


それでも、前髪の下からチラッと覗く視線。

教授の言葉に、どこか引っかかった。


「正直に生きるか。幸せに生きるか。どっちが大事だ?」


教授が教室の列の間を歩き始めた。

まるでハンターが獲物を嗅ぎつけるよう。

ゆっくり、堂々と。


「でもよ、もしどっちもできねえとしたら… そもそも、なんのために生きるんだ?」


突然、教授がピタッと立ち止まった。


「ミズキ! さあ、お前の答えを聞かせてみろ!」


教室が一瞬で凍りついた。

空気がビーンと張り詰めた。

まるで弦がピンと張られたようだ。


全員の視線がアユに集中した。


そして、ナギも…

ほんの少し、首を動かした。


ほんの、ほんの少し。

でも、それに気づいたやつがいた。


アユが目を上げた。

青い瞳は、夏の空みたいに澄んでいた。


少し考えて、静かに口を開いた。


「正直であること。それが土台だよ。

でも、もしそれで不幸になるなら…」


一瞬、彼女は視線を落とした。


「それは、間違った真実を選んだってこと。

もしくは、自分自身をまだ知らないだけ。」


教室が静まり返った。

チョークの匂いまで、なぜか鮮明に感じられた。


「幸せって、ゴールじゃない。」


彼女の声は柔らかく、でも力強く響いた。


「それは、正しい一歩を踏み出した先に待ってるもの。

怖くても。一人でも。」


ハヤカワ教授の目がキラリと光った。


「素晴らしい!

哲学ってのは、知識じゃねえ。

自分の真実をドカンとさらけ出す勇気だ!

ミズキ、グッジョブ!」


教室がザワザワと沸いた。

誰かが拍手した。

誰かは呆れて目をぐるりと回した。


でも、ナギだけは動かなかった。


虚空を見つめていた。

アユの言葉が何か… あまりにも近いところを突いた気がした。


でも… それは何だったんだ?


教室がザワザワと騒がしくなった。

誰かが感嘆の息を漏らした。


ナギの胸の奥で、何かがチクッと刺さった。


(…綺麗すぎる。眩しすぎる。俺には似合わねえ。)


視線を窓の外に逸らした。

桜の花びらが、ゆらゆらと落ちていく。


講義のざわめき。

ペンのカチカチ。

キーボードの軽い打音。


と、その時――ブブッ!


ポケットの中でスマホが震えた。


ナギは目を細めた。

画面をチラリと見た。


「ご注文の荷物が配送先に到着しました」


一瞬、顔が石のように固まった。


だが、すぐ――カチッ!


心の奥で何かが切れた。


唇がピクッと動いた。

いつもの冷たい仮面じゃなく――

何か、ゾッとするような笑みが浮かんだ。


まるでナギの内側で、爆弾がドカンと炸裂したみたい。


慌てて顔を逸らした。


隠したかった。


でも――


アユは全部見てた。


その瞳が、思わず大きく見開かれた。

一年の時から知ってるナギが…

こんな顔?


最後にこんなのを見たの、いつだっけ?


何かあった。

ナギを本気で喜ばせた何か。


でも…

胸の奥が、チクッと嫌な感じに締め付けられた。


「ナギ… それ、なに…?」


小さな、ほとんど聞こえない声。

唇からこぼれた。


好奇心が、彼女の心をギュッと鷲づかみにした。


窓の外で、桜の影がゆらりと揺れた。


その時――シルエット。


ナギの視線が、そっちにスッと流れた。

あまりにも自然に。


まるで…

そこに誰がいるか、知ってるみたいに。

最後まで読んでくれて、ありがとう!


感想、評価、ブクマ――

どれか一つでももらえると、

作者はめちゃくちゃ喜びます!


今後の展開にも気合が入るので、

ぜひ応援お願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ