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73 「紅のグリフォンで火花バチバチ!」

「紅のグリフォン」の扉が、キィと軽く軋んで開いた。

一瞬で温もりが包み込む。

焼きたての肉、パン、蜂蜜酒、香草の濃い香り。

笑い声、話し声、音楽が空気を揺らす。

隅では弦楽器が軽快なメロディを奏でていた。


店の内装は一目で高級だとわかる。

床には模様の絨毯が広がる。

壁は金の装飾が施された彫刻パネル。

ランプの上には、柔らかな光を放つ半透明のクリスタル。

テーブルは暗い木で広く、

それぞれに新鮮な花の入った花瓶。

首都では、こんな小さな贅沢が富の証だった。


「わぁ…」

アヤが一歩踏み込んで息を吐く。

「まるで童話みたい!」


「ハッ!」

カツローが手を擦り合わせる。

「だから言ったろ、ここは上流階級の店だって!」

「今から俺、頭サイズの焼き牛をガッツリ食うぞ!」


サクラがキッと周りを見回す。

すぐに眉をひそめた。

「ちょっと静かにして、バカ。」

「人前で恥かかせないでよ!」


確かに、客たちの視線がチラチラとこちらへ。

隣のテーブルは豪華な装いだ。

シルクのマント、宝石の装飾、真剣な表情。

商人、貴族、金持ちの傭兵が明らかに混じってる。


リョウタ が声を潜めた。

「ここ、普通の酒場とは全然違うな。」

「ほら、喧嘩も酔っ払いの叫び声もない。」

「音楽だって、まるで宮殿のホールみたいだろ。」


アヤが席に着く。

ニコッと微笑んだ。

「じゃあ、それっぽく振る舞おうよ…。」

「せめて、トライしてみる?」


テーブルにはすぐご馳走が並んだ。

・巨大なトレイに、こんがり焼けた肉の塊。

・パリッと香ばしい焼きたてパン。

・スパイス効いた野菜の煮込み皿。

・泡立つワインと琥珀色の蜂蜜酒の杯。


カツローが我慢できなかった。

「うおお、ついにキター!」

肉に手を伸ばす。


「待て!」

サクラがパッと手をはたく。

「みんな揃うまで待つんだから!」


「俺、腹ペコで死にそうなんだよ!」

カツローが叫ぶ。


「我慢しろ、ヒーロー。」

リョウタ がニヤッと皮肉る。

「戦場じゃ、いつでもメシ食えるわけじゃないぜ。」


ナギは黙って座ってる。

ホールのざわめきに耳を傾ける。

視線は全員を観察。

遠くの隅にいる二人の男に目が止まる。


男たちはチラチラこっちを見る。

「…ん、監視されてるか?」

ナギの頭に思いつきがよぎる。


でも、仲間たちは気づかず。

肉を最初に取るのは誰か、

杯をどう上げるか、

「高級酒場でのマナー」論争で騒がしい。

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