表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/135

エクストラ章:主を探す仮面

首都の酒場では、時折、笑い声や杯の音がピタリと止まる。


話題が「彼女」に触れたときだ。


そう――マスクの話だ。


ずっと昔。

最初の英雄たちの時代。


王国に、一人の男がいた。


彼はただの平民。

名もなき者。

剣すら持っていなかった。


けれど――彼の心は違った。


恐怖を知らない、燃えるような心。


魔物が人間の地を襲ったとき、

彼は黙って見ていられなかった。


そこで、彼はマスクを作った。


金でも銀でもない。


まるで闇そのものから紡がれた、漆黒のマスク。


その形は怪物のようで、

目は燃える炭のように光っていた。


彼は顔を隠した。

名も隠した。


――自分の弱さを知られたら、

誰もが背を向けると思ったから。


だが、そのマスクを被った瞬間。


彼は「象徴」になった。


名もなき者でも、

誰もが知る剣になれる。


民の剣に。


彼は「影の英雄」と呼ばれた。


最前線で戦い、

いつも敵を打ち砕いた。


だが、戦いが終わると――


まるで最初からいなかったかのように、

静かに消えた。


「マスクは呪われている」


そう囁く者もいた。


「被った者は、自分を失う」と。


だが、他の者は信じた。


「いや……あのマスクは本当の力を引き出す。

決して諦めない者の力を」と。


真実は、時間の霧に消えた。


それでも、首都の暗い路地裏で、

人々は今も囁く。


「マスクは、新たな主を探している」と。


そして――誰が知るだろう。


いつか、新たな英雄が、

その痕跡を見つけるかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ