エクストラ章:召喚された英雄たちの普通の朝
朝、訓練場はいつもより騒がしかった。
まるで祭りのような喧騒だ。
「ねえ! リョウタ、またカレー全部食べちゃったの!?」
桜が空っぽの皿を手に、ムッと睨む。
リョウタは腹を押さえ、慌てて言い訳した。
「いや…俺、成長期の体なの! ヒーローにはカロリーが必要なんだよ!」
隣でユウジが顔をしかめた。
「 桜、叫ばないでよ…まだ起きたばっかなのに…」
「じゃあ、さっさと起きなさいよ、寝ぼすけ!」
桜はバシッとユウジの背中を叩く。
その音が訓練場に響いた。
ハルはいつものように地面に寝転がってた。
棒を指でくるくる回しながら、ぼやく。
「はぁ…みんなくそ騒がしいな。市場かよ。もう10分寝かせてくれ…」
「てか、お前、ちゃんと訓練したことあんの?」
勇斗が眉をひそめて突っ込む。
「ぷっ、あはは!」
普段は静かなミズキが、思わず吹き出した。
手で口を押さえたけど、肩が笑いで震えてる。
「おっ、ミズキも笑えるんだ? 石像かと思ってたぜ」
ハヤカワがニヤッとからかう。
その一言で、場の空気がさらに軽くなった。
サイトー先生はそんな光景を見て、ため息をついた。
「お前ら、召喚された英雄だろ? なのに、まるで小学生だな…」
その声には呆れと、どこか温かみが混ざっていた。
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ナギは少し離れた場所で、静かにパンをかじっていた。
かすかにニヤつきながら、仲間たちの言い合いを眺める。
まるで舞台の観客のよう。
加わる気なんて、ゼロだ。
「ねえ、ナギ!」
桜がナギに目をやる。
「なんでそんな静かなの? 一言くらい言いなよ!」
ナギは肩をすくめた。
「別に。十分うるさいじゃん、君たちだけで。」
桜がムッと頬を膨らませる。
その瞬間、みんなが一気に吹き出した。
訓練場に笑い声が響き渡る。
こんな時、彼らは「英雄」じゃなかった。
ただのティーンエイジャー、そのもの。
でも、それが仲間を近く感じさせた。
内心、みんな気づいていた。
この笑い声——
いつか、貴重なものになるかもしれない。




