68 「ラグノルド隊長の観察録」
彼らをずっと見てきた
厳しい教師のようには見てない。
兵士として。
戦場をくぐり抜けた者として。
人が強くなる理由、壊れる理由を知る者として。
このノートに彼らのことを書こう。
星野涼太 — 「真の英雄」
剣の技は芸術そのものだ。
繊細な技術。完璧な姿勢。
何年も磨かれた動き。
ナギの話では、彼には資金も師匠も時間もあったらしい。
アリーナに出れば、まさに伝説が生まれる。
だが、弱点がある。
彼の野心の炎だ。
まだ喪失の痛みを知らない。
あの炎は光になるか、燃え尽きた亡魂になるか。
少し傲慢だ。
自信過剰でもある。
痛みを背負う術を学ばないと、
彼の「光」は周りを焼き尽くすだろう。
ナギ — 「生き延びた者」
金なし。師匠なし。
指はたこで固まり、飢えの記憶が刻まれている。
彼の戦い方は本能だ。
そして、怒り。
彼の闇は神秘的な技じゃない。
傷が武器に変わったものだ。
力は荒々しい。
制御はほぼゼロ。
俺は2週間、彼を指導してきた。
技術は上達した。
だが、まだ粗削りだ。
時々、理解できない。
妙なタイミングで泣いたり、笑ったり。
俺も貧しさの中で育った。
痛みを抑える術を学んだ。
だが、彼はまだだ。
これからも指導を続ける。
彼を闇から引きずり出す。
危険なのは動機だ。
他の奴らが持つ名誉への渇望がない。
闇を支配するか。
それとも闇に飲み込まれるか。
彼自身も。
周りの者も。
彼らをさらに見てきた
戦場の目で観察を続けた。
生き抜いた者の視点だ。
このノートに刻む。
ミズキ — 「氷と鋼」
静かだ。
だが、弱くはない。
彼女の手には隠れた頑固さがある。
学びは早く、聞くのはもっと早い。
その力は派手じゃない。
力を溜める。節約する。
必要な瞬間に叩きつける。
見くびると痛い目を見るぞ。
リスクは感情の脆さだ。
間違った相手を信じると、崩れる。
彼女の成長はチームの支えになるか。
それとも、失敗を映す鏡か。
どちらかだ。
勇斗 — 「忠実な守護者」
落ち着いている。
計算高い。
仲間の背中を守る男だ。
実際的だ。
無駄なドラマは嫌い。
彼の力は責任感だ。
常に先を見据える。
規律でその代償を払う。
弱点は実際的すぎること。
信念が必要な時、魂を失うかもしれない。
義務と友情の間で選ぶ。
その選択が、誰が生き残るかを決める。
山田桜 — 「チームの心」
エネルギッシュだ。鋭い。
自分と世界に「必要だ」と証明したがる。
擦り傷だらけになるまで鍛える。
彼女の力は執念と共感だ。
人々は彼女に惹かれる。
危険は燃え尽きることだ。
「全員を救う」ことが使命になれば、
誰よりも早く壊れる。
彼女の浮沈が試練だ。
グループ全体の試練になる。
彼らをさらに見てきた
戦場を生き抜いた目で観察を続けた。
このノートに刻む。
ユウジ — 「枠を破る閃光」
衝動的だ。
大声で、考える前に動く。
戦場では、突然の打撃の炎だ。
強みは予測不能な動き。
弱点は過剰な自信。
彼の突進は戦いの流れを変えるか、
壊滅的な失敗に終わるか。
鍵は自制だ。
抑えられれば、彼は切り札になる。
抑えられなければ、使い捨ての駒だ。
ハル — 「静かな観察者」
落ち着いている。
細やかに見つめる。
人の壊れる瞬間を、本人より先に感じ取る。
彼の貢献は精神的なものだ。
戦術的、心理的な支え。
危険は、その落ち着きが無関心と誤解されること。
彼はすべての動きの代償を知っている。
鍵は彼の小さな視線だ。
誰にチャンスを与え、誰を手放すかを決める。
ケイト — 「冷徹な戦略家」
洞察力がある。
計算高く、計画を愛する。
努力なき「才能」など信じない。
強みは戦場での冷徹な計算だ。
弱点は、人の悲劇に計画は通用しないこと。
鍵は彼の戦略だ。
生き延びる助けになる。
だが、その決断の代償と共存できるか?




