61 「挑戦を投げかける影:英雄たちが真の力と対峙する訓練」
闘技場に影が躍り出た。
戦士たちの間を縫う、風のような動き。
あまりにも速く、正体を捉えられない。
誰もが息を呑んだ。
ラグノルドが異変を嗅ぎつける。
剣を振り上げる!
雷鳴のような鋭い一撃。
瞬時に敵を葬る力だ。
だが、影は一瞬で反応!
剣が弾かれ、金属の悲鳴が響く!
火花が夜空の星のように散った。
隊長の眉がわずかに上がる。
唇に薄い笑み。
「ほう……新米のくせに、なかなかやるな!」
その瞬間、影の正体が明らかになった。
ナギだ!
冷たい瞳がラグノルドを射抜く。
身体は次の瞬間に備え、張り詰めていた。
訓練戦なのに、運命の分岐点。
戦いの流れが、今、変わるかもしれない!
ナギは闘技場に立つ。
呼吸は落ち着いている。
だが、心の中は嵐のように渦巻いていた。
どう答えるか。
何を言うべきか。
昨日の出来事がまだ頭を離れない。
今、目の前に――ラグノルドがいる。
隊長が一歩踏み出す。
鋭い視線がナギを貫く。
声が訓練場の喧騒を切り裂く!
「スパーリングで勝ったくらいで、特別なつもりか?」
「お前が誰だろうが、関係ねえ!」
「能力なんて、どうでもいい!」
「規律は規律だ、くそくらえ!」
「騎士も英雄も、みんなくそくらえだ!」
その言葉はハンマーのようにナギを打つ。
一語一語、重い。
功績も弱さも、ここでは無意味だ。
ナギは拳を握りしめる。
冷たい視線、変わらない。
だが、瞳の奥で火花が閃く。
隊長の厳しさへの、かすかな敬意だ。
その背後には、経験の重み。
金や本では得られないもの。
ナギはそれを感じ取った。
周囲は静まり返る。
学生たちは息を呑む。
教師たちは眉をひそめる。
これは戦いではない――教訓だ。
ナギと仲間たちが刻む、
永遠の教訓。
ナギは視線を上げる。
ラグノルドの言葉を噛みしめる。
口は黙したまま。
だが、目は語る。
静かで、冷たい輝き。
挑むような自信。
過酷な経験をくぐり抜けた証。
ナギの心は、静かに燃える。
隊長ラグノルドは、その内なる挑戦を察したかのように顔を歪めた。
次の瞬間、彼は訓練用の剣をナギに向かって投げつけた!
刃は空気を切り裂き、かすかな唸りを上げたが、ナギの数歩手前で止まった。
まるで隊長の意志に従うかのように。
「どうだ。」ラグノルドは氷のような笑みを浮かべた。
「試してみるか? レタと同じようにだ。お前の実力、見せてみろ。」
周囲の群衆は息を止めた。
学生も教師も、一挙手一投足に目を奪われた。
その瞬間、緊張は空気を締め付け、まるでナギに答えを強いるかのようだった。
ナギは一歩踏み出し、地面に落ちた剣をそっと拾い上げた。
その手に握られた剣は、まるで彼の身体の一部のように完璧に馴染んだ。
内に秘めた静けさ――冷たく、集中し、だが致命的な静寂が彼を支配していた。
遠くで、リョウタが腕を組み、かすかな笑みを浮かべた。
見逃すな!
ナギとラグノルドの決闘、目が離せない!
息を呑む美しさ、危険な一撃!
コメントで熱い思いをぶつけろ!
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