57 「彼女がそばに、まるで世界が止まったように」
ナギはゆっくりと目を開けた。
すぐに、温かく軽い息づかいと、腕に感じる柔らかな重みを感じた。
彼女はすぐそばで眠り、彼に寄り添っていた。
髪が枕に広がり、穏やかな呼吸の一つ一つが、彼の心をあやしているようだった。
「こんな風に目覚めるなんて、思ってもみなかった……」
彼の頭にそんな考えが浮かんだ。
ナギは動くのをためらった。
この静けさを壊すのが怖くて、ただ彼女をそっと、しかし強く抱きしめた。
昨夜の断片的な記憶が頭をよぎったが、それよりもこの瞬間――
彼女の温もりに満ちた朝を、守りたいという思いが強かった。
まるでこれが夢でないか確かめるように、ナギはほとんど聞こえない声で囁いた。
「……おはよう。」
彼女のまつ毛が震え、ゆっくりと目が開いた。
ナギは彼女の手が自分のシャツを少し強く握るのを感じた。
「……ナギ?」
彼女の声は眠たげで、部屋を吹き抜けるそよ風のように静かだった。
彼は彼女の視線と出会った――
少し恥ずかしそうだが、驚くほど温かかった。
一瞬、彼は戸惑った。
だが、彼女を腕から離さず、微笑んだ。
「おはよう。君、めっちゃ……温かいな。」
彼女はわずかに頬を赤らめたが、離れることなく、逆に鼻を彼の胸に埋めた。
窓の外では世界が目覚め始めていたが、二人には時間が止まったかのようだった。
ナギは目を閉じ、心の中でそう思った。
「毎朝がこんな風に始まるなら……もう何もいらない。」
彼女はまだナギの胸に寄り添い、眠たげに呟いた。
「ん……離さないでくれる?」
ナギは静かに笑った。
「離したくても、できそうにないな。」
「……バカ。」
彼女の唇に、かすかな微笑みが浮かんだ。
彼女はさらに強く寄り添い、まるで彼が消えてしまうのを恐れるようだった。
「ねえ……」
彼女の声が少し真剣になった。
「こんなに穏やかに眠れたの、久しぶり。あなたといると……全部大丈夫な気がする。」
ナギは彼女の髪にそっと手を滑らせ、ほぼ囁くように答えた。
「なら、ずっとそばにいるよ。いつもな。」
彼女の目が輝き、静かに頷いた。
まるでそれが、彼女が必要としていたすべての言葉だったかのように。
部屋はゆっくりと朝の柔らかな光で満たされていった。
カーテンの隙間から金の光が差し込み、シーツの上に二人の絡み合ったシルエットを浮かび上がらせた。
ナギはしばらくじっと横になり、彼女の温もりと規則正しい呼吸を感じていた。
だが、徐々に意識に、これから待ち受ける現実が戻ってきた。
この部屋の外の世界は、どれだけ望んでも消えはしない。
彼女は彼の物思いに気づき、目をほんの少し開いた。
「また、未来のこと考えてるとこ?」
ナギは無言で頷いた。
「なら……」
彼女は彼の頬にそっと手を置き、柔らかく微笑んだ。
「忘れないで。今のあなたには、戻ってこられる場所がある。たとえドアの向こうが闇だけでも。」
彼女の言葉はまるで誓いのように響いた。
そしてナギは悟った。
この脆く、ほとんど重さのない朝にこそ、彼の本当の力が隠されているのだと。
ナギは彼女を見やり、ふと向かいの窓で動く影に気づいた。
誰かが……彼らを見つめていた。
彼女がそばに、世界が止まったかのよう。
この章を読んで、彼らと一緒に一瞬一瞬を感じて。
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