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28 「闇が迫るとき:戦いの始まり」

「おいっ!」

突然、ケイトが鋭く声を上げ、どこか横を振り返った。

目を細め、指先は武器に伸びる。


数人が無意識に顔を向けたが、

多くは首をかしげて互いに目を合わせるだけだった。


「また何があったんだ?」

ある召喚者が眉を寄せて呟いた。


少し離れて立っていたレオンは、

ゆっくりと同じ方向へ視線を移す。

顔の筋肉一つ動かさず、静かに、少し退屈そうに言った。


「なるほどな…」


その瞬間、彼の姿はまるで空気に溶けるように消えた。


「な、なに!?」

誰かが声をあげる。


「消えたのか!?」

魔法使いの少女が叫んだ。


「一体何が起きたんだ!?」

戦士の一人が剣を握りしめながら怒鳴った。


誰かが動き出す前に、鈍い音が響いた。

訓練場の端で土煙が舞い上がり、

みんなの視線が集まると、地面に倒れている見知らぬ男の上にリオンが立っていた。


レオンは笑みを浮かべながら拳を握りしめた。


「また同じ戦法か…

ずっとお前の気配は感じていた、タレン。

でも新人どもに気づかれるとは情けないな…」


彼は手を差し伸べた。


「恥をかく前に立て。」


タレンは痛みをこらえながらも渋々その手を取り、

レオンは一瞬で彼を立ち上がらせた。


痛みに耐えつつも笑みを隠せず、

タレンはリオンの顔を見上げた。


「隊長、故郷では油断することもありますが、

それが弱さだと思わないでください。」


ゆっくりと姿勢を正し、シャツを直しながら、

周囲を軽く嘲笑うように言った。


「戦場ではいつだって警戒している。

信じてくれ、この新人たちはただの始まりに過ぎない。」


タレンは手で額を押さえ、目をぐるりと回して笑った。


「本当の戦いに備えておけよ。

今起きていることは、これから待ち受ける嵐の前触れにすぎない。」


レオンは軽く首を振り、微笑みながらターンの額を軽く叩いた。


「おい、新人たちをそんな重い話で怖がらせるなよ。

こいつらを鍛えるのはこれからだ。」


ターンは手で額を押さえ、目をぐるりと回して笑った。


「はは、指揮官、お前は本当に厳しいな。

でも分かるよ、誰かが皆を締めなきゃならないからな。」


そう言って服の下から巻物を取り出し、広げるとカサカサと音がした。


「これを見ろ。

巻物には国境の最新状況が書いてある。

どうやら、ただごとじゃない事態が近づいているらしい。」


皆が巻物を見つめ、緊張した視線を交わした。


レオンは眉をひそめた。


「つまり、本当の嵐はもうすぐそこだな。」


レオンは巻物を広げ、その目は素早く文字を追った。

顔色が一気に暗くなり、冷たい緊張感が瞳に宿った。


それを見たターンが慎重に声をかけた。


「指揮官、大丈夫ですか?」


レオンは重いため息をつき、感情を抑えながら答えた。


「良くはない。

国境の哨戒所の状況は壊滅的だ。

獣人の攻撃が激化している。

北部で突破口ができ、いくつかの都市が炎に包まれている。」


彼は巻物を握りしめ、遠くを見つめながら迫り来る嵐を感じ取っていた。


「備えをしなければならない。」


周囲に重苦しい静寂が広がり、

学生たちもその重さを肌で感じていた。


レオンは重いため息をつき、感情を抑えながら答えた。


「父のもとへ向かう。

ターン、俺と一緒に来い。」


振り返ると、召喚された者たちに大声で告げた。


「訓練はカイレン隊長に任せる。

彼は俺の最強の戦士で、揺るぎない守護者だ!」


全員の視線が、

すでにこちらへ向かって歩いてくる長身で筋骨隆々、鋭い目つきをした男に注がれた。


カイレン隊長は、その力と経験で幾度も王国を危機から救ってきた人物だ。


「準備をしろ!」

彼の声は決意と威厳に満ちていた。

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