表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/135

27 「試練の始まり――飢えと戦う者たち」

訓練はすでに数時間続いていた。


召喚者たちはクラス別に分かれている――

魔法使い、戦士、癒し手、狩人、そして数名の工匠。

それぞれが必死に新たな能力を磨き上げていた。


広場には教官の指示が飛び交い、魔法の閃光がきらめき、武器の金属音が響いていた。


レオン王子はそれらを見守ると、手を挙げた。


「止め!」

その声は広場に力強く響き渡った。


「昨晩から何も食べていないな?

これはわしの非道か……あるいは試練か。

戦場では、故郷のように完璧に調理された食事がいつもあるわけではない。

飢えと疲労と同時に戦いながら、生き延びねばならぬこともある」


「試練……」

ミズキは額の汗を拭いながら、顔を曇らせた。


「そういうことか……」


「くそ……剣で死ぬより先に餓死しそうだ」

戦士の一人が腹を押さえながら呟いた。


「まだこれからなのに……」

リョウタは苦笑した。


その瞬間、使用人たちが運んでくる食事の盆が目に入った。


レオンはほのかに微笑み、口調を穏やかに変えて言った。


「さあ、しばし休め」


合図とともに、使用人たちが湯気立つスープとパンの載った盆を急ぎ運び込んだ。

蒸気が冷たい朝の空気に渦を巻く。


「ここに座れ。

戦場に宴の大広間はない。

そのことに慣れるのだ」

レオン王子が言った。


戦士や魔法使いたちは疲れた様子で草の上に腰を下ろした。


「石の上だって構わねえ…」

誰かが椀を手に取りながら呟く。


「ああ…故郷の香りがする…」

一人の少女の目に涙が光った。


ミズキは静かに息をついた。

温かさと味…

こんなにも単純で、そして本物の感覚を、どれほど久しぶりに感じただろうか。


しかしその時、ケイトが突然、箸を手にしたまま動きを止めた。

彼の視線が中庭の遠くの壁に釘づけになる。


そこには、影の中に誰かが立って…

じっとこちらを観察していた。

ぜひブックマークやコメントをお願いします!

みなさんの応援が作者の励みになります。

感想やご意見もお待ちしています!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ