27 「試練の始まり――飢えと戦う者たち」
訓練はすでに数時間続いていた。
召喚者たちはクラス別に分かれている――
魔法使い、戦士、癒し手、狩人、そして数名の工匠。
それぞれが必死に新たな能力を磨き上げていた。
広場には教官の指示が飛び交い、魔法の閃光がきらめき、武器の金属音が響いていた。
レオン王子はそれらを見守ると、手を挙げた。
「止め!」
その声は広場に力強く響き渡った。
「昨晩から何も食べていないな?
これはわしの非道か……あるいは試練か。
戦場では、故郷のように完璧に調理された食事がいつもあるわけではない。
飢えと疲労と同時に戦いながら、生き延びねばならぬこともある」
「試練……」
ミズキは額の汗を拭いながら、顔を曇らせた。
「そういうことか……」
「くそ……剣で死ぬより先に餓死しそうだ」
戦士の一人が腹を押さえながら呟いた。
「まだこれからなのに……」
リョウタは苦笑した。
その瞬間、使用人たちが運んでくる食事の盆が目に入った。
レオンはほのかに微笑み、口調を穏やかに変えて言った。
「さあ、しばし休め」
合図とともに、使用人たちが湯気立つスープとパンの載った盆を急ぎ運び込んだ。
蒸気が冷たい朝の空気に渦を巻く。
「ここに座れ。
戦場に宴の大広間はない。
そのことに慣れるのだ」
レオン王子が言った。
戦士や魔法使いたちは疲れた様子で草の上に腰を下ろした。
「石の上だって構わねえ…」
誰かが椀を手に取りながら呟く。
「ああ…故郷の香りがする…」
一人の少女の目に涙が光った。
ミズキは静かに息をついた。
温かさと味…
こんなにも単純で、そして本物の感覚を、どれほど久しぶりに感じただろうか。
しかしその時、ケイトが突然、箸を手にしたまま動きを止めた。
彼の視線が中庭の遠くの壁に釘づけになる。
そこには、影の中に誰かが立って…
じっとこちらを観察していた。
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