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13 虚無からの反逆者

ホールに重い沈黙が漂った。

ナギの言葉が、広大な空間にこだまする。


そこには、息を詰まらせるような虚無感だけが残っていた。


突然、鋭く、まるで弦が張り詰めたような声が響いた。


「いい加減にその戯言やめなよ!」

クラスリーダーのミズキが叫んだ。


「ただ困難から逃げたいだけでしょ!」

「そう、人生はつらいよ。」

「でもそれが私たちの人生! 私たちの世界なんだから!」


ミズキは一歩前に踏み出した。

その目は怒りと戸惑いで燃えていた。


「私たちの大切な人、家族はまだ地上にいる!」

「私たちの夢も、そこにあるんだよ!」


「なのに、ナギはただ座って愚痴ってるだけ。」

「まるで自分だけが苦しんでるみたいに。」

「見ていて情けないよ、ナギ。」

「あなた、ただの臆病者だ!」


ナギはすぐには答えなかった。

ただ静かにミズキを見つめていた。


いつも虚ろで疲れたその目に、

今は何とも異質で、恐ろしい光が宿っていた。


闇。痛み。

内側を焼き尽くすような憎しみ。


ナギが静かに口を開いた。

声は低く、しかし一言一言がまるで平手打ちのようだった。


「今まで…女を殴りたいなんて思ったことなかった…」


「でも今、ミズキ、お前を見てると…話が違う。」


「手がお前をぶん殴りたくてうずいてるんだ!」


群衆の間にざわめきが広がった。

誰かが息をのんだ。

祭壇の戦士巫女でさえ、眉をひそめた。


「ミズキ、お前は俺のことを知ってるつもりで話してる…」

「でも、何も知らない。」


「俺の内側に何が隠れてるか、知らないんだ。」


「お前はいつもいい子だった。優等生だった。」

「家族がいて、金があって、普通の子供時代があった。」

「お前には希望を信じるのが簡単だったんだ。」


「俺には何もなかった。底辺だった。」


「お前、腹が減って泣いたことあるか?」

「誰も自分を必要としてないって気づいて泣いたことあるか?」

「自分の内側が空っぽだって気づいて泣いたことあるか?」


ミズキは思わず後ずさった。


入学してからずっと、ナギを知っていた。

いつも静かで、内にこもるタイプだった…。

でも、今の彼は、彼女が知っていたナギじゃなかった。


その視線は焼けつくようだった。

ミズキの嘘をすべて見透かすかのように。


「怖いか?」ナギが囁いた。


「いいさ。怖いってことは、まだ生きてるってことだ。」


周囲に凍てつくような沈黙が広がった。

ナギの言葉は、喉元に突きつけられた短剣のようだった。

いつも騒がしい学生たちでさえ、口をつぐんだ。


ミズキは一歩前に踏み出した。

顔は震えていたが、決意は揺るがなかった。


「ナギ…お前、生きていたいって言ってたよね。」

「大学を卒業したら、仕事を見つけるって…あれ、嘘だったの?」

「なんでそんな簡単に諦められるの?」


ナギは黙ったままだった。

ただ、彼女をじっと見つめた。

長く、鋭く、まるでその本質を覗き込むように。


「諦める?」ナギがゆっくりと繰り返した。


「俺は諦めてなんかない。」

「ただ…この世界には、もう戦う価値のあるものが何もないって気づいただけだ。」


彼は一歩踏み出した。

二人の間には、あと数歩の距離しかなかった。


「今まで…」彼は静かに囁いた。

「女を殺したいなんて、考えたことなかった…」

「今この瞬間、お前の話を聞くまではな。」


その視線は冷たかった。

憎しみと嫌悪に満ち、ミズキを突き刺すようだった。


ミズキの唇が震えた。

本能的に、彼女は一歩後ずさった。


初めて――本当に初めて、彼女は怖気づいた。

知っていたあの静かで内向的なナギは、もうそこにはいなかった。

目の前にいるのは、まるで別人のような存在だった。


周囲の学生たちのざわめきが爆発した。


「待って、マジで言ってるの?」

「見た? あの目! ミズキへの視線!」

「これ、ナギじゃない…何が起きたんだよ?」


一人の教師が前に進み出た。


「やめなさい! まだ子供じゃないか! 何やってるんだ!」


だが、誰もその言葉に耳を貸さなかった。

空気には何か…奇妙なものが漂っていた。

不気味な何か。


眼鏡をかけた背の高い教師がさらに一歩踏み出し、ナギを止めようとした。


「やめなさい! 君たちは学生だ! まだ子供だぞ! 限度を超えている!」


だが、その言葉を最後まで言うことはできなかった。


ナギがまるで爆発した爆弾のように動き出した。

彼は手を上げ、教師を指差すと、怒りに満ちた声で叫んだ。


「黙れ、クソくらえ!!

ここはお前の教室じゃねえ!

いつものように生徒に命令できると思うな!

地球にいると思うな、くそじじい!」


ナギの声は雷鳴のように響き、教室の壁が震えた。


「ナギ、俺たちは行くぞ!」

「お前も一緒に来い!」


もう一人の教師が割って入ろうとした。


誰もが息をのんだ。


壁際に立つ武装した戦士たちさえ、剣の柄を握りしめ、戦闘態勢に入った。


「てめえは誰でもねえ!」

「分かったか、老いぼれ犬!」


ナギの声は震え、目は燃えるように輝いていた。


「その腐った人生じゃ、てめえの『肩書き』に何か意味があったかもしれない…」

「でも、もうそこにはいねえんだよ!」

「てめえの地位、役職、クソくらえな教師のルール…」

「ここじゃ全部、なんの価値もねえ!」


ナギは重く息をついた。

その一言一言は、長年の痛みと怒りから叩き出された打撃のようだった。


「ここは大学じゃねえ!」

「教室でもねえ!」

「ここじゃ弱者は殺され、強者がルールを決めるんだ!」


彼は拳で自分の胸を叩いた。


「誰かがまだ、てめえの言うことを聞くなんて思ってるなら…」

「もう死んでるも同然だ。気づいてねえだけだ。」


教師は顔を真っ白にし、言葉を失った。


教室の奥から囁き声が聞こえた。


「彼…我を失ってる。」


「いや、」別の声が響いた。

「やっと目覚めたんだ。」


ナギの顔に笑みはなかった。

ただ灰があった。

ただ氷があった。

かつては痛みでしかなかった空虚から生まれた、力だけがあった。

あなたは、まるでアニメの異世界のような世界に

飛ばされたと想像してみてください。


誰もが特別な力を手に入れ、仲間を見つけ、

運命を変えるチャンスがある世界。


もし信じて、勇気を持てば、何でも可能な世界です。


しかし、もしこう言われたらどうしますか?


「ここにいる資格はない。元の世界に戻れ」と。


あなたならどうしますか?

諦めて戻りますか?


それとも、ナギのように怒りと絶望で爆発し、

このチャンスを絶対に逃さないでしょうか?


あなたの考えをコメントで教えてください!

ナギの立場だったら、どんな気持ちになり、どう行動しますか?


異世界こそが、私たちの真の力を開花させる場所かもしれません――

諦めなければ。


皆さんの意見と応援をお待ちしています!

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