106 「正確無比の冒険者」
キャラの名前は全部統一したよ。
冒険を追いやすくするためさ。
それに、ちょっとした工夫で、一部のキャラには名前のバリエーションを残した。
そいつのいろんな面やシーンの雰囲気を、少しでも感じてもらえたら嬉しい。
これで、冒険をもっとスムーズに楽しめるはず。
前に読んでくれた人も、改めて読み返してみると新しい発見があるかもしれない。
朝の霧と馬の蹄
朝が丘の上に金色と冷たい霧をまき散らしていた。
五頭の馬が狭い道を一列に進む。
草が蹄の下でザクザクと音を立てる。
カイレル・イヴェルトが先頭を切っていた。
赤い瞳が地平線を怠惰に滑る。
だが、馬の手綱を握る指はピンと張りつめている。
その隣をアイレラが並んで進む。
赤いルビーがちりばめられた暗い仮面が、朝露の滴でキラキラと輝く。
彼女は黙っていたが、仲間のわずかな動きも鋭く感じ取っていた。
左側では、リアナリスが鞍の上で軽く身を起こして乗っていた。
エルフの彼女は、投げナイフを指先でくるくると弄ぶ。
時には軽く放り投げ、時には素早く隠す。
「そんな調子でやってるとさ、」
カイレルが鼻で笑った。
「馬が、お前が反応テストしてるって思うぞ。」
「いいじゃん、訓練になるよ。」
リアナリスはニヤリと笑い返した。
後ろではミライのリュートが柔らかく響いていた。
そのメロディは、時に陽気で、時に急に哀調を帯びる。まるで隠された想いを映すように。
「寝かしつけたいのかよ?」
ブラリックがブツブツ言った。巨大なハンマーをベルトにぶら下げている。
「心で聴けば、音楽は元気をくれるよ。」
吟遊詩人がのんびり答えた。
脇ではシスター・エリサが馬を静かに操っていた。
彼女の声は、まるで教会の鐘のようにはっきり響く。
「道中の歌はいいものよ。でも、忘れないで。私たちの行く先は遺跡で、祭りじゃない。」
「説教までリズムに乗ってるじゃん!」
リアナリスがクスクス笑った。
風が、腐った落ち葉と遠くの煙の匂いを運んできた。
カイレルが最初にそれを感じ取り、目が鋭くなった。
アイレラが少し身を乗り出す。
「気づいた?」
「嗅いだ。」
カイレルは短く答えた。「一人じゃない。」
ミライのリュートがピタリと止んだ。
ブラリックでさえ、冗談をやめた。
遠くの斜面、古い石の間で影が揺れた。
道は低地へと急に落ち込み、霧がより濃く、重く感じられた。
風がピタリと止んだ。
まるで世界そのものが息を止めたかのように。
カイレルが手を上げ、隊を止めた。
馬さえも動きを止め、草の擦れる音が消えた。
最初に感じたのは血の匂いだった。
温かく、錆びた、異質な匂い。
アイレラが身を乗り出し、仮面がキラリと光った。
「予想外ね。」
彼女の囁きは、風よりも大きく響いた。
霧が晴れた。
目の前に谷が広がった。
何百ものゴブリンの死体が、壊れたおもちゃのように転がっていた。
血は地面に染み込み、赤黒いシミを残していた。
あるものは真っ二つに斬られ、別のものは内側から焼かれたように焦げていた。
ミライは無意識にリュートを胸に抱きしめた。
いつもは皮肉っぽい彼の目さえ、色を失っていた。
「これ…」
リアナリスがゴクリと唾を飲んだ。
「一族まるごとだ。」
ブラリックはハンマーの柄をギュッと握りしめた。
「生き残りゼロ。戦いの音すらなし。
誰かが雷みたいに駆け抜けたんだ。」
シスター・エリサが馬からスッと降り、近くの死体を慎重に見た。
「矢の跡はなし。傷が…妙なんだ。
まるで肉が自分で燃えたみたい。」
カイレルはゆっくり馬から降りた。
赤い瞳が、死んだような朝焼けの光を映す。
「ただの狩人じゃない。」
彼は言った。
「俺の知ってるレベル1の魔法でもない。」
カイレルは死体の間をゆっくり歩いた。
足音はほとんど響かない。
胸を切り裂かれたゴブリンのそばでしゃがむ。
血はすでに黒ずんでいたが、傷の縁は不思議なほど綺麗だった。
獣じゃない。
自然魔法でもない。
アイレラが隣に膝をついた。
手袋の指が、焦げた皮膚をそっと撫でる。
「一撃で、正確。」
彼女は呟いた。
「それに、焦げ臭くない炎。」
静かに付け加えた。
カイレルは頷いた。
「連携してる。素早い掃討だ。」
「こんな一撃を繰り出すのは…」
アイレラが目を細めた。
「冒険者だ。」
カイレルは谷を見渡し、死体の配置を測るように視線を走らせた。
「でも、実行は一流のチームより粗い。」
「新米?」
アイレラが尋ねた。
「いや、経験はある。ただ…俺たちのレベルじゃない。」
アイレラが顔を上げ、仮面の赤い輝きが陽光にキラリと光った。
「つまり、誰かが先にここを通った。」
カイレルはゆっくり立ち上がった。
赤い瞳が一瞬、冷たい光を帯びた。
「どうやら、俺たちの依頼主が…」
彼は一拍置いた。
「もう一つのパーティーを雇ったらしい。」
周囲の静寂がさらに深まった。
風さえも止まり、まるで耳を澄ましているようだった。
なんで俺は書くんだろう?
名声のため? いや、違う。
誰かに認められたい? それも違う。
たぶん、現実から逃げたいんだ。
ほんの数時間でもいい。
自分が何者にでもなれる世界に飛び込みたい。
そこには制限なんてない。
失望も、人生を重くするものもない。
お前、全部失ったって感じたことあるか?
何も持ってなかったから、全部失ったって感覚。
好きな子が気持ちをほのめかしてくるのに、
「うん」って言えない。
家もない、車もない、金もないから。
親にはガッカリされて、
「いっそお前なんかいなかったら」って言われる。
そんな瞬間、めっちゃあるよな。
唯一の救いは、小さな逃げ場だ。
夜にゲームしたり、本読んだり、物語書いたり。
どうにかして、キツい現実から目を背けるんだ。
俺、最近気づいた真理があるんだ。
みんなにもシェアしたい。
どんなにつらい時でも、小さな幸せを見つけろ。
好きな飯を食う。
歴史とか映画のトリビア動画を見る。
ただ、その瞬間を楽しむんだ。
ストレスは全部ぶっ壊す。
大切なもの、夢さえも。
遠くから好きな子を見てるだけでもいい。
もう結婚して、別の男の子供を産んでても。
心から幸せを願って、前に進む。
それでいいんだ。
「なんでもいいや」って生きるのは、無関心になることじゃない。
状況に人生を支配させないってことだ。
運命は決まってるかもしれない。
でも、小さな幸せを見つけることで、人生はなんとか耐えられる。
だから、俺は書く。
現実じゃ味わえない自由を、ほんの数時間でも感じるために。
もしこの物語が少しでも楽しめたなら、
ぜひお気に入り登録して、評価をつけて、コメントも残してほしい。
みんなの言葉が、次の物語を書く力になるんだ。




