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89 「俺たちは目の前の怪物が一番恐ろしいと思っていた。だが、足元にはさらに深い闇が待っていた」
バッファローが猛烈な咆哮を上げた。
一気に突進してきた。
その瞬間、ハルが動いた。
これまで黙っていた男ฐ
「ナギ、英雄はてめえだけじゃねえ、馬鹿野郎！」
ハルの剣がキラリと光った。
だが、誰も気づかなかった。
バッファローの背後の闇。
そこに、何かが蠢いていた。
その刹那、ユージの足元で石の床が沈んだ。
「何！？」
ユージが叫んだ。
間に合わなかった。
石の床がパックリと割れた。
闇が口を開けた。
「ユウジ！！！」
サクラが叫び、手を伸ばした。
だが、もう遅い。
ユウジの姿は奈落に消えた。
床の石が震えた。
バッファローが再び咆哮し、空気を揺さぶった。
ナギとハルは剣を構え、ミズキを庇った。
「目だ！」ハルが叫んだ。
「目を狙え、盲目になるぞ！」
「簡単に言うな！」
ナギは歯を食いしばった。化け物が突っ込んでくる。
ケイトは慌てて後退した。
それでも、杖を掲げた。
「ファイア…ボール！」
炎の球が獣の脇腹に叩きつけた。
毛皮が燃え、焦げた匂いが漂う。
だが、バッファローは止まらない。
ミズキが震える手を上げた。
まつ毛に涙が光る。
それでも、声は固い。
「ライト・バースト！」
光がモンスターの目の前で炸裂した。
バッファローが咆哮し、盲目になって暴れた。
ラグノルドが振り返り、吠えた。
「今だ！ 叩け！」
騎士たちの剣がキラリと光った。
だが、小さい魔物に足止めされていた。
彼らは叫びながら斬り合い、
次々と倒れていった。
バッファローが再び突進した。
今度はほとんど闇雲に。
その咆哮がダンジョンの一階を満たした。
ナギとハルは目を見合わせた。
「今コイツを仕留めなきゃ…」
「誰もここから生きて出られねえぞ。」
二人は同時に獣へ飛びかかった。
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