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たぬきの嫁入り

作者: いんげん



私はタヌキだった。


そうあの、丸い目に、丸いお顔の可愛い動物。

あのタヌキだったの。


でも、今はひょんな出来事のせいで人間になっちゃった。


ひょん、て何なんだろうね。


なんだか狐っぽくて好きじゃない言葉。

やっぱり言い直そう。妙な出来事だよ。


あれは、まだ麓の柿の木が、芽を出したばかりの頃。


夜が得意な私は、日暮れに起きて川べりで小魚を狙ってた。


他のタヌキは、麓の村の百姓の畑を狙いに行く子もいるんだけど、鎌が飛んできたり、刀で斬られたり、遊び半分で弓を射られたりする話を聞いて、絶対に行かないって決めた。


細々と、平和に生きるのが一番だよ。


流れる川の水は、春先でまだ水が冷たいけれど、ふさふさの毛があれば寒くない。

ばしゃん、前足で岩をひっくり返して、隠れてた小魚をぱくり。

うん、悪くない味だよ。


これで、何か甘い実でもあれば最高なんだけど。


川岸に上がろうと首をめぐらせると、何やら川を流れてくるものが。


どんぶらこ


どんぶらこ


唯一の人間の知り合い、ウバステババが言ってた。

大きな桃の中に人間の赤ちゃんが入ってるって。


その話聞いたとき、思ったんだ。


人間、いらない。


桃だけ欲しい。


なのに、大きな桃かと思ったら、人間の子供だった。


あー残念。

そっちじゃないよ。


たまにね、森にはババみたいな老人とか、やせ細った子供とか置いていく人がいるんだよね。

それかな?


川を流れる少年を、ぼー、と見ていたら少年は岩の浅瀬に引っかかった。

今まで見て来た人間の着物は、ボロボロの擦り切れだったけど、少年の衣は厚くてしっかりしているように見える。

あれをババにあげたら喜ぶのでは?


私は、少年に近づいた。


天を仰ぐように上向きに漂着した少年。

細い顔に、しゅっとした高い鼻。冷えて真っ白になった薄い唇。

なんだか、狐っぽいなと思った。

可愛そうに、きっと不細工扱いされているよ。

やっぱり、顔は大きくて丸くないと。

川の流れに波を描く長い黒髪は綺麗だけど。

何か、いい匂いがするな。


「……っ」


私が鼻先を近づけて、くんくんしていると、少年が呻いた。


い、生きてたの⁉


びっくり仰天した私は、ひっくり反って意識を一瞬失った。

でも、おぼれそうになって気を取り戻した。


あ、危なかった。

タヌキは、びっくりすると気絶するのよ。

だからタヌキ寝入りなんていわれちゃう。


私は、恐ろしくなって、そろり、そろりと後退した。

着物は水を含んで重そうだし、ババの所に持っていけない。


さようなら、少年。

来世では、たぬきに生まれるといいね。


くるりと、少年に背を向け、私は走り出そうとした。

しかし、ぐっと、しっぽが引かれてしまった。


ひいいいいい!


再び気絶して、ぶくぶくと沈む私。


何てことするのよ!


気を取り戻して、少年を振り返った。


「たぬき……くそ……だれか、人はいないのか……賊に襲われた……」


少年は、体を起こし、私のしっぽを掴んだまま、ゲホゲホとむせ返り、ぜーぜーと荒い呼吸を繰り返した。

川の中だから気が付かなかったけど、少年からは血の匂いがする。


ぐるるる!


威嚇しても、少年はそれどころではなさそうだった。

傷みと息苦しさに、背中を丸めている。

やがて、私のしっぽも放された。


その姿は、咳がとまらないウバステババみたいで、哀れに思えて来た。


私は、おそる、おそる近づいて、少年の膝に前足をついて、顔を覗き込んだ。


「……お、お前……心配しておるのか、たぬきのくせに」


そう鼻で笑う少年は、まさに狐のようで、イラっとした。

ふさふさのしっぽで、少年の体を何度も叩いた。


「なんだ、温めているつもりか?」


ちがーう!

この、こんこんちきが!


もう、いいや。帰ろう。

私は、ぱーっと走り出した。


なんだか、しっぽが、ずっと引かれているようで重かったけど――



途中、松明を持ち、武装した男たちを数人見かけた。

こんな夜中に狩りなどしないでしょ?

何してんだろ?


夜目が利かない人間になど見つかるわけなく、私は颯爽と駆け抜け、ウバステババの家にたどり着いた。

家、などと大層立派なものでもない。

洞穴に枯れ木で作った簾を付けているだけの巣だ。


「あれ、はやいな」


ババは、夜も長くは寝ていられないらしく、何度も目を覚ましては、私を抱く。

温かい、温かいと喜んでいるし、私もぬくいので許している。


「なんぞ、ええもんでも食べれたか?」


ババの問いに、うむ、と頷いた。

そして、頭の中には、あの少年の姿がちらついた。


そうだ、もしも、あの少年を助けて元気になったら、ババができない事もできるのではないか。

この巣に “と” なるものがあれば、もう少し暖かいのに、とか言っている。

でもババには作れないらしい。

“と” はきっと、大岩を砕いてつくるにちがいない。


そうだ、あの少年に “と” を作らせよう。


それにあの衣もババに着せるのだ。

ババがアレを着て、私を抱けば、もっと暖かいに違いない。


私は、ババの擦り切れた着物をくわえ、こっちに来いと引っ張った。


「どうしたんだい、おたぬさん」


ババは、立つのにも苦労する。どっこいしょ、という呪文を唱える。

そして、えっちら、おっちら、ついてくる。

ババは、必ずついてくる。

それは今日まで、私がババの食べ物を探してあげているからだ。

ババは、来た時よりも少しふっくらした。

この森は “くまのもり” と恐れられて人がほとんど来ないけれど、食べ物は多い。

水も綺麗で魚も沢山いる。

豊かな森なのだ。


まっくらな森を、私がくわえた紐をババが手にして歩く。


ゆっくり


ゆっくり


ひっくり返ったら、ババは「死んでまう」らしい。

でもババは、山に慣れている。


「あれまぁ、人の子かい?」


あの少年は這ってきたのか、川にたどり着く前に見つけた。

大きな木に寄りかかって、着ていた着物を破って、足に巻き付けていた。

彼の周りには、蛍が飛び交っていて、輝いてみえる。


私は、ババを置いて駆けだした。


何てことするのよ!


私は少年の側にたどり着くと、破かれ、少年の太ももに巻かれた着物を哀れみ泣いた。


なんで、破るのよぉ。


ふーん、ふーんと鳴いて、少年の足に鼻を擦りつけた。


「なんだ、お前、心配してくれているのか……」

「捨てられるにしては、随分ご立派な童だねぇ」

「っ⁉」


歩み寄って来たババに、少年が驚いて腰に手を当てたけれど、目当ての物がなくて拳を握った。


「何奴」

「何もかんも、ただの姥捨てババだよ」

「……」


ババの返答に少年が押し黙り、近づいてきたババを見て警戒を解いた。

蒲公英の綿毛がかすかに残っているような、ババの白頭。

ガサガサでしわしわの肌。

何本も抜け落ちた歯。

そして、ババは野生のにおいがする。

仲間を捨てに来る人間たちより、畏まっていなくて、自然体で、さぞ少年も安心したよね。


ほら、眉間の皴が――深くなってる?


「怪我かい?」

「賊に襲われ、矢を射られました」


こわっ!

私は、自分に矢が刺さったことを想像して、顔を背けて寝たふりをした。

すると、少年の手が私の背に乗せられた。


気安く触るな。

私はしっぽをからめ、奴の手をどけようとしたけど、その前に離れた。

何だ、その満足そうな顔は。


「私の洞穴に、ヨモギや拾った釘抜があるでよ。来るかい?」


ヨモギは知ってる。もしょもしょした葉っぱでしょ。

釘抜ってあの、とんがりのある硬いやつ何につかうの?

私が首をかしげると、少年が私の頭を撫でた。


「お借りします」


そう言って、まだ矢が刺さっている足で立ち上がったので、私が倒れた。

気が付いたら、ババが肩を貸し、少年は歩き出していた。


もー、二人とも何も見えないくせに。


私は紐をくわえて駆け寄った。



人間は頭がおかしい。

矢をほじくって抜くなんて、普通じゃない。

私は、狂気の二人が恐ろしくて、泣きながら洞穴を走り回った。

木を咥えて痛みに耐えている少年は、すっころんでいる私を見て、変な顔して笑ってた。


「みょうな……たぬきだな……」


射られたタヌキは直ぐに死ぬのに、少年は日に日に良くなっていった。

私の捕まえた魚を食べ、木の実を食べ、ガタガタ震えた日は首にしっぽを巻いてやった。


雨が増える頃には、少年は歩けるようになった。


だから、案内してあげた。

私の特別な場所に。


「なんだ此処は」


森に捨てられ死んでいった哀れな人々は、山の洞窟にある池に祠を作った。

祠の上は、ぽっかりと穴が開いて夜になれば月明りに照らされる。


蛍が舞い、ときより、人の骨の上で羽を休めた。


哀れな魂が、蛍をより一層輝かせ、光はおびただしい数になって空へと昇っていく。


きれい


きれい


「世にも美しい景色だ」


少年の目には涙が浮かんでいた。

ぱっくりと開いた横長の目は、釣り目で意地悪そうなのに、私の大好きなまん丸じゃないのに、綺麗だった。

それに、少年の髪は漆黒で艶やかで馬のしっぽみたいだ。

ババ様の綿毛も好きだけど、馬のしっぽも好きかもしれない。


地面に腰を下ろして景色を眺めている少年の髪を食んで遊んだ。


「お前とババ様には世話になった」


何をしんみりと語りだしたのか。

私は、気にせず少年の膝に乗った。

矢傷はもう痛くないらしい。


「感謝している」


じゃあ、早く大きくなって、ババさまに “と” を作ってあげてよ。

タヌキは、一年もすれば大きくなる。

人間はどれくらい?


捨てられた赤子は、大きくならないから、分からない。

私は少年の膝の上で寝床をつくり、半目を開けてババ様が池の周りに葬った赤子たちを思った。


起きたら、少年は居なくなっていた。


「あの子は、帰っていったよ」


ババ様は笑っていた。


なんと、恩知らずな奴だ。


ババ様は、鶴だって恩を返すって言ってたのに。

食うだけ食って、世話になって消えた。


私は、怒りで森の中を駆けまわった。


どこにも居ない。


黒いしっぽは無い。


狐の顔は見当たらない。


居ない。


居ない。


あぁ、いなくなっちゃった。


私は、川で魚を獲った。少年と出会った場所だ。

沢山とって、少年の分も食べた。


目から雨が降る。


「たぬきも泣くのかい? 不思議な子だ」


そうだよ、私は特別なタヌキなの。

お母さんは、しっぽが二本生えてたんだから。


「おいで」


ババ様が私を抱いてくれた。

しわしわ。

ちょっと臭い。

でも、ずっと一緒にいてくれる。



ババ様しか好きじゃない。


狐顔の少年なんて大嫌い。



それから、少し経って。

麓の柿の木が、何度も実を付けた。


ババ様がお骨になって、一人ぼっちになった。


人の世は “ききん” というのが、やってきたらしく、熊すら恐れず森の中に入ってくるようになった。

食べるものが無いらしい。

新たなババ様や、子供がやって来たが、みんなすぐに動かなくなって、友達になれなかった。


あぁ、少年は無事だろうか。


もう大きくなったはずだけど、お腹がすいていないかな。


川の魚を届けてあげよう。


少年は、山を一つ越えたところに住んでいると言っていた。

そこの、一番大きな屋敷に住んでいると。


口にくわえた魚は、何度か地面に置いたから、土だらけになったけど焼けばいい。

人間は、魚を焼くのが大好きだからね。


私は、怖くて火には近づけない。


「あっちいけ、狸!」


何度か人間に追いかけられた。

でも、まっすぐ走った。

動物の勘、というやつだろう。こっちに違いない。妙な自信があった。


それにしても、お腹がすいた。

よだれが止まらないのは、魚を咥えているからか、もう一日何も食べてないからか。


待ってて、少年。

今、届けてあげる。


ちょっと、うつら、うつらしながら休憩をして、また走るから――


こく


こく


首が揺れて


もぐ


もぐもぐ


ひと眠りしたら。

空腹がましになった。


これで、走れるよ。


「っ!」


何てこと?

寝ている間に、魚を盗まれてしまった。

どこ、私の魚はどこなの?


近くに居た犬を睨みつけ、お前かと聞いた。

すると、その凛々しい犬は、鼻をしゃくった。


お前だと。


私は、あまりの衝撃に、倒れた。



犬は、紳士だった。

さすが、祖先はタヌキの仲間。

どこか大きな屋敷で番犬をしているらしい。用を足しに外へ出て来たそうだ。


主人は、狸が好きらしく、狸の絵を所有しているという。


きっと魚の一匹くらいくれる、そう言われ彼に付き従った。



大きな屋敷だった。


ババ様が暮らしていたのは、まさに巣。

これは屋敷。

綺麗な木が沢山使われている。

どうやって、人の背よりもはるかに大きいこの屋敷を作ったのか。

川のように長い廊下、白い丸い石の庭。絵の描かれた四角い板。

別世界だった。


ぽかーんと眺めていると、人の気配がして隠れた。


「雷剛、どうした?」


男が廊下に現れた。

そして、庭の方を見て、犬に声をかけた。


あぁ、あの少年だ。

面影が残る、細面の涼やかな――かわいそうな狐顔。

ぜんぜん、張り出してない腹。

太くない首。

少しも立派じゃない。

タヌキらしい豪胆さや、ふくよかさは欠片もない。


やっぱり、餓えているのだ。


私は、自分を責めた。

なぜ、魚を食べてしまったのか。


「くぅーん」


犬が私を紹介しようと、岩を積み上げたような飾りの陰から私を出そうと尻を押した。


やめなさい、犬!

私は食べてしまったのだ、魚を。


こうなれば、もう一度、魚を獲ってこなければ、少年に顔向けできない。

いや、今は青年だわ。


もっと太らせないと、嫁も来てくれないに違いない。

やはり、ふくふくに太り、顔がまん丸にならないとだめだ。


私は岩陰から飛び出した。


「たぬき……」


青年の声は、昔より低かった。


次の日、川に戻り魚を獲った。

そして、また走った。

行き先が分かったので、足取りは軽い。


あっというまについた。


そして、足に履く物の隣に置いた。

すぐに犬がやってきて、わんと吠えた。


すると「曲者か!」と武装した男たちが集まって来た。


怖すぎる。

私は、倒れかけたけど、踏ん張って、床下に潜り込んでいった。

そこから庭をみていると、色白い男の足が下りて来た。

履物をはいて、その横の魚に気が付いたのか、細長い指がそれを拾い上げた。


「たぬきは居なかったか?」

「たぬきですか? さぁ……」

「この馬鹿犬、曲者はおらんじゃないか」

「待て、叱るな。客人が来たようだ」

男の声は、弾んでいた。

私は、なんだか心が温かくなった。

「へ?」

「もうよい、下がれ」


それから、何度も魚を運んだ。


「たぬきよ、姿を見せてはくれまいか」


男は寂しそうに私に声をかけたけれど、私は隠れ続けた。

だって、小さな魚一つでは、男は全然ふくよかにならないから、不甲斐ないのだ。


悲しいのだ。


男も、あの祠の骨のようにならないか、心配なのだ。


私は、くやしくて、くやしくて縁の下で泣いた。


「たぬき、出てきてくれ」


私に、腕があったなら。

人の様に、道具を扱えたなら。

もっと魚が運べるのに。


ババさまが、言っていた。

この世から去るときには、お迎えがくるって。


無理がたたって、体が動かなくなった私は、お迎えを待つことにした。


ババ様も眠る、洞窟の祠の前に横たわった。

もうすぐ、雪が降る頃なのに、洞窟の中には蛍が舞っていた。


「世にも美しい景色だ」


少年はそう言っていた。


私に蛍を包む手があったらな。

そしたら、蛍も、魚も沢山持っていけたのに。

せめて、あの犬に、もっと獲物をとってやれと言えばよかった。

もう、何日も屋敷に行けていない。


でも、もう歩けない。


「たぬき!」


青年の声と、わんわん、とあの犬の声の声が聞こえた。

これがお迎え?

瞑っていた目を開いた。


真っ暗の洞窟は、月光が一反の布の様に垂らされている。

きらきらと眩しい蛍は、どこだろうか。

視線を彷徨わせると、駆け寄って来た青年と犬がいた。


青年の顔は、とても悲しい顔をしていた。


「たぬき、どうしたのだ!」


いつの間にか大きくなっていた手が、私を抱き上げた。

温かい腕から、私の自慢のしっぽが零れ落ちた。

いい匂いがする。

乾燥して硬くなった鼻を動かした。


「しっかりしろ! お前、病気だったのか? ここしばらく来ていないようだったから心配していたのだ」


青年は、恐る恐る私を上向きに変えて、赤子の様に抱いた。

まじまじと眺めた青年は、相変わらず狐みたいで不細工だ。

次に生まれるときは、たぬきのような美形にしてもらうように、神様に頼んでおいてあげよう。


たくさん、ご飯がたべられるように、頼んであげる。


「たぬき……」


青年の片方の手が、私の眉間を撫でた。

くすぐったいくらい、そっと――


「腹は減ってないか」


それは、あなたでしょう。

そういえば、あの祠の裏に、柿の実を一つ隠しておいたの。

柿は、しばらく干していると甘くなるとババ様が言っていたから。


ちょっと、下ろして。

とってきてあげる。


「たぬき、動くな。今、連れ帰ってやる。屋敷で薬師を呼ぼう。暖かい寝床も用意する」


別に寒くない。

“やくし” が何かも分からないけど


“と” はあるのかしら?

ババ様が欲しがってたから、この洞窟につけてあげてよ。


「待っていろ、持ってきた果物がある」


青年が私を、そっと地面に下ろした。


待ってて、私も柿、もってくる。


「おい! どこへ行く!」


よろよろと歩き出した私に、青年が驚き、どうしたものかと手を彷徨わせた。

小さな祠なのに、裏に回るだけで一苦労。

朽ち果てそうな祠には、裏に穴があるの。


そこに、柿をいれておいたの。


「たぬき、やめろ、何を探している。もう行こう」


ない。


あれ?


ないな。


おかしいな


あれ?


また食べちゃったんだっけ?


ないよ。


「たぬき!」


青年が私の体を優しくつかんで、引き戻した。


ごめん


また、食べちゃったみたい。


ごめん


情けなくて、涙がぽろぽろ流れ落ちた。


「どうしたのだ? 泣いているのか? おぉ……すまない、悪かった、もっと早くお前を、きちんと探していれば……」


しゃがみこんで、私の背に手を当てた青年の目からも、涙がひとすじ――

すごく綺麗で、その温かい涙に触れたくて、鼻を近づけた。


でも、届く前に、足は力を失って。

私は、地面に崩れ落ちた。


「たぬき⁉ しっかりしろ、いつもの狸寝入りだろ」


私は、抱き上げられ、青年は何か叫んでいた。


「たぬき、起きよ!たぬき!」


次の世は、人間になりたい。

獲物を沢山抱える腕と

“と” を作る力を持った人間になりたい。


重く感じていた体は、ふと軽くなった。

まるで蛍の様に浮かんで、私が見えた。

私に叫ぶ男と、祠から柿を取り出してきた犬と、まばゆい程に洞窟を満たす蛍の光。


まぶしい


光は段々と強まり。


男は、私を守るように抱いて体を丸め。

犬も柿を落として、うずくまった。



まっしろな世界が


やがて、おさまった。


そして、再び男の腕に戻った私は、大きな産声を上げた。




□□□□





「あんぎゃー」


人間の赤子の鳴き声は、甲高い。

最初は、ぼんやりとしか見えない視界と、思い通りにならない体に泣いてばかりいた。


私を連れ帰り、青年の屋敷は大騒ぎになったらしい。


私の寝かされている部屋でも、やれ隠し子か、拾い子か、と使用人たちの口は止まらない。

でも、私がニコニコわらうと、彼らも満面の笑顔になって私を抱いてくれた。

 

どうしよう、私、きっと、たぬきのような丸くて愛らしい赤子だ。


そうこうしているうちに、青年の姉という女性がやってきた。

目尻に皴の入った、すこしばかり年齢を重ねた女性は、嫁いだ先で子ができず肩身の狭い思いをしていたらしい。

私の育ての親として戻ってきてくれたようだ。


名前は分からない。


「いい子ですね、母ですよ」


自分の事を母としか言わないし、男も姉上としか呼ばない。

そういえば、男の名前は秋久というらしい。母が呼んでいた。


「ほれ、たぬき。散歩にゆくぞ」


私は秋久の腕に抱かれ、幾重にも布を巻かれ庭に連れ出された。



散歩なんて、どうでもいいよ。

私は腹ぺこだよ。

乳母を呼べ。

乳を吸わせろ。


必死に伝えようと、秋久の胸元の衣を握りしめ頑張ったが、とろけるような目で見下ろすだけだ。


「どうだ、外は心地よいだろう」


お天道様の光が、秋久の顔を照らす。

鼻が高いのは良いと思うよ、たぬきみたいで。

でも、細すぎて存在感がない。

私の鼻は、大きくて黒いといいな。


「たぬきが魚を運んでくれていた日が懐かしいな、今度は私がお前に たらふく食わせてやるからな」


秋久が微笑んだ。

すっかり大人になったけれど、笑うと少年の頃みたいだ。


むむむ、なぜだか尻がこそばゆい。


ぷっ


「ははは」


放屁した私を、秋久が声を上げて笑った。

許さない。

怒りを覚えた私は、力いっぱい泣いた。


「あぎゃーーー!」

「すまぬ、すまぬ。怒りっぽいのは、腹がへったからか?」


そうだ、とばかりに口を、くちゅくちゅ動かしたら、悪戯に長い指が迫ってきた。

嚙み砕いてやる。

ぱくり、と咥えたが、まだ歯がない。

しかも、なんだか甘い気がする。


つい吸ってしまう。


「おいしいか?」


何か聞かれたけれど、眠い。

後にして。


くうくう


「あら、眠ってしまったの?」

「ええ」


母の声が聞こえた気がした。

そして、硬くて大きな腕から、柔らかな腕へと寝床が変わった。

心地よい母の歌声が聞こえる。


とん


とん


背中が優しく叩かれる。


まぁ、人間も悪くないかな。


 


「うー」


ひと月もたてば、私は寝返りをうって、うつぶせで頭を上げることができるようになった。

これは、すばらしい。

たぬきの目線と変わらないよ。


「いくらなんでも、早すぎます」

「……人の子とは違うのか」


喜ぶ私をしり目に、二人は眉間に皴がよっている。


「うー、う!」


なんとか進めないものか、私は必死で体をそらして、足をじたばた動かした。

だが進まない。

その場で、ゆらゆらするだけだ。


「うー!」

「待て、たぬき。そう急いで大きくなるな」


秋久が私の脇に手を差し入れ、抱き上げた。

目線が上がっていく。

天井に頭が付きそうだ。


「あうー!」

「そうか、嬉しいか?」

「あうー!」


相変わらず察しの悪い男だ。


「おたぬは、母が良いのですよね」

「そうなのか?」

「あう」


最近、母は私に粥をくれる。

素晴らしい人だ。


「いらっしゃい」

「……」


私は、秋久から母へと受け渡された。

母は、秋久に似ていない。狐でも狸でもない、鶴のような顔の女だ。

世間では、美人と呼ばれているらしい。


「あー」


母よ、食べ物をください。


「そうですか、眠いのですね」


この二人は、姉弟だ。

察しの悪さが似ている。

早く、話せるようになりたい。



「あちひさ」


半年もすると、歩けるようになったが、四足歩行が良い。

私は、屋敷中を這いずり回った。


「あちひさ!」


ふすまを開けて、秋久の部屋に侵入した。

彼は、文机で何やら文を書いていた。

墨をこぼされないかと、文机は一瞬で片付けられた。


「あきひさだ、言ってみろ」


膝の上に招かれ、そこに乱暴に腰を下ろした。


「かし、かし」

「きちんと呼ばねば、菓子はやらん」


何て、いじわるなやつなのだ。

私が目を剥いて秋久を振り返ると、秋久は「さぁ」と微笑んだ。


「かしひさ」

くれ、と手を出すと、

「違う」

と首がふられた。

「……こんこんちゅき」

口を尖らせて文句を言ったが、秋久は楽しそうに笑っていて胸がさわさわした。

「もうよい、ははにもらう」

腰を上げると後ろから、そっと抱き寄せられた。

「すまぬ怒るな、さぁ手を出せ」

「……」

たくさん欲しくて、小さな手を2つお椀にした。

さぁ、出せ。

くるりと体を向けて、期待で目を輝かせた。

「たぬきの運んでくれた魚には勝てないが、巷では人気があるらしい」

秋久の懐から、紙に包まれた菓子が登場すると、嬉しくて、嬉しくて思わず、しっぽが膨らんだ。

「ん?」

「たぬき⁉」

しっぽが生えた。

秋久の太ももに乗せてた尻から、たぬきのしっぽが生えた。

びっくりして落とした菓子が、畳の上を転がっていく。


あっ……


落ちたものは食べるなと、とりあげられてしまう?


気分がしぼむと、しっぽもしぼんで――消えた。


「今のは目の錯覚か? 誰か、姉上を!」


秋久は、母を呼び寄せ、私の尻を調べさせた。


「しっぽなんて、どこにもないわ」

「しかし、確かに」

「んー」

しっぽを出そうと踏ん張ったが、ぷすーんという音しか出なかった。


秋久の屋敷に来て一年。

私は、五歳ほどの子供の姿に成長した。


「たぬき、四つ足で走るなと、何度言えば……」


秋久の説教は長い。

とても、長い。

やれ、危ない。やれ、病気になる。やれ、人に見られる。

こういうのを、耳にたこができるというらしい。

耳が飛んで行ったらどうするつもりだ。


「たぬきだもん」

「今は人であろう」

「しっぽあるもん」


しっぽは、どうやら興奮すると出てくるらしい。


「……しっぽは、出すな。人に見られたら事だ。それに、獣のように走るのも駄目だ。お前を守るためなのだ」


眉間に皴をよせて、溜息をつく秋久が嫌で、むーと口を尖らせた。

しょうがないの。

癖なの。

「そうだ、いつまでも、たぬきと呼ぶ私も悪い。お前の名前を決めよう」

「名前?」

「そうだ」

やっと微笑みを見せた秋久に私もつられて笑う。

「何か希望はあるか?」

「うーん」

名前か。

私は、ひっくりかえりそうな程、頭をめぐらせた。

「ある!」

「何だ、申してみろ」

「ウバステ」

「駄目だ!」

「ひぃ!」

突然怒鳴られ、私は寝たふりをした。

「すまぬ、起きよ」

秋久が私のそばまで寄ってきて、抱き込むように背中を叩いた。

たぬきの頃の癖が抜けない。

「どうして駄目なの」

「姥捨てババは、確かにそう名乗っていたが、良い言葉ではない」

「そうなの?」

「ああ、だから他の名にしよう」

「うーん」

再び頭を悩ませた。

ひっくり返って、頭を秋久の膝に乗せた。

「たぬき!」

「話が戻ってしまったぞ」

見上げた秋久は、目尻を下げて笑っている。

「じゃあ、おあげ」

「食べ物の名だ」

「あきひさ」

「それは私の名だ」

秋久の指が私の髪を梳いた。

心地よい

思わず眠くなって、あくびが出る。

「母もウバステババも、おたぬって呼ぶよ」

「しかし」

「秋久は我儘」

「そうか?」

「うん」

「では、蛍ではどうだ?いや、待て……美しいが、虫は短命だ。却下だ」

「亀は?」

「それは、愛らしいお前にはそぐわぬ」

「鶴」

「姉上の名だ」

「母の名前、鶴なの⁉」

私は飛び起きた。

しっぽも、ピンと現れた。

どうりで、鶴っぽい顔なのね。

「知らなかったのか」

きょっとんとした顔の秋久が、私の腰をとんとん叩いた。

しゅん、しっぽが消えた。

「母は、ははと言う」

「そうだな」

「あっ、鯛」

「魚はだめだ」

あれも駄目、これも駄目。

面倒になった私は、駆けだした。

もちろん、四つ足で。

「たぬき!」

「べーだ」

ふりかえり、舌をだした。

そして、思いっきり転がった。


「たぬき⁉」


歯が抜けて、顔が血だらけになって、悲壮な顔の秋久と母を見て、反省した。


「ごめんなさい」

「無事なら良い。幸い歯も、乳歯であった」

「もう、たぬきみたいに走らないよ」

「そうか、ぜひそうしてくれ」


人間の手足は、四足歩行に向いていないと理解したよ。


結局、おたぬと呼ばれるようになった。

そして、次の年には、もっと大きくなった。


「二年前にいらしたのに、もう私と同じくらいですね」


私に乳をくれた乳母の長女は、十歳になったらしい。

私の見た目は、彼女と変わらない。

屋敷の者は、こんな私を気味悪がったりしない。

むしろ、大切にしてくれている。


「おたぬ様は、月からきたのですか?」

「月? あの夜の? 私の山にもあったよ月」

「月のお山から来たのですか⁉」

「ん?あれ? そう? 月の山? え?」

「竹を割って現れ出たのですよね?」

「そっかな」

面倒になった私は、適当な返事を繰り返した。


そして、いつの日か輝夜姫と囁かれるようになった。




□□□□





お屋敷の、中庭を臨む部屋。

その柱に押し付けられ、頭の上には文鎮を当てられている。


「やはり、とまったのかしら」

「そうだな」


月に一度、背丈を図られている。

その印は、もう何か月も動いていない。瞬く間に伸びた身長は止まり、見た目の成長も止まったようだ。

二年半ほどで二十歳まで成長し、この半年は変化なしだ。


「もーいい?」

「ああ」

「やったぁ」


頭上の文鎮が、秋久の懐にしまわれた。

それと同時に、私は膳に置かれた団子に飛びついた。


「いただきます」


いつも、大人しくしていると団子がもらえた。

私は、目を輝かせて串をつかみ大口を開けて食らいついた。


「中身は、幼子の頃や、たぬきの頃から変わっていないのにな」

「そうですね」


秋久の言葉に、母が袖で口を隠して笑っている。

最近の母は、私に美しく重い着物を着せようとする。

しかし、ずるずる引きずる着物なんて冗談じゃない。

相変わらず小袖姿で走り回っていたら「足が見えておるではないか!」と怒られ、以来袴も履かされ、いつのまにか水干にかわった。客人があるときは、菓子を釣り餌にして、ここぞとばかり豪奢な着物を着せられる。

母は、髪も必要以上に伸ばそうとする。

まだ背が半分くらいだったときは、邪魔だから切ってというと嫌々ながら鋏をいれてくれたのに、もう絶対に切ってくれない。

秋久に頼んでも「勿体ない」「姉上が恐ろしい」と逃げていく。

腰まで伸びた髪は、頭からしっぽが生えているようで妙な気分だ。


「なんか、ひった?」

「いいえ、なんでもありません。おたぬは変わらず、ずっと可愛いという話です」

「ほんと?」

「ああ」

「私の顔、まんまる?」


団子を口に詰めた私は、串を皿に投げ、立ち上がった。


秋久とは、小さな頃よりは目線が近くなった。

でも、その胸あたりで止まってしまった。

秋久に接近し どん、と体当たりをしたが秋久の体はびくともしない。最近気が付いた、秋久は体躯が割としっかりしている。たぬきの頃、彼がガリガリだと思ったのは勘違いだった。


「まんまるかどうか……そうだな……」


秋久の大きな手が左右合わさって円を作った。

その手が、私の顔に当てられた。その円から顔を出そうと、背伸びをする。


「どちらかというと、卵だな」

「そうですね、とても美しい卵です」

「えー!じゃあ、鼻は?大きい?黒い?」


鼻を見ようと目を寄せてみたが、みえない。

だから、指でつまんだ。


秋久は、うっすら笑いながら、思案する顔をみせて

「丁度よい」

と頷いた。


「そう怒った顔をするな」


少し眉を下げて、とろけたように笑う秋久に、あいかわらず尻が、うずうず。


結局よく分からない。

屋敷に鏡はあるけれど、すぐに変わってしまうから見ていなかった。

私は、秋久の細い顔を掴み、引き寄せた。


「おたぬ?」

秋久の顔は細くて小さいが、抵抗にあって重い。

「わたし見せて」

「は?」

「あー、秋久の目に映った、おたぬですか」

「そう!」

「それは、参考にならん。私の目に映る おたぬは愛らしいに決まっている」


秋久が、縦長の目を見開いた。

変な顔だったから思わず笑って、その顔を ぽい と捨てた。


「じゃあ母の」

「私もですよ。この世で、そなたほど愛しい者はおらぬ」

「えへへへ」

「おたぬの部屋にも鏡を置きましょう。ああ、やっと容姿に興味をもってくれましたか。何を買いましょうか」


まぁ、まぁ と手を合わせながら、母が部屋をうろうろと歩き回った。

なんだか、面倒なにおいがする。

ちらりと秋久をみると、姉を見て苦笑している。


「姉上、反対はしませんが、きっと無駄になりますよ。おたぬが、大人しくしているはずがないです」

「いいえ、おたぬも、そろそろ大人の女性として……」

「外で遊んできます」

私は、しっぽを巻いて逃げ出した。


それから、母は、私に色々な事を習わせようとした。

琴、書、刺繍、どれも長続きしなかったけど、踊りと鼓だけは面白くて続けた。

とくに、鼓。

あれはとても、良い。

たぬきの心をくすぐる。

ぽん

という音を聞くたびに、しっぽが飛び出るものよ。

思わず打ち鳴らしながら、ぴょんぴょん飛び回っていたら、耳まで生えてしまった。


それは、秋久にも母にも秘密にしている。


しかし、夜な夜な打ち鳴らして居たら、秋久に叱られた。


「静かにせい。夜は寝る時ぞ」


現れた秋久は、普段のお堅い恰好ではなく、白の小袖姿だった。

ゆらゆらと揺れる燭台の灯りで着物は柿色に見える。


なんだか、妙な心地の悪さが込み上げてきて、やめろと言われた鼓を ぽんぽん鼓動に合わせて打ち鳴らした。


「おたぬ、皆が気になって眠れぬぞ」

「それ以上、こっち、こないで」


私の部屋に足を踏み入れてきた秋久に、ぴしゃりと言い放つと、秋久は胸の前で片手を上げて止まった。

燭台の蝋燭が、じじじ と音を立てている。


長い指に目が行くと、節くれだっていて母のより堅そうなのに、あれで撫でられたいと思った。

そんな自分に、はっとしてイライラした。


「何を怒っている」

「怒ってないよ!」


完全に怒っている私に、秋久は笑った。

秋久は不細工である。

顔は、ちいさな細顔で、威厳は何もない。ぱっと見は意地悪な狐だ。

なのに、その顔に胸がむずむずする。

気になって、ぼうっと見てしまう。


「もうやめて寝る」


鼓を枕元に置いて、布団を頭まで被り丸くなった。

すると、衣擦れの音が近づいてきて、秋久が枕元で止まった。


「いい子だ。おやすみ、おたぬ」


ぽんぽん、やさしく布団が叩かれた。

すると、ふわぁ と心に温かい光がひろがった。

体中が、そわそわする。

走り出したい気持ちだ。


「秋久!」


私は、布団から飛び出して、背を向けていた秋久の背中に抱き着いた。


「おたぬ! 危ないぞ」


秋久は、慌てて蝋燭を吹き消した。

火事になれば、屋敷どころか町すら危うくなる。


「秋久」

「なんだ?」


秋久が顔だけ振り返った。

人間には月明りだけでは物は見えないらしいけど、私にはよく見える。


「私がねるまで抱っこして、ウバステババみたいに」

「それはできぬ」

「なんで!」


いつも甘いくせに、ゆうことをきいてくれない秋久に むっとして背中に頭突きした。


「そなたが大人の姿になったからだ」

「大人の男女もだっこするでしょ」

「それは夫婦(めおと)になった二人がすることだ」

「じゃあ、それになろう!」


満面の笑顔でお願いした。

すると、秋久は私の腕を解いて、私に向き合った。


「そなたには――まだ早い」


秋久は笑った。

片方だけ口角を上げて、片目をつぶって。


いじわるそうに、笑った。


私は、しっぽが飛び出て。

その場に崩れ落ち、体が勝手に寝たふりを始めた。


「おたぬ、大丈夫か?」


心配した秋久が、燭台を置いて、私を抱き上げ布団にしまった。

そして、再び「おやすみ」と声をかけて去っていった。



なんなの、何で断るの!


秋久なんて、不細工だから嫁来ないのに。

私がなってあげるのに!


早いってなに。


くやしい。


くやしーーーい!


次の日、私は大人の女性みたいな着物を着た。


これで明日になったら、秋久と夫婦になれるかな?











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