表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

291/303

なにもかも投げ出した。

世田谷のボロアパートで、すべてが嫌になった。


僕はなにもできない。


なにひとつできない人間なんだ。


なのに生きている。生かされている。


・・・すべてが嫌になった。


SSSクラス冒険者であること。日本の独裁者であること。


常に12000円・小説を読むだけアルバイト機構を作ろうとしていること。


如月さんのこと。


上月さんのこと。


七月先生のこと。


・・・なにもかもが嫌になって、僕は世田谷の自宅を出て、ただ、やみくもに街をふらついて、逃げた。


逃げた・・・。


逃げた・・・。


ただ、どこにも逃げ場はなかった。


僕はそれから、自販機でタバコを買い、タバコをふかした。


そのとき、如月さんが僕を見つけてやって来た。


「なにもかも、嫌になっちゃいましたか?」


僕はただ、タバコを吹かして、それから、クビを縦に振った。


「・・・そうですか? もう死にたいですか?」


「死にたいけど、死ねない。死に方がわからないんだ」


「だったら、もう少しだけ頑張ってみましょう。誰かが声を掛けてくれるかも知れないから。常に12000円・小説を読むだけ機構に気づいてくれるかも知れないから」


如月さんはそう言って、僕を抱きしめた。


ぎゅっ


如月さんの身体は、なぜか、タバコの匂いがして、とても気持ちよかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ