だれでも、なんでも仕事がある・・・。本当に言いたいのはそれだけだ。
僕が本当に言いたいのは、だれでもなんでも仕事がある。
それだけなんだ。
僕は渋谷のセンター街で、途方に暮れながら、人を観る。
人がどこまでも行き交いながら、それでも、仕事が作れなくて、大勢の人が、大勢の人に隠れながら死んで行ってる。
僕は如月さんと渋谷でデートしながら言った。
「誰だって、色々考えながら、仕事につこうとするんだ。ただ、今の世界で、本当に誰でもできる仕事ってあるか? そんな状態で人が選抜されながら、遊び暮らしている人間がいて、誰ひとり辛い仕事は死ぬ仕事だからってつかないし、仕事ができない能力のない人間を無理矢理辛い仕事でコキ使って、その人間が使えないからって、バカにして、死ぬのは当然とか思っている」
如月さんが僕と手を繋いで言った。
「楽な仕事以外は死ぬ仕事ってみんな分かってるから、誰一人辛い仕事をやろうともしないんですよね。辛い仕事についてる人はツカエない人間で劣ってるとバカにして。・・・それで、いったい、日本はちゃんと回ると思ってるんでしょうか? 辛い労働の土建につく労働者がいない状態で高時給を払わない状態で、日本は終わってます。だから、辛い環境にいた外国人労働者のそのうちに、能力の優れた人間だけを集めて、その後にいつの間にか、日本で働く人が外国人だけになって、国を乗っ取られて終わるんです。・・・ひどすぎです」
そこから、渋谷の雑踏の影で、僕は如月さんとキスをした。
ちゅっ
今日の如月さんのキスは、野に咲く菜の花の味がして、
なんだか、それでも生きてみようと思った。
・・・とにかく、常に12000円・小説を読むだけ雇用を広めたい。
なんとか、都内で常に12000円・小説を読むだけ雇用ができるように。




