査定基準を作る。
如月さんが、板橋の図書館で言った。
「人間を小説を読むだけで給料を出すのはムリがあったのでは? 考え方を変えて、例えば、FXを1日にやって、その実績だけで、給料を1万2000円与えてはどうでしょう? FXは貨幣代替なので。そうすると、経済的には、補正が掛かる状態になると思うんですけど」
僕は言った。
「いや、それはダメだよ。如月さん。FXは貨幣機構に近すぎる。だから、FXの投資を仕事にしたら、貨幣機構が民衆からお金を奪うことばかりすることになる。どうしたって、経済構造から離れた、小説を読んで感想を書くことにしたいんだ」
「・・・そうですか。それは私の考えが足りませんでした」
そこから、僕は常に12000円・小説を読むだけアルバイトをまともに査定する構造を作った。
本を厳選し、その本の中で焦点となる、質問に対する答えを感想の中に入れ込まなければならない。
例えば、小説を読んで。
渚という登場人物が、東京駅で主人公に投げかけた問いかけとはなんでしょう?
この質問の答えが間違っていても、まともなら、小説を読んだという証明になるという方式だ。
1日を換算して、人によっては読書量も違うから、最低限のチェックポイントのようなもので、質問の答えを1日ごとに出していく方式になる。
ヤンキーがキれて文句を言う。
僕は板橋でキレた。
「黙れ!!!! 本来お前らなぞに金をやる必然性を僕は全然覚えない!!!! ただ、本を読んで、その感想を書けるくらいの気持ちがなくて!!!! 金など配れるか!!!! 真面目に生きようとして!!!! それでも生きられないヤツに僕は金を配りたいだけだ!!!! お前らは、真面目に生きようとしていない!!!! 金などやるか!!!!」
この形で、常に12000円・小説を書くだけアルバイト機構を完成させよう。




